相続税の総額計算(応用編対策特化)| FP1級Wiki

応用編での相続税の計算はかなりのボリュームがあります。
午前中午後の試験と疲労が溜まってきた最後の最後に登場するため、
受験生にとって最後の山場と言えます。

ひとつひとつをしっかり解き進めていきましょう。
出題傾向としては相続税の総額の計算。
そこから個人の相続税額の計算といった流れでの計算問題が多いようです。

(最近の応用編で出た総額計算,2017.9、2018.9、2019.5、2019.9、2021.5、)

法定相続分

法定相続人の範囲妻の相続分妻以外の法定相続人の分(全員で)
妻と子1/2こどもみんなで1/2
妻と親2/3親1/3(両方死んでたら祖父母)
妻と兄弟姉妹3/4兄弟姉妹みんなで1/4

問題に出てくる設定では誰かが死んでいたり相続放棄していたり養子縁組してたり現実にはあまりないことがたくさん起こっています。
ルールの確認をしておきましょう。

相続放棄

  • 代襲相続はしない
  • 他に同順位の人がいない場合、順位がずれる。(しかし、それで配偶者の相続分が増えたりはしない)
  • 相続税の総額の計算上は頭数に入れられる(放棄した人自身はその非課税は使えないけど)

相続廃除

  • 代襲相続する

相続欠格

  • 代襲相続する

※3つとも生命保険金を受け取ることはできるが、非課税は使えません。

養子のカウント(相続税法上)

  • 子どものいないお家は2人まで
  • 子どもがいるお家はひとりまで

(これは非課税金額を計算するためのもので、民法上相続できないわけではありません)

養子と代襲相続がかぶる人

  • 税法上(非課税の計算)は重複しない(節税にはならない)
  • 民法上(法定相続分)は重複する(取り分は増える)

相続税の総額の計算

FP試験では相続税の総額を求める問題が難問として登場します。

計算する順番は、

(相続時精算課税の適用を受ける贈与財産+遺産総額)=A
A-非課税財産-葬式費用-債務控除=B
B+相続開始前3年以内の贈与財産=C
C-基礎控除額
=課税遺産の総額

このようになります。債務控除は先に引け!です。

相続税の基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)です。

実際どう分割したかは関係なく、法定相続人がそれぞれ法定相続分で受け取ったと仮定して税金の合計を計算します。
税額の計算表は問題に与えられます。

参考

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

このような表が与えられます(覚える必要はありません)

法定相続人に入れられる養子(非課税枠)

  • 実子がいる家なら1人。子なしなら2人までのカウント
  • 実子との親子関係が消滅した特別養子縁組と連れ子養子は制限に入らない(実子扱い)
  • 代襲と養子がかぶってもダブルカウントしない(生命保険金の非課税や基礎控除)
  • 相続人が受取人の死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」が非課税となります

債務控除

  • 問題文に債務控除対象の支払いが記載されている場合は総額から引くことができます(葬儀費用など)

不動産(土地)の評価

  • 賃貸アパート(貸家建付地)=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)←貸家建付地とは土地も建物も自分で持ってるってことです。

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

  • 事業用400㎡まで80%減額、居住用330㎡まで80%減額、合わせて最大730㎡まで利用できる。
  • 貸付事業用宅地は200㎡まで50%減額。しかし貸付事業用地は下記の式に当てはめた分が最大。

事業用の適用面積(400㎡)×(200/400)+居住用の適用面積(330㎡)×(200/330)+貸付事業用の適用面積≦200㎡

相続時精算課税制度利用分の財産

  • 相続時に加算する価額は基本、相続時の価額ではなく贈与時の価額になります。

教育資金一括贈与の残額

  • 3年以内の贈与でも残額は対象にならなかったが、令和3年度契約分以降残額を加算

住宅取得資金一括贈与と結婚子育て一括贈与の残額

  • 常に相続対象

これらの様々な控除や加算をして遺産総額を求めます。
金額が判明したところで、法定相続人の割合に応じて分配。
それぞれの相続金額を元に、上の表に当てはめそれぞれの相続税額を個別算出。
それを合計して相続税の総額を求めます。

(このあとに個人の納付税額を求める場合には、この総額から実際の相続額を按分して求めます。)

計算の仕方

被相続人ー妻ーこども2人
遺産総額2億5000万円、債務控除200万円

2億5,000万円-債務控除200万円-(基礎控除3,000万円+600万円×3人)=課税遺産総額2億円

課税遺産の総額2億円を法定相続分で分けたと仮定して相続税の総額を計算。
妻 2億円×1/2×30%-700万円=2300万円
子A 2億円×1/4×20%-200万円=800万円
子B 2億円×1/4×20%-200万円=800万円

2300万円+800万円+800万円=3900万円

このケースだと遺産総額2億5000万円に対する相続税総額は3900万円になります。

注意点

・相続税の2割加算や未成年者控除などは相続税の総額の計算ではまだ登場しません。個人の納付税額の計算で登場しますので注意しましょう!

個人の納付税額の計算

各相続人の税額は、先ほどの例で説明すると相続税総額は3,900万円。
これを実際に受け取った金額に按分します。例えば子Aが5,000万円を相続していた場合。

5,000万÷遺産総額2億5,000万=20%
相続税総額3,900万円×20%=780万円

子Aが5,000万円の相続に支払う相続税は780万円ということになります。

その他、加算や控除がある場合の計算の順序は以下のようになります。

各相続人等の税額+2割加算-暦年課税分の贈与税-配偶者の税額軽減-未成年者控除-障害者控除-相次相続控除-外国税額控除-相続時精算課税分の贈与税納付額-医療法人持分税額控除=その人の納付税額

2割加算について

  • 1親等以外は2割加算となります(孫・甥・兄弟姉妹)
  • 代襲した人は加算されません
  • 孫養子は2割加算です

未成年者控除

(成人年齢-相続開始年齢)×10万円
※相続開始年齢は1歳未満は切捨て

↓(ここから先は相続税の総額計算で出題されたことはありませんが念のため)↓

障害者控除

(85歳-相続開始年齢)×10万円※
・相続開始年齢は1歳未満は切捨て
・※特別障害者は20万円

相次相続控除(計算式までは出題されないと思います。条件をチェックする程度)

  • 10年以内に被相続人が相続財産を取得していた場合に、被相続人から相続した者の税額から一定の算式で出た金額が控除される。

外国税額控除(計算式までは出題されないと思います。条件をチェックする程度)

  • 外国にある財産を相続し、外国で相続税にあたる税金を払う場合に一定の算式で出た金額が控除される。

 

相続時精算課税分の贈与税額控除

  • 制度を利用し生前贈与された財産について課された贈与税額がある場合、その税額を控除できる。個人の納付税額を計算する問題の場合に最後引くことができます。過去に納めてる分なのですから当然といえば当然ですね。さらに控除しきれなければ還付される。

相続税の総額計算(まとめ)

Wiki技能士

相続税の総額計算は、とにかく長い計算をするので難しいです。
何度もやって覚えてくださいってことになってしまうのですが、
その中で注意していただきたいのは2点。

計算する順番と、細かい部分のルールです。

債務控除はいつ引くのか。2割加算はどのタイミングか。
未成年者控除や障害者控除の計算方法は?
相続放棄や代襲相続すると非課税枠や法定相続分はどうなるの?

この辺が適当だとまず落とします。
厳しい言い方かもしれませんが、
ここまで来ているあなたなら絶対できます!!
高校時代の教科書がクローズだった私でもできましたから!
頑張ってください!!

外部リンク:きんざい(過去問掲載)
タグ 相続税の総額計算

2021年04月24日