公的介護保険 | FP1級Wiki
介護保険は、40歳以上の国民が介護保険の被保険者として保険料を負担し、病気やケガ、高齢で介護が必要な方のためにみんなで助け合う制度です。市区町村が保険者(加入元)となり、加入者は65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者に分かれます。
第1号被保険者、第2号保険者の主な違い
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
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保障を受けるとき | 原因を問わず 要介護・要支援認定を受けたとき | 特定疾病(16種)で 要介護・要支援認定を受けたとき |
保険料 | 市区町村が徴収 (金額は自治体ごと、その人の所得ごとで異なる) 年金年額18万以上は天引き。 <優先順位> ①老齢年金 ②障害年金 ③遺族年金 以上の順番で特別徴収されます | 健保や国保といっしょに徴収。 <健保> <国保> 算出方法は自治体で異なります! |
自己負担割合の違い
第1号被保険者が非常に複雑です。割合は3段階なんですが、分類が5段階あります。
ケアプランの作成については自己負担はありません。
自己負担 | |
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第2号被保険者(40歳以上65歳未満) | 1割 |
第1号被保険者(65歳以上) | 自己負担 |
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本人所得160万円未満 本人所得が160万~220万円未満でも、 単身者は年金とその他の合計が280万円未満 2人以上の世帯なら年金とその他の合計が346万円未満 | 1割 |
本人所得160万~220万未満かつ 単身者は年金とその他の合計が280万円以上 2人以上の世帯なら年金とその他の合計が346万円以上 本人所得が220万以上でも 単身者は年金とその他の合計が240万~340万円未満 2人以上の世帯なら年金とその他の合計が346万~463万円未満 | 2割 |
本人所得が220万円以上でさらに 単身者は年金とその他の合計が340万円以上 2人以上の世帯なら年金とその他の合計が463万円以上 | 3割 |
介護認定
介護保険から給付を受けるには市町村から要介護や要支援の認定を受けます。
判定は30日以内に行われ、申請のあった日にさかのぼって効力を有します。
有効期間は新規の場合6カ月。状態区分変更や更新の場合は原則12カ月です。
(申請者の状態によっては、介護認定審査会の判断により3か月から12か月の範囲内で有効期間が設定される場合があります)
更新は満了日の60日前から可能で、状態区分の変更の認定はいつでも申請可能です。
要支援1~2、要介護1~5までの7種類の認定があり、重くなるほど受けられるサービスの種類と頻度が変わる。
認定に不服がある場合は介護保険審査会に3カ月以内に請求する。
介護保険の各種給付
下記以外にも市町村独自のものがある(市町村特別給付)
要支援から受けられるサービス(要介護の人も受けられます)
- 特定福祉用具販売
- 住宅改修費の支給
- 訪問 介護・入浴・看護 ・リハビリテーション
- デイサービス・デイケア
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 認知症対応型共同生活介護 (要支援2から利用可能)
- 福祉用具貸与 (介護度によって貸与できない福祉用具があります)
要介護から受けられるサービス(要支援の人は受けられません)
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設(2024年度末に廃止予定)
- 介護医療院
- 介護老人福祉施設
- 特別養護老人ホーム(原則要介護3から利用可能)
- 福祉用具貸与 (介護度によって貸与できない福祉用具があります)
高額介護サービス費・高額介護予防サービス費
年間自己負担上限(446,400円)が設定されていましたが、2020年7月に廃止となりました。
所得段階 | 所得区分 | 自己負担上限(月) |
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第1段階 | ①生活保護者 ②15,000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合 ③市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者 | ①個人15,000円 ②世帯15,000円 ③世帯24,600円 個人15,000円 |
第2段階 | 〇市町村民税世帯非課税で 「公的年金等収入金額+合計所得金額」が80万円以下である場合 | 世帯24,600円 個人15,000円 |
第3段階 | 〇市町村民税世帯非課税 〇24,600円への減額により生活保護の被保護者とならない場合 | 世帯24,600円 |
第4段階① | 〇課税所得380万円(年収約770万)未満 | 世帯44,400円 |
第4段階② | 〇課税所得380~690万円(年収約1,160万)未満 | 世帯93,000円 |
第4段階③ | 〇課税所得690万円(年収約1,160万)以上 | 世帯140,100円 |
外部リンク:きんざい,厚労省(介護保険の概要)
それでは過去問を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問1
公的介護保険(以下、「介護保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 2018年8月以降、第1号被保険者および第2号被保険者のうち、前年の合計所得金額が220万円以上の者が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、原則として、3割である。
- 介護保険の被保険者が有料老人ホーム(地域密着型特定施設等を除く)に入所し、その施設の所在地に住所を変更した場合、原則として、引き続き施設入所前の住所地の市町村(特別区を含む)が実施する介護保険の被保険者となる。
- 要介護認定を受けた被保険者は、その介護の必要の程度が現に認定を受けている要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当するときは、要介護認定有効期間の満了前であっても、市町村(特別区を含む)に対し、区分変更の認定の申請をすることができる。
- 介護医療院は、主として長期療養を必要とする一定の要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
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解答
1
介護保険の自己負担割合は1号か2号か、1号だったら単身者か家族ありか、とても複雑なんですけれども、雑に選択肢に入れてきてる時点で不適切という事になります。
2番は適切です。老人ホームは田舎にある事が多いので、年金暮らしの人がみんなそっちに住民票を移しちゃうとそっちの自治体がやってけなくなっちゃうんですね。それでです。
3番も適切。介護者の具合は当然急変もあり得ますから、これが出来なければ制度として成立しませんよね?
4番も適切です。詳しく載せてはいませんが、なんか名前から看護してくれそうなのは直感でわかると思います。介護保険施設や介護療養型医療施設がいまいち機能できていないのでわりかし新しく設定された次世代の医療と住まいを両立した施設です。
介護保険の項目の注意点は、1号と2号ですかね。
1級試験で細かいところをたくさん覚えていくと、
あれ1号ってどっちだっけ?みたいな事になります。
難しくなってきたからこそ基本も大事ですよ♪
2021年04月03日