在職老齢年金|FP1級Wiki

老齢厚生年金には、働きながら年金を受け取るという在職老齢年金制度があります。
報酬によって年金額が一部停止となりますので、その仕組みを学びましょう。
そしてFPとして幅広く勉強していくと基礎年金とごっちゃになったりしますが、
この話は厚生年金のお話なので混同しないようにしましょう。

       

在職老齢年金の仕組み

老齢厚生年金(特別支給も含む)の受給権を取得した者が、厚生年金の被保険者として勤務する場合、
その報酬が一定額を超えると老齢年金が減額調整されます。(報酬は給与と賞与との合計)

70歳以降は厚生年金保険適用の職場に勤め続けても厚生年金の被保険者とはならないが、在職老齢年金はそのまま適用される。(ヒドイね)

もともと厚生年金の被保険者でない個人事業主やパートアルバイトは在職老齢年金は適用されない。

しかし、受給開始後に納め続けた保険料は、被保険者でなくなったときと65歳になったときに、
その都度、年金額に反映され、再計算された年金が支給される。(無駄にはならないんだね)

在職老齢年金の計算方法

2022年4月からは65歳未満の人も65歳以上の人と条件が同じになっています。

在職老齢年金が適用されない場合(満額支給)

総報酬月額相当額+基本月額≦48万円

  • 総報酬月額とは、その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与の12分の1
  • 基本月額とは、加給年金等を除く老齢厚生年金の月額

48万円を超えてしまった場合

支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+基本月額-48万円)×1/2

老齢基礎年金と経過的加算は減額されない加給年金額については、本体部分が一部でも支給されさえすれば全額支給される。

70歳以上の場合は厚生年金保険の被保険者でなくなるので保険料負担は不要。でも在職老齢年金は適用される。

       

在職定時改定・退職改定

厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受ける65歳以上70歳未満の者が、基準日の9月1日において被保険者であるときは、翌月の10月分の年金額から見直される(在職時改定)。
また、受給権者が退職により資格を喪失し、かつ被保険者とならずに喪失日から1月を経過したときは、喪失した月前の期間を算入して年金額を再計算し、退職日から起算して1月を経過した日の属する月から年金額を改定する(退職改定)。

他の給付との関係

失業給付の基本手当(65歳未満)との関係

特別支給と基本手当は両方同時に受け取ることはできません。
特別支給の老齢厚生年金は基本手当が支給されている月は、支給停止する。
基本手当の支給が無い月は支給停止されない。
基本手当の支給が終了した時には事後清算が行われ、遡って特別支給の年金が支給される。

高年齢雇用継続給付との調整

高年齢雇用継続基本給付金または高年齢再就職給付金が支給される場合、
支給される給付金はそのまま受取れますが、
厚生年金は在職老齢年金の仕組みによる支給調整の他に、さらに標準報酬月額の最大6%が支給停止される。

標準報酬月額が「60歳到達時の賃金額」の61%未満のとき

調整額=標準報酬月額×100分の6

※60歳到達時の賃金額とは、みなし賃金日額×30日で計算する。
※高年齢雇用継続給付金等は60歳以後の給料が一定額低下した際に支給される制度→該当ページへリンク

応用編の在職老齢年金の計算でも述べていますが、
6%の支給停止は、「老齢厚生年金額から標準報酬月額の6%分を停止する」です。
年金額の6%分を止めるのではないですし、雇用保険が6%分停止するのでもない、
というところをごちゃごちゃにならないよう注意してください。

外部リンク:日本年金機構

       

在職老齢年金制度についての過去問は控えます(改正したばかりなので)。

Wiki技能士

在職老齢年金制度は60歳と65歳の二段構成でしたが、
このたび改正になりました。
過去問がまだ存在しないので、なしでーす。