まず前置きとして。

このページに辿り着いた皆さんは、
つまりあの異常な難易度のFP1級学科試験の合格を勝ち取った方ですね。
本当におめでとうございます。並々ならぬ努力だったと思います。
自分の限界を決めず、やれる限りをやらなければ受からないのがFP1級学科試験。
あの壁を越えてきた皆さんなら、
その心意気があれば実技試験は絶対受かります。これは絶対です。

ただ、わからないことだらけのきんざい実技試験。
さすがに無知で臨めば落ちてしまいます。

受験料がハンパないので落ちてしまうとショックは大きいです。

このページでは、
情報が少なく謎が多くて受験料が高い「きんざい実技試験」について、
少しでも受験者の不安が取り除けるように、
また勉強のコツを掴んでいただきたいと思い、
自分の体験を元に解説してみました。
お役に立てたら幸いです。

きんざい実技試験

きんざいが主催するFP1級きんざい実技試験は面接試験となります。
Part1とPart2の2回行い、どちらも100点満点の計200点満点。120点以上が合格です。
Part1では主に個人事業主か中小企業社長の事業承継がテーマとなり、
Part2では不動産の問題が主となります。
なかなか対策を決め打ちするのが難しい実技試験ですが、方向性はあるように思います。
面で学習できるようなまとめページも現在検討中です。

ここではひとまず全体の流れと、合格のポイントをお話しします。

テキストの購入

とにかくまずはきんざいから発売されている、この1級実技対策問題集を入手してください。
きんざい実技試験については情報が少なく、実質的な対策はこの1冊になります。
これがないと話にならないと言っても言い過ぎではないでしょう。

私は無料学習サイトを自分で作ってしまうぐらいの「ケチ」なので、
高価なこのテキストを買わずに済む方法はないか、
いろいろ悩んだり調べたりしたのですが、
結局買わずには勉強ができず、数日無駄にして遅れて購入しました。

実技試験について教えてくれるサイトもいくつかあるにはあるのですが、
あくまでもこのテキストで学習しているベースがあってこその、その先の学習です。
とにかく、いち早くこの本を買ってくださいwww

現在2020版が最新になります。毎年発行されているわけではなく、主に隔年ですが不定期発行です。
2020版以前のシリーズには「第八版」などの号数が与えられていましたが、今回からは無くなったようです。
最新版を購入し、それを熟読すれば1冊で足りると思いますが、長年の出題傾向を研究なさりたい方はブックオフなどで、過去のものを追ってみてもいいかもしれません。ちなみに私は最新版(当時第八版)を新刊で購入し、ブックオフで過去の物を2冊買いました。
ただ、過去問の内容以外の実技試験に対する説明は新旧かなり被る部分が多いように思います。

また、きんざいのHPから問題用紙だけはダウンロードできます(答えはありません)。必ず確認をしておきましょう。
問題用紙に慣れておくことも重要ですし、最近の出題傾向が分かり非常に有効です。

試験の流れ

(細かな内容は上記のテキストを購入していただくと記載があるので、詳しい説明は省きます。)

年3回で実施されるきんざい実技試験にはその回ごとに複数の試験日があり、そこからさらに午前の部と午後の部に分かれています。
受ける試験はもちろん1度だけですが、自分がどの日で、午前にあたるか午後に当たるか。
すべては主催者任せとなり、受験票と共に知らされることとなります。

受験者に問題が漏洩するのを防ぐためにその回ごとで問題は変わるため、
毎回「当たり問題の人」と「はずれ問題の人」が出て、試験後にSNS上で盛り上がるようです。

ただ、その後の結果などをみると、難しい問題だから得点が低くなるという事はあまりなさそうで、
正しく受け答えができているかが大きく加点に影響すると考えられています。
この辺の当たりはずれについては自分で操作できるものではないので、あまり神経質にならないようにしましょう。

試験会場

私の場合は品川のレンタル会議室で行われました。会場はそれぞれ異なりますが、学校や会議室をレンタルするケースが多いようです。
遅刻はどんな理由があろうとも一発退場だそうなので、時間厳守です。

まず大部屋に受験生全員が集合します。ここでオリエンテーション(当日の注意事項等)が行われます。
私は緊張のあまり集合フロアを間違い、面接官たちの控室に突入して驚かせた猛者です。
失格にならなくて良かったです。

大部屋の時点では特に制限されることはありません。スマホも見れます。
なのでFPWikiのアプリも見れます。このことは試験案内や実技テキストにも書いてありません。
大部屋までは電子機器を最大限利用しましょう。

このあと8人程度に振り分けられ、中部屋の控室に連行されます。ここから先は電子機器禁止です。
FPWikiアプリはもう見れません。しゅんです。

さらに控室ではひとりで部屋の外に出ることができません。トイレなどは係の人に声を掛けて許可をもらうような感じです。
紙媒体でのテキストは見る事ができるので、実技試験のテキストはもちろんですが、学科試験のテキストも辞書代わりに持ち込むことをお勧めします。
ちなみに私はA5ノートに実技対策の内容をまとめていたのでそれも持ち込みました。
A5ノートはきんざいの実技テキストや学科テキストのサイズと同じになるので、とても持ち歩きやすいです♪

控室からは試験場となる面接室へと順番で呼ばれていくことになります。

控室の8人を2つに割り振り、パート1とパート2を同時に進めていくことになります。
そのため、パート1から受験する人とパート2から受験する人が発生します。
片側4人が終わったら今度は入れ替わるという順番です。
私はそれを知らずに行き、パート1から順番に出来ると思っていたのですが、
「パート2の1人目」という奇跡のカードを引いたため、
何の準備もできないまま突然パート2の面接に臨むことになりました。
心構えは大事です。

設例閲読

順番が決められ、パート1、パート2、それぞれの方が名前を呼ばれると、控室後方にある席に移動します。
ここで15分間設例を読むことが出来ます。
ここからはテキストも禁止となり、手にしているのは筆記用具と電卓のみ。
つまり、設例の紙と筆記用具、電卓を持って試験に臨むことになります。

設例の紙には書き込みが可能なので、とにかくこの15分で気になる点はすべて書き込んでいきましょう。
また、暗記してきたFPの倫理などはすぐにメモ余白に書き込んでしまいましょう。
面接で緊張して頭が真っ白になっても台本があれば読むことが出来ます。
ただ、この場合、文章で書くと持ち時間が少なくなるので略語とかキーワードを決めておくといいでしょう。

「検討のポイント」として、設例の紙に「質問が予想される項目」は示されています。
15分でこのポイントへの対策をすることになります。

↑試しに過去問を添付してみました(過去問使用許可取ってます)。

パート1の検討のポイントには、ほぼ100%の確率でFPの倫理が含まれます。
これは定番中の定番なので落としたくありません。
当サイトで必ず対策しましょう→01.FPの倫理と関連法規へリンク

15分の設例閲読のあと、面接室へと呼ばれます。

面接試験

面接試験は12分程度。面接官は2人いて、質問しながら採点する人と、採点のみに集中する人の2人。
時間が迫るとアラームが鳴るようになっていて、これがまた焦らせます。

配点の200点ですが、分野別に4つに分かれています(配点割合は私が受験した時を参考にしています)。

  • 顧客の問題点の把握(40点)
  • 問題解決策の検討分析(60点)
  • 顧客の側に立った対応(60点)
  • FP倫理と法令順守(40点)

この4つについて簡単に説明していきます。

・顧客の問題点の把握

面接開始の取っ掛かりの部分となります。最初に挨拶などを交わしてスタートとなります。

「設例は読んでいただいていると思いますが、今回のこの提案についてどんな問題が考えられますか?」

と聞いてくる感じです。いくつか答える。
足りなければ「他にはありませんか?」と迫ってくる感じ。

・問題解決策の検討分析

「顧客の問題点の把握」から展開する流れで、

「では、その中のひとつに〇〇の問題がありますが、あなたはFPとしてどう対応すべきですか?」

といって掘り下げてきます。ここで一問一答のようなものが連続し、追い詰められ回答に窮すると、

「いいでしょう。では二つ目の問題の〇〇についてはどうですか?」

と、時間の許す限り質問が展開していきます。

・顧客の側に立った対応

この項目は、上記の両方に掛かってくるものです。全体を通して顧客優先になっているかを判断されます。
具体的にどういうことかというと、
例えば、テーマによってはFP的に「絶対これがおすすめだ!」という解決策が見つかることがあります。
しかし、それをゴリ押ししてしまうと、たとえそれが正しくても減点となります。
顧客に選択肢を与えられるように複数の対応策を伝える事。また、相談者の心情にも配慮した提案が必要となります。

例えば老後はゆっくりガーデニングがしたいという相談者に対し、
容積率いっぱいの分譲マンションの提案だけをゴリ押しするような事はいけません。
たとえそれが大きな利益を生み出すとしても、陽当たりを残した提案も併せてする必要があります。

つまり突っ走りすぎはNGということですね。

・FP倫理と法令遵守

これは3つの点に注意です。

2つは明確で、試験の終わり間際(終了アラームが鳴るかどうかあたりの時間帯)に、2つの質問が入ります。

FPの職業的原則を答えてください。また、その中で今回一番大事にすべきは何ですか?理由も教えてください。」

というものと、

「今回の提案でどの専門家に相談すべきですか?」

というものです。当サイトでも紹介している職業的原則を暗唱すること。
それと、今回の設例に対応する士業を答えてください。
職業的原則は、残り時間が少ないと質問されないこともありますが、
それを加味しても質問される可能性はかなり高いので当サイトで暗記しておきましょう。
01.FPの倫理と関連法規へリンク

そして最後の3点目が割と厄介です。
3点目は全体を通してFPが業務を行うにあたって、専門領域に抵触していないかが見られます。
つまり試験が好調で、なんでもかんでもズバズバと答えてしまうと減点になるというもので、反比例のような関係にあります。
「あ!それ知ってる!これなら答えられる!!」
と思うと、緊張も相まって士業に関わる内容を思わず話してしまうものです。
正しい対処法としては、

「その場合は〇〇になりますが、あくまでも一般的な説明になりますので詳しくは〇〇士の方にご相談ください。」

というように、「知っているが個別具体的な内容はお答えできない」的な回答がベストになります。
ですが、試験当日というのは何を聞かれるかわからず極度の緊張状態です。
先に述べたように知っている事を聞かれると思わず答えてしまいがちです。
これを保つのはかなりの冷静さが必要になります。日頃ご提案業務をこなしている方が有利かもしれませんね。

まとめ

面接官のタイプ

面接官のタイプは様々で、助け舟を出してくれる方、圧迫で来る方、助け舟を装ってトラップを仕掛ける(士業に抵触させる)方などなど。
私が受験した感想ですが、面接官の方は受験者の中身を引き出そうと揺さぶってきます。

こちらは笑顔を絶やさずに、冷静さを装い、挑発には乗らず、丁寧な受け答えをする。

これを守れれば、面接官も人間ですから、対応も良い方に軌道修正されてくると思います。
おかげで私はパート1もパート2も圧迫はなく感じよく対応できました。
(受け答えは間違えてばかりでしたがwww)

問題の傾向

きんざい実技試験のテキストを既にご覧の方はご存じと思いますが、
問題の傾向について大枠は決まっています。

パート1は中小企業の事業承継の問題です。

パート2は土地の有効活用の問題です。

学科試験の分野で言うならパート1はF分野の相続事業承継、パート2はE分野の不動産となります。
ベースはこの2つになりまして、そこにさまざまなバリエーションや流行りが加わります。事業承継はM&Aも増えてきました。
出題が読めず毎回みなさん苦労するのですが、それぞれ必ず押さえておかないといけないおかないといけないものがあります。

パート1なら事業承継税制、パート2なら譲渡についての各種特例などですね。
そのあたりをまず固めてからバリエーションを増やしていく方向での学習がおススメです。

周辺知識としてD分野のタックスが必要になってくることもありますし、パート1の最後にはFP倫理が問われますのでそこはA分野ですね。
総合力が求められてきます。
強いて言えばB分野の保険とC分野の金融資産運用が関りが薄くなると思います。

最後に

きんざい実技試験はとてもワクワクします。そして一瞬で終わります。そして受験料高いです。
ただ、とても貴重な経験ができます。

私は実技試験は受け答えが本当にボロボロで、終わって会場から出てきたときには

「終わった!2万5,000円ぶっ飛んだ!Switch買えば良かった!」

と思い、完全にあきらめて、家に帰ってからすぐ次の実技試験に向けて勉強を再開するほどでした。
結果的には合格だったのですが、発表までの1ヵ月間は本当に憂鬱でした。

私の実技試験の感想としては、

試験は厳しいが、採点は甘い。

これだと思います。
受験生のみなさんは駆け出しの新人FP、いわば新兵みたいなものです。
FPの世界は甘くないぞ!というのはしっかり見せておいて、入隊おめでとう!!という事だと思います(どういう事だ)。
とはいえ、対策なしでは落ちます。面接官はその辺も見ているように思います。テキストは必ず読みましょう。

きんざい実技を回避してFP協会の筆記の方から受験される方もいらっしゃるようです。
私はどちらでも構わないと思っています。合格したらどちらも同じFP1級技能士です。平等です。

ただ、きんざい実技試験を経験したから言うのだと思うのですが、
私がおススメしたいのは、やはりきんざい実技試験です。

どうしてかというと、
今まで本当に長い期間机に向かって文字と数字を叩き込んで、FPについて勉強されてきたと思うんですね。
FP1級学科試験の平均勉強時間は600時間とも言われていますよね。

私は、きんざい実技試験はその発表の場だと思っているんです。

今まで蓄えに蓄え抜いてきた知識を使って、突然与えられるテーマについて臨機応変に口頭で説明する。

これは恐らくもう2度と体験できない事だと思っています。

せっかく机に向かって叩き込んできた情報ですから、最後は人に向けて試してみていただきたいなと。
もともとFPを何かに生かそうと思うと、対人スキルはある程度は必要とされますからね(100%必要ではないかもですが)。

FP資格を学習するにあたっての私の考えは

「どんな難問奇問であっても、既出となればそれは難問奇問ではなくなる。」

実技試験で、設例閲覧席に座って設例を初見した時のあの緊張感。
面接官から何言ってるかわからない言葉が飛び出し「持ち帰ります。」としか言えないあの緊張感。

きんざいのホームページから取り出す実技試験のPDFは所詮は過去問であり、
それを見て試してみてもあの緊張や躍動は絶対に味わえないのです。
長期間、FP合格だけを目指して頑張って頑張り抜いてきたみなさんには、
ぜひ経験していただきたいと思っています。

試験は厳しいが、採点は甘い(責任は持てないけど)。

きんざい実技もFP協会実技も合格率はどちらも高いです。

Wiki技能士

受験生のみなさまの合格をお祈りいたします!!