宅地建物取引業法|FP1級Wiki
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業を営む者に免許制度を実施しています。
FP1級学科試験では専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いを問題に出されるケースが多いです。
また、宅建士ができることについては実技試験で必要になりますので、実技試験の事も見越して学習しましょう。
宅地建物取引業
宅地建物取引業とは、宅地と建物を売買して商売してる業種です。 宅地とは、「建物の敷地」「用途地域内の土地(公園や道路のぞく)」実際に建物の敷地に使われてなくても、取引によって建物の敷地に使うことになるのなら「農地や林地」も該当します。 (用途地域とは都市計画法で13種類に分類された土地の事です。)
宅地建物取引業にあたるものは以下の行為を生業としたものです。(自己所有物件の貸借のみ取引業に該当しない)
- 宅地建物の売買・交換
- 宅地建物の売買・交換・貸借の代理
- 宅地建物の売買・交換・貸借の媒介
免許制度
- 1つの都道府県にのみ事務所を設置:都道府県知事の免許を受ける
- 2つ以上の都道府県に事務所を設置:国土交通大臣の免許を受ける
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは、試験に合格し、都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引証の交付を受けている者をいう。
専任の宅地建物取引士の設置義務
業者は事務所ごとに専任の取引士の設置義務がある。
- 事務所の場合:事務所ごと設置。業務に従事する5人に1人以上の割合で設置すること。
- 案内所等の場合:少なくとも1人以上の設置。
以下の業務は宅地建物取引士にさせること(専任でなくてよい)
- 重要事項の説明(契約解除、損害賠償などの事項)
- 重要事項説明書(契約成立前)への記名
- 37条書面(契約締結時に交付する)への記名
買主または借主が宅地建物取引業者の場合は、重要事項の説明は不要。しかし書面は交付すること。
業務上の規制
報酬の制限
売買・交換の媒介において売主、買主それぞれ一方からもらえる報酬は、物件の価額に応じた上限がある。
取引物件の価額 | 報酬限度 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200~400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
※ただし、400万円以下の低廉な空き家の媒介で、現地調査等の費用を要するものは上記の表+費用(18万円+税)が上限となる。 貸借についての媒介で、貸主と借主の双方から受領できる報酬額は、原則、合算して借賃の1カ月分以内である。ただし、居住用の建物賃貸借の場合は、原則、一方の依頼者から受領できる報酬は借賃1カ月分の2分の1以内となる。
主な業務上の規制
多種ある業務上の規制で出題されそうなもの
クーリングオフ
- 宅地建物取引業者が売主(買主は業者以外)の場合で、一定の場所以外にて申し込みや契約を締結した場合はクーリングオフ(契約解除・撤回)ができる。一定の場所とは「宅建業者の事務所」「モデルルーム等案内所」「買主が指定した場合に限り買主の自宅・勤務先」など。
- 申し込み場所と、契約場所が異なる場合は、申し込み場所優先。宅建業者はクーリングオフを理由に損害賠償や違約金請求はできない。
手付金の制限
- 宅建業者が売主(買主は業者以外)の場合、代金の2割を超える手付金は受け取れない。
- 手付金の貸付や分割受領はできない。
契約不適合責任
- 宅建業者が売主(買主は業者以外)の場合、契約不適合に対する買主から売主への通知期間を、物件の引渡日より2年以上の期間とする特約は有効であるが、2年未満とする特約は無効となる。
損害賠償予定額の制限
- 宅建業者が売主(買主は業者以外)の場合、債務不履行を理由とする契約解除で損害賠償を予定する場合、代金の2割を超えた定めは、超えた分を無効とする。
法令の優先順位
個人が宅建業者から住宅を購入する場合、宅建業法と消費者契約法が競合するときは、宅地建物取引業法が優先される。
媒介契約
宅建業者に媒介をお願いして売買相手を探してもらう場合、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介契約の3種類がある。
媒介契約 | 他業者へ の依頼 | 自己取引 | 指定流通 機構への 登録義務 | 業務報告義務 | 有効期間 |
---|---|---|---|---|---|
一般 | できる(明示不要) | できる | なし | なし | なし |
専任 | できない | できる | 7日以内 | 2週間に 1回以上 | 3か月 を上限 |
専属専任 | できない | できない | 5日以内 | 1週間に 1回以上 | 3か月 を上限 |
宅建業者は契約を締結した時は速やかに書面を作成&交付する。また申し込みがあった際も速やかに依頼者に報告する義務がある。
外部リンク:国土交通省
それでは過去問を解いてみましょう。
宅地建物取引業法の媒介契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。2020年1月試験 学科 問34
9問目/選択問題数12問
- 専任媒介契約の有効期間は2カ月が上限とされ、依頼者の申出により有効期間を更新する場合も、更新の時から2カ月が上限となる。
- 媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地または建物の売買または交換の申込みがあった場合、当該申込内容が依頼者の希望に沿わないものであっても、遅滞なく、申込みがあった旨を依頼者に報告しなければならない。
- 専属専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、依頼者に対し、当該媒介契約に係る業務の処理状況を、2週間に1回以上報告しなければならない。
- 専属専任媒介契約を締結した依頼者は、他の宅地建物取引業者に重ねて媒介を依頼することはできないが、依頼者が自ら見つけた相手方と直接に売買または交換の契約を締結することはできる。
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解答
2
1は、有効期間は3ヵ月上限です。越えた分が無効になります。
3は、専属専任は1週間に1回です。ここはいつも迷います。
4は、専属専任は直接相手とやり取りしたらいけません。専任は〇。