株式投資の企業分析|FP1級Wiki

投資信託はともかくとして、株式投資となるとその会社の事を詳しく知らないといけません。
投資指標や財務分析指標が重要になってきます。
FP試験においてもこのあたりが基礎編応用編ともに再頻出となりますのでしっかり学習しましょう。

応用編に特化したものについては応用編対策の財務データ分析のページを学習してください。

このページではひと通りをしっかりやります。

株式投資指標

PER(株価収益率)

その企業の利益水準から見て、株価の割安・割高を判断するための尺度。
「この会社こんなに儲かってんのに株価安い!」ってのを倍率でわかるようにするものです。

PERを出すためにはEPSを計算します。投資指標の項目は英語3文字が続くので暗記は注意しましょう。

EPSは1株当たりの純利益。企業の当期純利益を発行株式数で割ったものです。

EPS(1株当たり純利益)=当期純利益÷発行済株式数

つまり利益が大きいのに発行株数が少なければ今期すごい稼いでるって判断ができます(断言はできませんが)。

「1株当たりの純利Eki」のEでEPSと覚えるのが正攻法のようです。ご参考まで。
算出されたEPSを加えて下記の計算をするとPERが計算できます。

PER(株価収益率)(倍)=株価÷EPS(1株当たり純利益)

現在の株価をEPSで割ることで、現在時点でお得になってるかわかるという訳ですね。
倍率が高いほど割高、低いほど割安ということになります。

PBR(株価純資産倍率)

その企業の資産価値から見て、株価の割安・割高を判断する尺度。
「この会社、こんなに立派なのに株価安い!」を倍率でわかるようにするものです。
PBRを出すためにはBPSを計算します。防弾少年団ではありません。

BPSとは1株当たりの純資産。企業の持つ資産を発行株式数で割ったものです。

BPS(1株当たり純資産)=純資産÷発行済株式数

つまり資産に対して株式数が少なければその1株にはそれだけのお得感あります(断言はできませんが)
純資産とは帳簿価額とも言えるので「1株当たりの簿価(Boka)」のBでBPSと覚えるのが正攻法だそうです。少し無理あるけど。
算出されたBPSを加えて下記の計算をするとPBRが出てきます。

PBR(株価純資産)(倍)=株価÷BPS(1株当たり純資産)

現在の株価をBPSで割ることで、現在時点でお得になってるかわかるという訳です。
こちらも倍率が高いと割高、低いと割安です。

配当性向

企業が会社の利益から、どのくらいを株主配当金に回しているのか。
税引後純利益のうち配当に回る割合(%)でその企業の配当意識を判断する尺度。
計算は単純で、配当金総額を当期純利益で割って割合を計算します。

配当性向(%)=(配当金総額÷税引後当期純利益)×100

つまり配当性向が低ければ、それだけ利益を内部留保していることになります。

配当割合(インカムゲイン)が大きいから買い!という単純なものではなく、
内部留保は事業拡大の再投資の準備という場合もあるので、
結果、株価増大(キャピタルゲイン)になる場合もあります。判断材料のひとつです。

ROA(使用総資本事業利益率)

使用総資本に対する収益性を判断する尺度。ROAは企業全体の経営効率を測る指標。
資本の利用によってどれだけの利益をあげれたかを示します。

ROA(使用総資本事業利益率)(%)=(事業利益÷使用総資本)×100

事業利益=営業利益+受取利息+受取配当+有価証券利息

使用総資本=総資産=負債+純資産

ROAはさらに売上高事業利益率と総資本回転率の2指標に分解することができ、さらに深堀りして要因分析ができる。

ROA=売上高事業利益率×総資本回転率

売上高事業利益率=事業利益÷売上高

総資本回転率=売上高÷使用総資本

ROE(自己資本利益率)

その企業の自己資本(株主資本)に対する収益性を判断する尺度。株主の投資効率を測る指標。
株主資本を使って出した利益がどれくらいの割合になるかを示す。割合が高いと経営効率が良いということになる。
ROEの計算方法は2種類(+α)ある。

ROE(自己資本利益率)(%)=(当期純利益÷自己資本)×100

ROE(自己資本利益率)(%)=売上高純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ

ROEは、さらに売上高純利益率と総資本回転率と財務レバレッジの3指標を分解することができて、その要因分析ができる。

売上高純利益率=当期純利益÷売上高

総資本回転率=売上高÷使用総資本

財務レバレッジ=使用総資本÷自己資本

※財務レバレッジを逆数にすると自己資本比率(自己資本÷総資本)が計算できる。
ROEはさまざまな指標の軸になる重要な指標といえる。ここからいろいろな分析ができる。

その他の求め方(第3の求め方)「@KJpop14さんからご提供☆彡」

自己資本=純資産の場合に限り、EPSとBPSを使用して求めることができる。

ROE(自己資本利益率)(%)=EPS÷BPS×100

Wiki技能士

たしかに1株当たりの純利益(EPS)と1株あたりの純資産(BPS)を使用すれば、
同じ1株同士で平等ですから、
自己資本=純資産ということなら、
自己資本の利益の割合がわかるってもんですね。
すげぃ!(ノД`)・゜・。
証券アナリストの試験でこのように出るとのことです。
FP1級、奥が深い!!(*´Д`)

サスティナブル成長率

最近世間ではサスティナブル(持続可能な)というワードが流行っていますが、
ここでは配当を除いた内部留保を基に企業の成長性を判断する。
内部留保は事業に再投資したと仮定しての成長率である。私は「サスティないぶりゅうほ」と覚えています。

サスティナブル成長率(%)=ROE×(1-配当性向(%))

※1-配当性向というのはつまり内部留保率ということです。配当で払ってない部分だからね。

その他の投資指標

イールドスプレッド

直訳すると「支払いの広がり」。金融的な言い回しだと「利払いの幅」でしょうか。
債券同士の利回り格差、株式と債券の利回り差。これらを比較することで相対的な割高感、割安感を判断する。

  • 債券の場合は長期国債を基準として判断する。

債券同士のイールドスプレッド=長期国債利回り-債券利回り

  • 株式の場合は、長期国債を基準に株式益利回りを引いて算出する。

債券と株式のイールドスプレッド=長期国債の利回り-株式益利回り

株式益利回り=1株当たり純利益÷株価(つまりPERの逆数でもあります)

イールドスプレッドの値いから見る株価は、小さいほど割安、大きいほど割高となる。

インタレストカバレッジレシオ

その企業の借入金に対する利息の支払い能力を測るための指標。これによって財務の安定性がわかる。
事業利益を金融費用で割りその倍率で判断する。倍率が高ければ財務的に余裕があるということ。

インタレストカバレッジレシオ(倍)=事業利益÷金融費用

金融費用=支払利息+割引料+社債利息

売上高利益率

損益計算書の中の4段階ある利益の、売上高に占める割合を示す尺度。売上高の利益効率がわかる。

売上高利益率(%)=(利益÷売上高)×100

利益の4段階
  1. 売上総利益=売上高-売上原価
  2. 営業利益売上総利益-販売費および一般管理費
  3. 経常利益営業利益+営業外収益-営業外費用
  4. 当期純利益経常利益+特別利益-特別損失-税金

営業キャッシュフロー対有利子負債比率

その企業の営業キャッシュフロー(営業収支)によって、有利子負債(社債とか借入金とか)の支払い能力を示す尺度。
現在の営業利益に対して借入金が適正なのかどうかを判断します。

営業キャッシュフロー対有利子負債比率(%)=(営業活動によるキャッシュフロー÷有利子負債)×100

過去問の難問に挑戦してみました2022.1FP1級学科試験 問20

下記の資料から算出されるサスティナブル成長率として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入する事。

当期純利益300億円EPS365円
損益分岐点売上高3,600億円BPS3,034円
使用総資本回転率1.24回配当利回り3.50%
自己資本比率40.00%配当性向25.00%

※純資産の金額と自己資本の金額は同じである。

1) 3.10%
2) 9.02%
3)11.61%
4)19.37%

この問題。基礎編で出すにしては超難問だと思いまして、私なりに解いてみたいと思います。
初見ですごい遠回りしました。でもそのまま書いてみたいと思います。
これを1問あたり2~3分しかない基礎編で解かせるってどうなのかと思う・・・。

でも、@KJpop14さんから最短の方法を教えていただきました!!それはさらに下に載せました!!

サスティナブル成長率を求める問題なので、必要なのはROEと配当性向です。
配当性向はすでに示されていますので、求めたいのはROEとなります。
ROEの導き方は2通り。

①ROE(自己資本利益率)(%)=(当期純利益率÷自己資本)×100

②ROE(自己資本利益率)(%)=売上高純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ

先に②で考えてみますと、総資本回転率(使用総資本回転率)はすでに与えられているようです。
財務レバレッジは自己資本比率の逆数ですので、
つまり

ROE(自己資本利益率)(%)=売上高純利益率×総資本回転率÷自己資本比率

でも求めることができるので、残るは売上高純利益率です。
売上高純利益率は、

売上高純利益率=当期純利益÷売上高

ですので、売上高を導き出したいところ。
しかし、私は表の項目から売上高を導く方法が探し出せませんでした。
そこで、もうひとつの方法を試します。

①ROE(自己資本利益率)(%)=(当期純利益÷自己資本)×100

当期純利益は分かっていますからあとは自己資本ですよね。
ここで表の注意文に目を向けます。
※純資産の金額と自己資本の金額は同じである。
これ、絶対関係ありますよね。
きっと純資産を求めるつもりで考えたほうが良さそう。
純資産が絡んでくるのはBPSですね。BPS自体は3,034円と示されていますが、導きたいのは純資産。

BPS(1株当たり純資産)=純資産÷発行済株式数

この式を分解して純資産を出すには、発行済株式数をはじき出さないとですね。
今度は発行済株式数を探します。それはEPSです。EPSは365円。

EPS(1株当たり純利益)=当期純利益÷発行済株式数

ここに発行済み株式数があります。発行済株式数をXとして求めます。

365円=300億円÷X X=300億円÷365円=8219.18万株

発行株数がわかりました!!

次はBPSの式を利用して純資産を求めます。今度は純資産がXです。

BPS(1株当たり純資産)=純資産÷発行済株式数

3,034円=X÷8219.18万株 X=3,034円×8219.18万株=2493億6992万円 純資産は2493億6992万円です!

純資産と自己資本はイコールとのことですから、これでROEが出せそうです!

ROE(自己資本利益率)(%)=(当期純利益率÷自己資本)×100

ROE=300億円÷2493億6992万円×100=12.03%

ようやくここでサスティナブル成長率の計算式に当てはめられます。

サスティナブル成長率(%)=ROE×(1-配当性向(%))

サスティナブル成長率=12.03%×(1-25%)=12.03%×0.75=9.02%

よって、答えは2番ですっっ!!

@KJpop14さんご提供の正しい解き方

サスティナブル成長率を求める問題なので、必要なのはROEと配当性向です。

自己資本=純資産の場合に限り、ROEはEPSとBPSを使用して求めることができます。

ROE(自己資本利益率)(%)=EPS÷BPS×100

ROE=365÷3,034×100=12.03%

配当性向は表に示された通りですから、

サスティナブル成長率(%)=ROE×(1-配当性向(%))

サスティナブル成長率=12.03%×(1-25%)=12.03%×0.75=9.02%

30分悩んですごい文量使って解いた問題が、
6行で終わった!!(ノД`)・゜・。
FP1級学科試験は時間との戦いでもあります。
多くの公式を頭に入れておく必要性を改めて考えさせられる問題でした。
@KJpop14さん、ありがとうございました!

タグ:株式投資の企業分析