2023年5月実施FP1級学科試験分析(応用編)

はじめに

2023年5月実施のFP1級学科試験の応用編を振り返っていきます。
基礎編まだ見てない方はこちら→2023年5月実施FP1級学科試験分析(基礎編)

基本的な話ですが、応用編は5部構成。B分野リスク管理を除き(B分野かわいそう)
以下の構成で出題されます。

第1問 Aライフプランニング
第2問 C金融資産運用
第3問 Dタックスプランニング
第4問 E不動産
第5問 F相続・事業承継

幽遊白書で開催された暗黒武術会みたいで燃える展開ですが、
FP試験は1人で5回戦うので辛いところです。
FP1級を掴みとるには相当な霊力が必要になるでしょう。

さて今回の応用編はどんな内容となっているか。
浦飯幽助になったつもりで確認していきましょう。

また今回も試験問題を片手にご覧ください。

分析の便宜上、配点予想もしていますが、
私の配点予想は前回までの試験から想像した独断のものです。
他のサイトさんを参考にもしてません。完全な独断です。
みなさんは他のサイトさんも参考にしてくださいね♪
そして急いで作っているので間違っている点があったら教えてくださいね(*´Д`)

また、ここは当てて欲しい!という問題は確定点として計算し、難易度の指標にしています。
確定点の評価基準は「FPWikiで学習しているFP2級保持者」を想定しています。

それではいってみましょう。

応用編解説

第1問:A分野

問51

まずはいつもの穴埋め問題からスタート。配点は1問1点の計4点と予想。
定年後の雇用保険利用の問題でした。ストレートな内容でほっとしますね。基礎編が荒れに荒れてましたから。
答:①150(日) ②1(年) ③15(%) ④4(ヶ月)

①:雇用保険の90、120、150。定番なので覚えておきましょう。
②:受給期間ですが、100日以上200日未満に該当するので1年間となりますね。特別な離職理由じゃなければ200日以上の2年にはならないですね。
③:雇用継続給付の支給額は最大15%。これも定番です。
④:申請方法についての問題。これはFPWikiでフォローしていませんでした・・・すみません(>_<)

④のみ範囲外でしたので3問正解とします。確定点3点!!

06.雇用保険

問52

引き続き雇用保険の問題。

穴埋めは全部で6つ。配点は各1点、計6点と予想。

答:①1(年) ②70(%) ③1(ヶ月) ④6(ヶ月) ⑤40% ⑥2(ヶ月)

① :ここはFPwiki範囲外でしたねー(ノД`)・゜・。安定した雇用というのは1年超を指すんですね。詳しい規定をみたら載ってました。
②:ここはフォロー範囲ですが・・・マイナーなところですね。ムズイ。
③:ここも範囲外( ˘•ω•˘ )申請期限は1カ月とのこと。
④:再就職手当を受けると次は就業促進定着手当です。これは6カ月以上雇用されてて賃金が低下していると受けられます。ここは当てたい。
⑤:上限割合は40%。ただし再就職手当で70%対象になっている人は30%になります。ここも細かい出題でむずかしいですねぇ(*´Д`)
⑥:今回申請期限いっぱい聞いてくるなぁ。2ヵ月ですスミマセン(ノД`)・゜・。

ここはかなり荒れましたね・・・。確定点は2点とします。

06.雇用保険

問53

年金試算です。今回は定年したケース。
前回の分析記事で、これ以上の変化球は難しいから年金試算は今が加点チャンス!なんて言いましたが、今回まさかの初登場年金繰上げ!!(; ・`д・´)
厳しい戦いになりましたね・・・。
私の配点予想は①も②も5点(式3答2)の計10点。

答 ①1,001,600(円) ②747,201(円)

繰上げ支給の老齢基礎年金

まず基礎年金の最大額。777,800円。ちゃんと覚えてますかー?

Aさんは二十歳になってからちゃんと年金を納めていてそのまま就職。定年まで勤めあげるので、納付期間の40年をしっかり払いきってますね。満額が基準になります。

777,800円×480月/480月=777,800円

ところがどっこい、このAさん。繰上げ支給したいとかほざいてます(失礼)。
しかも年度末まで働かせてもらえず誕生月に退職させられてる・・・(大手企業じゃないのか・・・?)。

年金繰上げ率。1ヵ月あたり0.4%はちゃんと覚えてきたと思いますが、まさか応用から出るとは思わなかったよね、みんな!(ノД`)・゜・。
面食らったと思います。落ち着いて解けた、解こうとした人は勇者です!!自分を誇ってください!!

そしておそらく一番多かった間違いが、60歳に請求するからということで「60月」で計算してしまったケースでしょうねぇ。これは仕方ないよねぇ。
初めて出す出題なんだからさぁ、60月になるような設定にしてあげてよーって思うよねぇ。優しさがないよねぇ(>_<)

ポイントは誕生月の翌月にAさんが請求してるって事。つまり誕生月の一か月後に受給権を取得しています。そう、一か月少ないよね。59ヵ月なんです!!
これ意味ある?このひねりはFPになるために必要なひねり?おそらくですが、ここの部分点は相当甘くすると私は予想しています。
ちなみに年金は後払い制。実際に振り込まれてくるのはその翌月以降となりますが、あくまでも受給権が発生したのは2023年12月ということです。65歳の誕生日前日の月の59ヵ月前です。

777,800円×0.004×59月=183,561円(円未満四捨五入)

この金額が減額されちゃいます。

777,800円-183,561円=594,239円

私も会場にいたら60ヵ月で計算しちゃったかもなぁと思います。だから落ち込まないで(ノД`)・゜・。
そこを間違ったとしても式の部分点は今回もらえると予想します。確定点3点です!!

繰上げ支給の老齢厚生年金

まず加給年金の可否。今回繰上げを申し出ていますから支給されません。否ですね。
さて、最初は老齢厚生年金の基本計算ですね。

360,000円×7.125/1,000×204月+580,000円×5,481/1,000×248月=1,311,647円(円未満四捨五入)

次に経過的加算。経過的加算は厚生年金の加入期間で計算します。応用編対策ページでも言っていますがくれぐれも国民年金の加入期間で計算しないようにしましょう。

1,621円×452月-777,800円×451月/480月=1,884円(円未満四捨五入)

これ、なぜ451月/480月なのか。452月じゃないのか。理由は≪設例≫の中にあります。よく読むと「60歳到達月の末日が退職日」と書いてある!!(; ・`д・´)!!!
つまり最後の給料の時に引かれた1か月分は60歳以上になっての1か月分。足すことはできないのですね。
私はここは当てられる自信がないです。気づいた人いるのだろうか。

続いて計算で出たそれぞれの金額を合計してから、繰上げ減額分の計算ですね。これまた59月ですね。

(1,311,647円+1,884円)×0.004×59月=309,993円

最後に引いて完成です。

1,311,647円+1,884円-309,993円=1,003,538円

②老齢厚生年金のトラップは経過的加算ですね。むずい・・・。

ここも月数は間違っていたとしても式が当たっていれば式の部分点はまるまるもらえるのではないかと踏んでいます(加給年金付けた人とかは大きく減点だと思うけど)。確定点3点ですね。

今回の年金試算、ひどいよね。年金繰上げ登場だけで充分なのに、その月数トラップに加えて経過的加算月数トラップまで加えた3重攻撃。
年金試算のジェットストリームアタックと呼ばせていただきます(`・ω・´)ゞ

問53は式の部分点だけ獲得として、確定点6点です。

01.年金試算

第1問のまとめ

今回の第1問は穴埋めは前回よりは落ち着いたものの年金試算が大爆発でした(ノД`)・゜・。
本来稼ぎ場所(満点20点狙い)の第1問のはずが、確定点11点。応用編も厳しい戦いになりそう・・・。

第2問:金融資産運用

X社の株に興味を持っているAさんの問題。

問54

まさかの株価チャートの問題!!これか!!SNSを騒がしていたのはっっ!!(; ・`д・´)!!
完全なフォロー範囲外・・・。申し訳ありません(ノД`)・゜・。
後出しじゃんけんの解説をご覧くださいませ・・・。
配点は1問1点の合計4点としました。④はそんなに難しい式ではないので。

答 ①上ヒゲ ②始(値) ③終(値) ④840(円)

①:ローソク足は株式チャートでよくみるやつですね。太い線の上にひゅっと伸びた細い線が上ヒゲと呼ばれるものです。その日の高値への動きがわかります。
②:陰線では陽線の逆で、ローソクの本体部分は上が始値、下が終値となります。つまり上ヒゲでは高値から始値が示されます。陰線は終値が下落したときの表示方法ですね。
③:ここは問題文6Pとにらめっこして一生懸命推理されたんじゃないでしょうか。始値、高値、安値、終値。どう考えても始値か終値。だとすれば終値でしょう!!
  なんか売買立会終了時の~とか言ってるし!!何も知らなくても当てられた人もいるんじゃないかなぁ・・・。
④:移動平均線。これもヤマ勘でいきましょう!6日目終了時の5日単純平均ですから5日分足して5で割れば出るんじゃないですか?!
  792(6日目)+817(5日目)+843(4日目)+885(3日目)+863(2日目)=4,200
  4,200÷5=840
  この問題もにおいをかぎ分ければ当てれた人もいたかもしれませんね。

ここはもし当てられたとしても③と④ですかね。雰囲気からいけなくもない。ローソクチャート自体は知ってる人も多いですけどねぇ。
ですがここはフォロー範囲外。確定点は0点とします!!(>_<)

参考ページ:ないです(ノД`)・゜・。

問55

配当割引モデルが出てきました。この会社の株を持ち続けた場合に、他の方法と比較してお得かどうかを現時点の価値に置き換えて評価するというものです。
ゼロ成長モデルと定率成長モデルがあるのですが、きんざいはゼロ成長を「定額配当」って言ってきましたね。やらしいですね。ピンとこなかった人すみませんでした(ノД`)・゜・。
問題自体はFPWikiでしっかりやっているところなので、学んでいただいてる方はそう困らなかったと思います。

配点ですが、①と④は各1点、②と③は計算なので各2点、合計6点ですね。

答 ①利子(率) ②1,000(円) ③2,000(円) ④株価キャッシュフロー倍率

①:配当割引モデルで使用するのは期待利子率ですね。ここは当てて欲しい。
②:ゼロ成長(定額配当)モデルの式は、一株当たりの予想配当÷期待利子率です。まずは2023年3月期は結果が出ているので一株当たりの配当を出しましょう。
  1,800百万÷600百万株=30円
 これを期待利子率3%で割れば答えが出ます。
  30円÷0.03=1,000円
 答えは1,000円です。
③:定率成長モデルは、同じく一株当たりの予想配当を、今度は期待利子率から期待成長率を引いたもので割ります。
  30円÷(0.03-0.015)=2,000円
 答えは2,000円です。これ、うっかり式を忘れてしまった人でも、たとえば30円を期待成長率でそのまま割っても答えは同じだったので、ラッキーで当てた人もいるかもしれませんね。
④:これは初見です!!(ノД`)・゜・。株価キャッシュフロー倍率!答えは株価キャッシュフロー倍率です!!
株価収益率はみんな大好きPERですが、株価キャッシュフロー倍率はPCFRですって。クラブチームかよ。
その名の通り、株価を1株あたりのキャッシュフローで割り出した倍率のこと。数値が低い方が株価が割安と判断されます。国ごとの会計方法が違っていても比較しやすいことから海外企業との比較に使えます。解説はまぁこれでいいとして、これは当てられないですよねぇ~(>_<)まさか記述式問題に初見を出してくるなんて。

ここは④は当てるのはさすがに無理。①~③はFPWikiユーザーには当てて欲しい。確定点5点です('ω')ノ

参考ページ:12.配当割引モデル計算

問56

ここもいつもと変えてきましたね~(>_<)
サスティナブル成長率は良く出るヤツですが、イールドスプレッドはかなりビビりますね。しかも国債同士じゃなくて株式と国債のイールドスプレッド。
イールドスプレッドってなんか必殺技みたいでかっこいいですよね。
ここの配点は各式3点、答え2点の合計10点としました。

①サスティナブル成長率

サスティナブル成長率は「サステ内部留保」でしたね?(だれも使ってない)
つまり配当で払ってない部分(内部留保)を使って計算します。ROE×内部留保率。
式は ROE×(1-配当性向(%)) になります。当てはめましょう。
ちなみにROE(自己資本利益率)(%)は、(当期純利益÷自己資本)×100で求めます。さすがにこれは知っていないと戦えません。
自己資本は①純資産-新株予約権-非支配株主持分、②株主資本+その他の包括利益累計額のどちらかで求めます。
配当性向は 配当金÷税引後当期純利益×100 で求めますが、サスティナブル成長率に当てはめる場合は18,000百万÷54,000百万です。

ROE:54,000百万÷(445,000百万+9,000百万)×100=11.89%
サスティナブル成長率:11.89%×(1-(18,000÷54,000))=7.93%

答 7.93(%)

①は合格を目指す人なら当てておかないといけないです。応用編の基本のキです。

②債権と株式のイールドスプレッド

こちらはレアな出題となってしまいました。イールドスプレッドは今回で言うと株式と債券の利回り差を出すものです。値が小さい方が割安となります。応用編から出る事は少ない(というか今まで無かったかも)ため、応用編対策には盛り込まず、基礎編のほうにサスティナブル成長率と仲良く並べて入れておりました(10.株式投資の企業分析)。FPWikiマニアの方ならカバー範囲だったのではないでしょうか。
債券と株式のイールドスプレッドの式は、長期国債の利回り-株式益利回りです。単純な式です。
まずは株式益利回りを出さねばなりません。式は、1株当たり純利益÷株価。そう、実はPERの逆ですね。
今度はこれを出すためには1株当たりの純利益も必要ですね。いろいろ手間ですね。やっていきましょう。

1株当たりの純利益=54,000百万÷600百万=90円
株式益利回り=90円÷800円×100=11.25%
債券と株式のイールドスプレッド=0.50%-11.25%=▲10.75%

答えは、-10.75% です。割安です。

株価の800円ってどこから出てきたの?!って表を一生懸命探した方もいたかもしれません。設例に載ってるんですよね。
こういうの本番だと慌てません?私いつも引っ掛かって時間をロスるタイプです(ノД`)・゜・。
それと国債利回りの0.50%の理由。長期国債の利回りを使うのでこの場合は10年国債の利率を使います。

ここは②も当てて欲しいところですが、慣れてない方多いとおもいますのでねぇ~。部分点で3点としておきます。導入する数字をかすっちゃった方も多いと判断します。

ここでの確定点は8点です!!(^^)/

参考ページ:10.株式投資の企業分析 03.財務データ分析

第2問のまとめ

確定点は13点です!!穴埋めが斬新過ぎてそこで大きく落としています・・・(>_<)
計算問題の重要性が問われる回でしたねぇ。レア問ですけど、載せてはいますからねぇ。計算自体は難しくはないんですよねぇ。しっかり覚えて頑張っていきましょう!!

第3問:タックスプランニング

略式別表四ですね。いまのところ第3問はいつもどおりに見えます・・・。進めてみましょう('ω')ノ

問57

略式別表四が最初にやってきました。みなさん準備はよろしいですか?!応用編対策してきましたか?!
配点予想は①~⑥は各1点、⑦のみ2点、合計8点としました。

①9.000,000(円) ②14,000,000(円) ③9,500,000(円) ④5,000,000(円) ⑤5,900,000(円) ⑥51,050(円)
⑦36,000,000(円)

①損金経理をした納税充当金:見積納税額をそのまま転記です。
②役員給与の損金不算入額:毎月の給与じゃないパターン。
やりとりした物の時価との差額が不算入になります。本当の価値よりも余計に払った分は損金不算入にします!てことです。
 (払37,000千円(現金)+3,000千円(動産))-(受25,000千円(不動産)+1,000千円(現金))=14,000千円
③交際費の損金不算入額:17,750千円-150千円=17,600千円
17,600千円-(16,200×50%)=9,500千円
④退職給付費用の損金不算入額:退職給付引当金の当期積み立て分(負債計上分)が加算に計上されます。
退職給付費用5,000千円と同額を退職給付引当金として負債計上してるとなっているので5,000千円となります。
 (支払いのために取り崩した分は減算に計上します。次の⑤の答え)
⑤退職給付引当金の当期認容額:退職給付引当金を取り崩した分が対象です。今回は2,900千円と3,000千円が対象になるので5,900千円となります。
⑥法人税から控除される所得税額:源泉徴収されている所得税と復興特別所得税がこれにあたります。51,050円。
⑦所得金額又は欠損金額:当期利益+加算-減算+法人税から控除される所得税額=36,000,000円

ここはFPWikiユーザーは全問正解して欲しいところでしたが、④の解釈が難しかったですね。それと②の自動車は含むのだろうかとか余計な事を考えちゃった人もいたかもしれませんね。

確定点は④を間違ったとして⑦も芋づる式で、確定点5点としましょう!
5点取れなかった方は、FPWikiの応用編対策で何度も繰り返し学習してください!!(^^)/

05.略式別表(四)(法人税の計算)

問58

問57を踏まえ、法人税を求めます。これも定番です。資料「その他の法人」に該当するのも定番です。
配点予想は式が4点、答え2点、合計6点とします。

まず8,000千円未満の法人税を計算。15%です。

8,000,000×15%=1,200,000円

次に8,000千円以外の法人税を計算。23.2%です。

(36,000,000-8,000,000)×23.2%=6,496,000円

合計:1,200,000+6,496,000=7,696,000円

法人税から控除される所得税額と税額控除を引きます。
100円未満を切り捨てるのを忘れないようにしましょう。

7,696,000-51,050-500,000=7,144,950→7,144,900円

以上になります。ここは変化球なしの問題でした。絶対に当てないといけない問題です。
式を間違えた方がいたとしたら、まだ学習時間が不足していると判断しましょう。
確定点ですが、問57を外していると仮定して答えは不正解。部分点で4点獲得とします!(。◕ˇдˇ​◕。)/

05.略式別表(四)(法人税の計算)

問59

法人税申告の穴埋め問題です。
配点予想は各1点の合計6点とします。

答 ①6(ヶ月) ②10(万円) ③1(億円) ④15(%) ⑤2(事業年度) ⑥更正

ここはもうただの暗記バトルですが、残念ながらFPWiki対象外が二箇所ありました。
無申告加算税の④と青色申告承認取り消しの⑤ですね。
テキストに盛り込むかどうかは少し検討させてくださいm(__)m

確定点は4点です('ω')ノ

13.法人税の概要&青色法人特典

第3問のまとめ

この荒れた2023年5月試験の中ではだいぶ落ち着いていたのではないでしょうか。確定13点です!!

第4問:不動産

問60

課税長期譲渡所得金額の問題です。これはFPWiki応用編02.課税長期譲渡所得の計算の⑤固定資産の交換パターンにあたります。定番です。見ていきましょう。
予想配点は①が式3点、答え2点、②が式2点、答え2点の合計9点です。

答 ①2,800,000(円) ②568,800(円)

①:交換差金分の譲渡資産取得費・交換費用を算出し、それを交換差金から引けば完成です。取得費不明は譲渡時価の5%(概算取得費)、交換費用の区分不明は50%で計算します。

30,000,000円×5%=概算取得費1,500,000円
1,000,000円×50%=交換費用500,000円

課税長期譲渡所得を算出します。
交換差金3,000,000円-(概算取得費1,500,000円+交換費用500,000円)×(交換差金3,000,000円÷(取得資産27,000,000円+交換差金3,000,000円))=2,800,000円

②:所得税および復興特別所得税、住民税の合計額
一般税率になりますので、所得税は15%、復興特別所得税は発生した所得税の2.1%、住民税は5%です。

所得税=2,800,000円×15%=420,000円
復興特別所得税=420,000円×2.1%=8,820円
住民税=2,800,000×5%=140,000円

420,000円+8,820円+140,000円=568,800円(100円未満切捨て)

借地権と底地の交換なので、「えっ、いいのかな」ってなった方もいたかもしれませんね。焦らせるための設定でしょう。しかしもちろん売買できますから交換差金で計算できます。
課税長期譲渡所得の問題を繰り返しやってきたみなさんなら、設例の条件を眺めただけでピンときてすぐに解けた事でしょう。

ここは満点取ってください。確定点9点です!!

02.課税長期譲渡所得の計算

問61

きました。建蔽率と容積率。またすこぉし変な出し方してます。見ていきましょう。
配点予想は2点ずつ。合計4点としました。

答 ①168(㎡) ②396(㎡)

①建蔽率です。今回は乙土地の建蔽率を求めますね。建蔽率はとにかく条件です。条件をすべて確認できるかが勝負。発生するすべての条件は以下の物。
1:土地が2つにまたがっている(第一種低層&近隣商業)→それぞれで計算してその後合計
2:3m道路→0.5mのセットバックが必要
3:角地がある→特定行政庁が定める角地じゃない(無視)
4:耐火建築物は+10%、指定建蔽率80%の耐火建築物は建蔽率制限がなくなる(100%)

条件をふまえて計算します。まず第一種低層住居専用地域。
縦9.5mは0.5mセットバックしますので9m。9.0m×20m×60%=108㎡
次に近隣商業地域。
3m×20m=60㎡
最後に合計します。
60㎡+108㎡=168㎡ 以上です。

②容積率です。簡単です。近隣商業地域と第一種低層住居専用地域とを足すだけです。
容積率は「指定容積率」か「前面道路×前面道路の幅員による容積率制限」のどちらか低い方を採用します。
商業地域のほうは6m×6/10=360%が採用となります。
60㎡×360%=216㎡
住居地域は100%が採用となります。
180㎡×100%=180㎡
最後足します。
216㎡+180㎡=396㎡

ここは確定点は満点いきましょう!!4点です!!((((oノ´3`)ノ
この問題についても取りこぼしがあるようならまだ学習時間が不足しています。
応用編対策で学んでいきましょう!!

04.建蔽率/容積率の計算

問62

建築基準法からの出題です。配点予想は各1点の合計7点です。

①田園住居(地域) ②北側(斜線制限) ③7(㎡) ④8(時) ⑤50(cm) ⑥1(m) ⑦耐火(性能/構造)

【建物の高さ制限】

①ここは高さ制限は低層住居と田園住居です。当てて欲しいところ。
②斜線制限3人衆と言えば道路、隣地、北側ですが、「リンチは閑静な住宅街では行われない」です。よって北側です。
③日影規制は10mなんですが、低層住居と田園住居は7mになります(低層だから)。少し難しかったか。
④これはテキスト範囲外でした。日影規制は概ね午前8時から午後4時までが対象になります。これは公式テキストの分冊には載っています。レア問。

【外壁の後退距離等】

こちらはすべてFPWiki対象外(>_<)すみません!!
⑦については文章をよく読めば「耐火」に気づいた人もいたかもしれませんね。防火って書いちゃったら悲しいね(ノД`)・゜・。

④~⑦がFPWiki対象外・・・。③も少し難しいので、確定点は2点( ˘•ω•˘ )

08.建築基準法(道路・用途・高さ)

第4問のまとめ

ここでの確定は15点。穴埋め問題が変化球だったものの、結果的には第4問は数少ない加点ポイントでした。

第5問:相続事業承継

最後まで来ました。ここまで戦ってきた受験生を称えます。これを1日でこなすなんて並みの精神力では無理です。超人です!!
ここでも高難度の問題が襲い掛かりますね。もうHP残ってないですよ!!ひどすぎる(ノД`)・゜・。

問63

土地の相続税評価額を求める問題・・・なのですが、これまたクソ難易度!!これはさすがにキレた!!どこまでやってくるんだ!!盛り込み過ぎですよさすがに。
私は受験生の味方です!!この試験で負けを認めてはいけない!!絶対に次の試験で勝利しましょう!!

各2点の合計4点予想です。

①3,825(万円) ②10,195(万円)

①貸家建付地。貸家建付地の公式はみなさんわかってると思います。
貸家建付地の価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)ですね。でもこれをどうやって使ったらいいかわかんないですよね。今回の試験( ˘•ω•˘ )
まず自用地価額。これは土地の相続税評価額を求めるわけですから、相続税路線価をつかいます!!前面道路は200E。200とは20万円。これに地積(土地面積)を掛けます。

自用地価額:20万円×225㎡=4,500,000円

次に借地権割合ですが、どこを探してもない・・・。いえ、あります!!実は200EのEの部分なんです!!
FPWikiでは02.不動産価格に(。-`ω-)ちいさぁく載ってます。借地権はAの90%から10%刻みです。Eは50%となります。すると・・・。

貸家建付地:4500万円×(1-50%×30%×100%)=3,825(万円)

こうなります。相続税路線価を正しく理解していた人のみ正解に辿り着けますが・・・難しいですね。

02.不動産価格
18.不動産の評価(相続税評価額)

②自宅敷地。こちらはさらに難易度が上がります。FPWikiもこちらはテキスト範囲外(ノД`)・゜・。
こちらは問題用紙にあるふたつの<資料>が関係してきます。これを見つめてひらめくしかないのです。
ちなみに路線価方式の式はご存じですか?18.不動産の評価(相続税評価額)にありますとおり、
自用地価額=路線価×奥行価格補正率×地積(土地の面積のこと)となります。

まず前面道路は広く面しているところ。25m部分になります。200Eですね。

ただし、今回道路がふたつあるために側方路線も考慮しなければなりません。加算できるんです。
もう一方の道路を正面としてみた場合は奥行が25mになりますので奥行価格補正率は0.97となります。
そして角地と準角地とがありますが、L字型の角地は準角地だそうです。意地悪過ぎるよね。信じられない。
大体さぁ世の中にL字型の角地そんなにあるかね?せめて十字路にしようよきんざいはぁん(*´Д`)?(←マジギレしてる)

加算分の算出(側方路線影響加算)=200千円×0.97×0.02=3,880円
これを足すことができます。

(200,000+3,880)×1.00×500㎡=101,940,000円

正解は101,940,000円です・・・って、こんなの何の前触れも無しにわかる訳ねぇだろうがッッッ!!!
準角地は小生もわかりませんでした。情けないです。反省します。

①はFPWikiカバー問題でしたが、細かいところでしたので確定点は0点です。

18.不動産の評価(相続税評価額)

問64

ここまで一日戦ってきて、受験生のみなさんはぼろぼろと思います。そこにきていよいよ相続税計算の登場です。今回過酷すぎます。相続税計算の一番の問題は時間が掛かる事。スタミナ勝負な分野です。
予想配点は①は式2点答え1点の合計3点、②は式2点答え2点の合計4点、③は式2点答え1点の合計3点、すべての合計で10点の予想です。

①4億4,280(万円) ②9,808(万円) ③2,392(万円)

①課税価格の合計額

まずは土地には小規模宅地の特例を使用します。居住用宅地と貸家建付地は併用可能ですが、同じ枠を使うため、有利な居住用敷地に全振りします。

自宅敷地→1億円-(1億円×330㎡/500㎡×80%)=4,720万円

生命保険は非課税枠が使えますから先に適用しておきます。

生命保険→5,000万円-(500万円×4人)=3,000万円

すべての財産を足していきます。

預金1億4,500万円+株式1憶3,000万円+建物2,500万円+自宅敷地4,720万円+アパート2,000万円+貸家建付地4,000万円+保険金3,000万円+暦年贈与560万円=4億4,280万円

正解は4億4,280万円となります。暦年贈与560万円が前のページにあるため、忘れてしまった人が多いんじゃないかなぁって(ノД`)・゜・。
ちなみに暦年贈与の加算根拠については14.相続税の算出と納付税額にありまして、
「相続開始前3年以内に贈与を受けている場合、相続の課税価格に加算される。その場合、その者の相続税額から贈与時に支払った贈与税額が控除される。」です。

②相続税の総額

総額が決まったところで、今度は税額の計算。まずは基礎控除を計算し差し引きます。

基礎控除→3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円

4億4,280万円-5,400万円=3億8,880万円

この3億8,880万円を基準として相続人個々の法定相続分で分けた時の税額を出していきます。
妻が2分の1、こどもたちが3人いるので2分の1を3人で分けますからひとり6分の1。
あとは相続税の速算表に当てはめて計算していきます。

妻Bさん:3億8,880万円×1/2×40%-1,700万円=6,076万円
長男Cさん:3億8,880万円×1/6×30%-700万円=1,244万円
二男Dさん:3億8,880万円×1/6×30%-700万円=1,244万円
三男Eさん:3億8,880万円×1/6×30%-700万円=1,244万円

6,076万円+1,244万円+1,244万円+1,244万円+1,244万円=9,808万円

この計算はコツがわかればそう難しくないのです。相続人範囲を間違えない事です。

③長男Cさんの納付すべき相続税額

長男Cさんが1憶1,070万円の場合の納付すべき相続税額を求めます。
納税額が全体で9,808万円ですから、長男Cさんの相続分1憶1,070万円が遺産総額4億4,280万円の何割かを求めて按分すれば求められる訳です。

9,808万円×(1憶1,070万円/4億4,280万円)=2,452万円

と、こうなりますね。これで答えを書きたくなりますが、ちょっとまった!!
ひとつお忘れです。①の解説にあったの覚えてますか?

「相続開始前3年以内に贈与を受けている場合、相続の課税価格に加算される。その場合、その者の相続税額から贈与時に支払った贈与税額が控除される。」

このCさん3年以内に暦年贈与で560万円贈与を受けています。ということはその時の贈与税を計算して、今回の相続税から控除せねばなりません。
そう、だから問題文に贈与税の速算表があったのですね!!実親からの贈与ですから特例贈与財産になります。
FPWikiでも01.贈与と法律・贈与税で解説してるぜ!直系尊属は特例な!!よろしくな!!

(560万円-110万円)×20%-30万円=60万円

60万円の贈与税を支払ってるはずなので・・・

2,452万円-60万円=2,392万円

引いてあげて完成です!!

問64はかなりの項目を横断した知識総動員の問題でしたね!でも今回で言えば他の問題よりはずっと正統派の問題。落とせません!!
ここは全部当てる事ができます!!外してしまった人も当てる事ができます!!何回も練習して次は絶対に落とさないようにしましょう!!

確定点10点です!!ヾ(≧▽≦)ノ

19.小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
06.相続税の総額計算
14.相続税の算出と納付税額
01.贈与と法律・贈与税

問65

最後は穴埋め!!ここは結構簡単だ!ここまでの戦いで死んでいなければ加点できたハズだが・・・。みんなもう戦意喪失してたかもなぁ・・・(ノД`)・゜・。
予想配点は各1点の合計6点。

①2(人) ②法務局 ③家庭裁判所 ④遺言書情報(証明書) ⑤1,000(万円) ⑥240(㎡)

①公正証書遺言の証人は2人以上です。基本的な事なので覚えましょう。
②遺言書保管制度と言えば法務局。これもセットで覚えましょう。基本的な事。
③検認は家庭裁判所です。これも基本的な事。外せない問題です。
④は遺言書情報証明書。この名前は馴染みのない人もいるかも。でも当てましょう!
⑤直系尊属3種の中のひとつ。住宅取得等資金贈与は省エネ住宅1,000万円です。これも基本だ!
⑥この特例は床面積240㎡までだ!!これも基本なのだ!!

最後の問65は基本的な問題ばかりでした。こういうのが序盤から出てくれればペースが掴みやすくなるのにねぇ(ノД`)・゜・。
ここは全問当てて欲しいゾ!!確定点は満点の6点です!!

08.遺言書
03.直系尊属からの贈与3種

第5問のまとめ

このセクションは確定16点。メインとなる相続税の計算は割と基本に忠実な出題だったのですが、問63の路線価がねぇ・・・。いきなり本気でグーパンチ出してきたもんな・・・。
問64と問65は満点取れてないと合格はきびしいですね。

応用編まとめ

今回はあまりにも難易度が高すぎたため、おそらく式の部分点はかなり甘めにつけると思います。
そのため今回の確定点は式については大きく配点しています。
たとえば当てはめる数字が間違っていても、式が合っていれば式の部分点は最大にしています。

ここだけは押さえて欲しい点である「確定点」を集計してみると、

  • 第1問 11
  • 第2問 13
  • 第3問 13
  • 第4問 15
  • 第5問 16

合計  68 点

かなりの難易度でイライラが止まりませんでしたが、集計してみるとそこまでひどくもない点数。
ただ、通常なら70点台は出てきますし、部分点多めでこの点数。
この点数では応用編で基礎編の分を取り返すのがなかなか難しいですね。
最近の傾向として応用編レベルが上がり、基礎をしっかり取らないといけない試験回が増えてきています。

「基礎編・応用編」総評

基礎編まだ見てない方はこちら→2023年5月実施FP1級学科試験分析(基礎編)

基礎編は、易問19 普通問14 難問17でした。
「確定点」は易問を全問正解、普通問を半分正解、難問は25%正解として56点。
なんと今回の基礎編は合格点に届きませんでした。

応用編については今回「確定点」を少し甘めにつけましたが68点。

最終結果は56+68=124点

なんと厳しい試験か!!ほんとに申し訳ない(。-`ω-)

今回は難易度調整を間違ったのであろうから配点は甘くなるだろう、
応用問題の式が新たな出題だったので式が描けていれば部分点は大きくなるだろう、
ふたつの点を予測して甘めにつけてこの点数(ノД`)・゜・。

テキストをすべて理解し、過去問もすべて理解し、過去の出題をすべて解き明かせる者がギリギリ受かるライン。
ただのひとつも落とせない試験。恐怖の試験回となりました。

今回の試験はおそらく合格率が過去最低になるでしょう。
私が最後まで解いてみた感触だと下手すれば3%台じゃないですかね。いままでにない結果になると思います。
私が試験会場で受けていたら確実に落ちていましたね。今回のは。

とにかく今回の試験で言いたいのは、「今回の試験結果でFP1級をあきらめないで欲しい」という事。

今回の試験ではあなたの力量や可能性をなにも試したことにはならないからです。

みなさまにもそれぞれの生活があるし夢ややりたいこともある。FPだけがすべてじゃない。
今回の試験に賭けていた、高い試験料を何度も払えない。様々な事情や考えがあると思います。

もしそうだとしても、今後の進退をこの試験で決めないでください。どうかもう一回だけ受けて欲しい。
もう嫌だ!!と思った方でも、ほんとに嫌かどうかは次の試験で判断して欲しい。そう思います。

通常FP1級学科試験の合格率は5%か15%くらいまでの開きがあり、毎回同じではありません。
バラつきがありますから、次回も同じ難易度とは限りません。
それに通常回でも10~20人に一人しか受からない合格率ですから、
そもそも並大抵の努力では1度で合格できないようなラインに設定されているのです。

専門知識が複合されたFP試験ですから、試験回によっては自分の得意な回に当たる事も。
そして何度も試験に挑戦していくうちにFP知識もどんどん身についてきます。
その知識の蓄積の先に、合格がある。本来資格の認定ってそうあるべきな気もします。
今回こてんぱんでしたが、これで一気に成長できたかもしれません!!
FPWikiも成長させていきます!!
みんなで知識を積み上げていきましょう!いっしょに学んでいきましょう!!

おつかれさまでした!!(^^)/

2023年5月実施FP1級学科試験分析(応用編)” に対して7件のコメントがあります。

  1. サスケ より:

    いつもありがとうございます。確定点と自身の答え合わせで精度を上げていきます。基礎の強化が目下の課題と認識。定番応用は落とせないを再度自覚。

    1. Wiki技能士 より:

      コメントありがとうございます!!
      有効に使っていただいておられるようで感激いたしました!
      確定点で落としてしまった部分は逆に言うと加点が狙えます。
      重点的に復習してください(^^)/
      そして定番応用です。加点ウエイトが大きいので一番重視です。
      ある意味基礎です。応用編ですけど基礎、
      しかもひとつが3点~5点になるので体にしみ込ませてください!
      またこちらにも遊びに来てください(^^)/

  2. Asy より:

    いつもありがとうございます。問53の計算ですが777,800×0.004×59=183,560.8 四捨五入して183,561でしょうか?

    1. Wiki技能士 より:

      Asyさんありがとうございます!!
      電卓打ち間違ってたみたいです(ノД`)・゜・。
      ただいま修正いたしました!!
      (`・ω・´)ゞ

  3. 古賀亮平 より:

    いつもありがとうございます。
    予言的中でしたね3%台…。次こそ合格したいです!

    1. Wiki技能士 より:

      悪い予想が的中してしまいました:;(∩´﹏`∩);:
      次の試験は合格率ニョキニョキアップ!!って予想してみます♪
      \(゜ロ\)(/ロ゜)/
      次回試験、がんばってくださいね!(^^)/

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