贈与と法律・贈与税|FP1級Wiki

誰かからお金や資産をもらうと贈与ということになり、お互いの合意があると贈与契約となる。
贈与契約は書面でも口頭でも成立してしまう。ただし片方からの一方的意思表示だけでは認めない。
贈与者・受贈者間の合意だけで効力が生じる事を諾成契約と呼ぶ。
諾成契約であるため、贈与の時期はお互いに合意があった日ということになる(書類に限らないため)。

贈与の取り消しについては書面があるなら取り消しは効かず、口頭の場合は履行が終わる前なら取り消しができる。

夫婦間で締結した贈与契約は婚姻中、第三者の権利を害さなければいつでも一方から取り消しができる。
また、農地の贈与については知事の許可が出る前であれば引き渡し後であろうとも取り消しができるとされている。

贈与の種類

贈与には単純贈与(通常の贈与)の他に次の表の3種類が存在する。

定期贈与

定期贈与とは名の通り定期的な贈与(例:毎年100万円送る)。
定期贈与はどちらかが死亡したらそれ以後の効力は失い、相続人に引き継がれることはない。
定期贈与は継続的な贈与なので、1年間の受贈額で贈与税を計算するのではなく、定期的にもらう権利全体に対して贈与税が掛かってくる。

負担付贈与

負担付贈与は、贈与すると同時に一定の債務を負担させる契約。
受贈者が負担を履行しなければ贈与者は契約解除できる。
差し引いた差額のみが贈与税の課税対象になる。
贈与者のほうは債務分の資産を譲渡したとして所得税住民税が掛かる。
贈与資産と債務となる資産の因果関係はなくとも良い。
(例えば土地とその土地の借金でなきゃダメとかではない)

死因贈与

死因贈与は贈与者の死亡で発動する一種の始期付きの贈与。
遺言による遺贈に近い感じがするが、遺言は死者の一方的な意思表示であるのに対して、
死因贈与はお互いの合意によって成立するところが違う。
ただ、法律上の扱いに似ている部分もあり贈与税ではなく相続税の課税対象になる。

暦年課税による贈与税額の計算

暦年課税とは暦(こよみ)の一年間(つまり1月~12月の間)にあった贈与について課税するもの。基礎控除として110万円が使用できます。
ただし、相続時精算課税制度を選択している場合、その者からの贈与には基礎控除は使用できなくなります。
控除後の課税価格に特例贈与財産と一般贈与財産それぞれの税率を乗じて計算します。

課税価格特例贈与
税率
特例贈与
控除額
一般贈与
税率
一般贈与
控除額
200万円以下10%10%
200万円超 300万円以下15%10万円15%10万円
300万円超 400万円以下15%10万円20%25万円
400万円超 600万円以下20%30万円30%65万円
600万円超 1,000万円以下30%90万円40%125万円
1,000万円超 1,500万円以下40%190万円45%175万円
1,500万円超 3,000万円以下45%265万円50%250万円
3,000万円超 4,500万円以下50%415万円55%400万円
4,500万円超55%640万円55%400万円
特例贈与というのは成人した者が受けた直系尊属からの贈与を指し、一般贈与はそれ以外の贈与を言います。

※試験では計算問題として出ます。表は与えられますので税率等を覚える必要はないと思います。

同一年中に特例贈与財産または一般贈与財産のどちらか一方のみを受けた場合

  • 年間で贈与を受けた合計額-110万円(おしどり贈与があればそれも)=課税価格
  • 課税価格×税率-控除額=贈与税額 

(例)二人の人間から特例贈与と一般贈与をそれぞれ500万ずつ受けた場合

まず合計する。

500万+500万=1,000万円

基礎控除を引く。

1,000万円-110万円=890万円

出た答えを特例贈与財産に当てはめる。

890万円×30%-90万円×(500万÷1,000万)=88.5万円

もうひとつ、一般贈与財産に当てはめる。

890万円×40%-125万円×(500万÷1,000万)=115.5万円

※(500万÷1,000万)というのはそれぞれの割合分の税額を求めるためです。

最後に合計する。

88.5万円+115.5万円=贈与税額204万円

贈与税の申告

贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに受贈者の納税地の所轄税務署長に申告する。
申告期限までに全額を納付するのが困難な場合は延納が認められる。
贈与税では物納は認められていない。延納は最長5年。 100万円以下かつ3年以下の場合は担保は不要とされる。
申告書の提出後、税額が少なかったことに気づいた場合は更生の通知があるまでは修正申告書を提出できる。

申告書の提出後、税額が多かったことに気づいた場合は法定申告期限から6年以内に限り更生の請求ができる。

受贈者が死亡した場合

以下のような場合、相続人および包括受遺者が申告義務を引き継ぐ。

  • 受贈者が年の途中で死亡し、その年贈与税を納付する必要がある場合。
  • 受贈者が翌年3月15日までに申告書を提出しないで死亡した場合。

この場合、申告期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内となる。

外部リンク:国税庁

それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問42

贈与契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 定期贈与契約は、贈与者または受贈者の死亡により、その効力を失う。
  2. 負担付贈与契約により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。
  3. 負担付贈与がされた場合、遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。
  4. 死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。

.

.

.

解答

助手のウィキ子

4は、死んだ後に効力発生するとはいえ、あくまでも贈与契約なのでお互いの同意が必要。
一方的な片思いでは成就しないのです。アーメン。

贈与と法律