農地法・生産緑地法|FP1級Wiki

農地法

 農地法はざっくりというと国民への安定した食料供給を図るために農地を守るための法律。
FP試験ではほぼ農地法第三条、第四条、第五条からの出題で、許可申請届出のみかが問題に出やすいです。
基本的にみなさん表を覚えることになりますが、ざっくり頭に入れていただきたいのが
「都市部(市街化区域)には建物が欲しくて、農業は郊外(市街化調整区域)でして欲しい」
という事です。
迷ったときは「これに反すると許可申請だ」と思うと当てやすくなります。

 3条(権利移動)4条(転用)5条(権利移動と転用)
内容農地、採草放牧地の所有権を移転、または地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権もしくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定(抵当権設定は除く)、もしくは移転する場合。
 (例)農業をやるために農地を購入、賃借する場合
農地を農地以外の物にする場合(採草放牧地は除く)
 (例)所有の農地に住宅を建築する場合
農地、採草放牧地を転用するためにこれらの土地に何らかの権利を設定、あるいは権利を移転する場合(採草放牧地→農地の転用は除く)
 (例)もともと農地のところを買うか借りるかして、宅地として住宅を建築する場合
許可権者農業委員会へ許可申請都道府県知事へ許可申請 (市街化区域は農業委員会への届出のみで可) 都道府県知事へ許可申請
(市街化区域は農業委員会への届出のみで可)
市街化区域はそもそも建物を建ててほしい地域なので届出のみでOKとしている
  • 地目を問わないため遊休地化している農地も農地法上は農地となる。
  • 相続した時は10ヶ月以内に農業委員会に届出する。
  • 賃貸借は引き渡しがあれば抗力が発生する。期間は50年が最長で、それ以上の契約をしても50年になる。
       

生産緑地法

生産緑地は市街化区域での農地や都市環境を守るために定められた法律。
バカな覚え方をするなら「都市部の農地のパワーアップ版」です。
FP試験ではその条件や効果、買取の際のルールなどが問題に出される。

生産緑地地区の指定・制限・効果

  • 市街化区域内の農地
  • 500㎡以上(一部条例施行地区では300㎡以上)
  • 建築物の新築増築や宅地造成の際には市町村長の許可が必要(レストラン併設もできる)
  • 通常市街化区域の農地は「宅地並み課税」だが「一般農地並み課税」に大幅軽減される。
  • 相続税・贈与税の納税猶予の特例が使える

生産緑地地区の買取の申出

  • 30年を経過すると市町村長に対して時価による買取の申出ができる。
  • 特定生産緑地に指定されると10年延長ができる(指定しない場合は激変緩和措置として5年かけて段階的に固定資産税が宅地水準に戻される)。
  • 死亡や重度障害(両目失明など)で農業が継続できなくなったとき買取の申出ができる。
       

土地の評価

生産緑地の価額は、その土地が生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に次に掲げる生産緑地の別に、それぞれの割合を乗じて計算した金額を控除した金額により評価します。(つまり、宅地評価額から以下の表の%分を減額する)

(算式)
生産緑地の評価額の計算式国税庁HPより
  1. 課税時期(相続や遺贈の場合は死亡の日、贈与の場合は取得した日)において市町村長に対し買取りの申出が行われていた生産緑地又は買取りの申出をすることができる生産緑地5%
  2. 課税時期において市町村長に対し買取りの申出をすることができない生産緑地
課税時期から買取の申出をすることができる日までの期間割合
5年以下のもの10%
5年超10年以下15%
10年超15年以下20%
15年超20年以下25%
20年超25年以下30%
25年超30年以下35%

所有者の申出により指定解除となった場合、それまでの固定資産税の減免分の追納などは発生しない。

※)ですが、前出した「相続税の納税猶予」のほうは「営農相続人の死亡」以外は、さかのぼり課税が発生するので注意が必要です。
重度障害や30年経過で自動的にはなりません。

参考)相続税納税猶予の条件
  1. 農業相続人の死亡
  2. 後継者への生前一括贈与
  3. 市街化区域内農地で、20年以上営農を継続した場合

外部リンク:国土交通省

       

農地法・生産緑地法に関する過去問を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問37

農地法および生産緑地法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 個人が市街化区域内の農地を耕作する目的で当該農地の所有権を取得する場合、原則として、農地法第3条に基づく農業委員会の許可を受ける必要がある。
  2. 個人が所有する市街化区域内の農地を駐車場用地として自ら転用する場合、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法第4条に基づく許可を受ける必要はない。
  3. 生産緑地の所有者が当該生産緑地に農業用施設を建築する場合、原則として、生産緑地法第8条に基づく市町村長の許可を受ける必要がある。
  4. 生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。

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解答

Wiki技能士

30年ですね。

農地法・生産緑地法