応用編対策特化:課税長期譲渡所得 | FP1級Wiki

不動産を譲渡したことによる利益にかかる税金を計算するという問題です。
ほぼ毎回出ます。出題はいくつかのパターンがあり、その種類は多くありません。
5つのパターンすべてを覚えて確実に解けるようにしておきましょう。
2021.9月試験では今までの式や答えを書く出題から、穴埋め問題に変わり、配点が下げられたと思われます。
でも解き方が変わるわけではありませんし、出題率が高いのも確実。依然として重要項目です!!
運営としては今後の動向に注視します!

まずは控除額を計算

すべてのパターンに共通している事として、取得費と譲渡費用を控除できます。
先にその計算を行います。

取得費

取得費不明がとにかく多いです。取得費不明の場合はもれなく譲渡価額×5%です。
(概算取得費と言います。)

譲渡費内訳不明

これもたまにあります。この場合は50%です。50%を譲渡費用として加算できます。

相続税の取得費加算の特例

問題中にこの文言があった場合は納付した相続税も費用として控除します。

取得費加算額=相続税×(評価額÷課税価額)

※課税価額は債務控除を考慮しない本当の金額
※小規模宅地特例の評価減を使用している場合は反映させてください

また、相続のときに相続登記関係費用として登録免許税〇〇万円などと出てくることがありますが、取得費にはなりません
引っ掛けなので完全シカトしてください!

課税長期譲渡所得の解き方は全部で5パターン

この5パターンを覚えておけば全てに対応できます。これらをすべて覚えて過去問に挑戦してみましょう。

①居住用3000万特別控除パターン

一番単純なパターンです。2パターンで計算しなさいという問題のときのひとつとして出やすいので
基本系として覚えましょう。

例えばこんな感じで出ます↓

  • 譲渡資産の譲渡価額 : 1億2,000万円
  • 譲渡資産の所有期間 : 50年
  • 譲渡資産の取得費  : 不明
  • 譲渡費用      : 300万円 (家屋の取壊し費用、仲介手数料等)

前項の取得費や譲渡費を計算後、それを含めた下記の式で課税所得を求めます。
課税所得とは税率を掛けるための金額です。

課税所得=譲渡価額-所得費-譲渡費-3,000万

課税所得=120,000,000-(120,000,000×5%+3,000,000)-30,000,000=81,000,000円

掛ける税率は「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(以下、軽減税率)を使用した税率です。
軽減税率は「居住用3,000万特別控除」の時しかそもそも使えないので必ずセットのはずです。
問題文を良く見て解きましょう。

  • 6000万までは軽減税率、所得税10%、住民税4%
  • 6000万超からは一般税率、所得税15%、住民税5%

復興特別所得税額は、出た所得税の金額に2.1%を掛けて算出する。
※10.21%や15.315%を掛けて所得税といっしょに出しちゃう人もいます。

所得税=60,000,000×10%+(81,000,000-60,000,000)×15%=9,150,000
特別復興所得税=9,150,000×2.1%=192,150

9,150,000+192,150=9,342,150⇒9,342,100円

住民税=60,000,000×4%+(81,000,000-60,000,000)×5%3,450,000円

②空き家3000万特別控除パターン

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」のパターンです。
これは前出の居住用3000万パターンと同じ式で解いていくのですが、各種特例が使えません。

  • 軽減税率が使えないので所得税15%、住民税5%です。復興特別所得税2.1%
  • 相続税の取得費加算の特例も使用できません。

課税所得=120,000,000-(120,000,000×5%+3,000,000)-30,000,000=81,000,000円

所得税=81,000,000×15%=12,150,000円
特別復興所得税=12,150,000×2.1%=255,150円

12,150,000+255,150=12,405,150⇒12,405,100円

住民税=81,000,000×5%=4,050,000円

③居住用財産の買換(100%繰延)パターン

①売った土地と家より、買った土地と家のほうが高かった場合(つまり損失のほうが大きかった場合)、譲渡を無かったことにできる。
②買った土地と家のほうより売った土地と家のほうが高かった場合(プラスになった場合)、差額について譲渡所得の対象になる。

FP試験では、譲渡が無かったことになると問題にならないので、②のケースが出題されます。

こんな感じで出ます↓

  • 譲渡資産の譲渡価額:  1億円
  • 譲渡資産の取得費 :  不明
  • 譲渡費用     :  300万円
  • 買換資産の取得価額: 6,500万円

①差額が収入金額です。

譲渡価額-取得価額=差額収入

100,000,000-65,000,000=35,000,000

②取得費と譲渡費を計算します。

(取得費+譲渡費)×(差額収入÷譲渡価額)=差額分の取得費・譲渡費

(100,000,000×5%+3,000,000)×(35,000,000÷100,000,000)=2,800,000

譲渡利益

譲渡益=①-②

譲渡益=35,000,000-2,800,000=32,200,000

税率は一般税率になりますので所得税15%、住民税5%
復興特別所得税額は、出た所得税の金額に2.1%を掛けて算出する。

所得税=32,200,000×15%=4,830,000
特別復興所得税=4,830,000×2.1%=101,400

4,830,000+101,400=4,931,400円

住民税=32,200,000×5%1,610,000円

④事業用資産買換の特例(80%繰延)パターン

特定の事業用資産は、譲渡資産の譲渡価額から取得価額の80%を引くことができます。しかし、計算の基礎となる取得価額は譲渡価額までが限度となります。つまり、事業用の買替は、買い替えの結果が赤字でもマイナスにはしてくれないんですね。譲渡価額(売却のほう)の80%までが繰延の上限ということになります。

例えばこんな感じで出ます↓

  • 譲渡資産の譲渡価額    8,000万円
  • 譲渡資産の取得費      不明
  • 譲渡費用         300万円 (仲介手数料等)
  • 買換資産の取得価額    9,000万円

繰延の計算をします。

①  譲渡価額-取得価額(譲渡価額が上限(上記の問題で言うと8000万))×80

80,000,000-80,000,000×80%16,000,000円

取得費や譲渡費は、繰延したことが影響するため、繰延で得した分の割合をカットする感じです。

②  (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(繰延後の譲渡価額÷譲渡価額)

(80,000,000×5%+3,000,000)×(16,000,000÷80,000,000)=1,400,000円

最後は

譲渡益=①-②

譲渡益=16,000,000-1,400,000=14,600,000円

税率は一般税率になりますので所得税15%、住民税5%

復興特別所得税額は、出た所得税の金額に2.1%を掛けて算出する。

所得税=14,600,000×15%=2,190,000円
特別復興所得税=2,190,000×2.1%=45,990円

2,190,000+45,990=2,235,990⇒2,235,900円

住民税=14,600,000×5%730,000円

⑤固定資産の交換パターン

固定資産の交換の特例は、同じ種類の資産を交換すると相殺分をなかったことにできる制度です。
差し引きゼロだと問題にならないので、出題は差額が少しプラスになって差金があった場合で出題されます。

計算方法はざっくり言うと、交換差金を収入とし、そこからその分の割合の費用を差し引いたものが課税所得となります。
税率は一般税率になります。

例えばこんな感じで出ます↓

  • 交換譲渡資産の取得費: 不明
  • 交換譲渡資産の時価 : 4,000万円 (交換時)
  • 交換費用      : 100万円 (譲渡と取得の費用区分は不明)

〈交換取得資産〉

  • 交換取得資産    : 所有権 (底地)
  • 交換取得資産の時価 : 3,600万円 (交換時)

〈交換差金〉

  • 受領した交換差金  : 400万円

費用の算出をします。

(取得費+譲渡費)×(交換差金÷交換譲渡資産の時価)=差金分の取得費・譲渡費

(2,000,000+1,000,000×50%)×(4,000,000÷(36,000,000+4,000,000))=250,000

 

差金から費用を引きます。

交換差金-差金分の取得費・譲渡費=課税所得

課税所得=4,000,000-250,000=3,750,000円

 税率は一般税率になりますので所得税15%、住民税5%
 復興特別所得税額は、出た所得税の金額に2.1%を掛けて算出する。

所得税=3,750,000×15%=562,500円
特別復興所得税=562,500×2.1%=11,812.5円

562,500+11,812.5=574,312.5⇒574,300円

住民税=3,750,000×5%187,500円

まとめ

Wiki技能士

課税長期譲渡所得の問題は長年FP1級応用編での定番問題でした。
しかしこのところ出題傾向が変わりつつあります。
現状、式と答えを書きこむ問題だったものが穴埋めに変わったというものです。
ただし、いまのところは問題を解くにあたっての必要知識は同じものが必要になります。
過去には一度変えてきた出題傾向をまた元に戻したこともありますので、
両方対策できるようにしておきましょう。

2021年04月11日 タグ:課税長期譲渡所得

外部リンク:国税庁No.3208長期譲渡所得の税額の計算(参考)