特定の事業用資産の買換え特例|FP1級Wiki

これは個人の事業用資産買換え特例です。事業用資産は80%が課税繰延となります。
本来、特定の事業用資産の買換え特例はもっと複雑なので、FP試験対策に特化した部分を解説します。

       

概要

  1. 個人が特定の事業用資産(農地・工場・工場の敷地等)を譲渡し、
  2. 前年、当年、翌年中に新たな事業用資産を取得※¹し、
  3. 取得後1年以内にそれを事業で使用した場合、
  4. 譲渡した土地の「面積5倍以内の部分」を限度に、
  5. 原則80%※²の課税繰り延べの特例が適用できる。

個人ではなく法人の場合は圧縮記帳により、同様に原則80%課税繰り延べ※²が適用できる。
特定の事業用資産の買換えの特例は、
譲渡価額のうち買換資産の取得価額(譲渡価額より大きいときは、譲渡価額を限度)の、原則80%相当分はなかったものとされ(差し引く)、その残額についてのみ譲渡があったものとして課税される特例をいう。

※¹ 前年に買換不動産を取得した場合、翌年3月15日までに先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書を税務署へ提出。
また、売却年の翌年に買換不動産を購入する場合は、買換不動産の明細書を税務署へ提出する。
※² 原則としているのは、郊外から都心部への買換え等で一部75%や70%になるからである。

Wiki技能士
買換えの条件について

買換え特例は1~7号まであり、それぞれ条件が異なってきます。
10年を超えて保有している資産かつ面積要件300㎡以上など、異なる要件が加わります。
(R5.3.31まででその後改正される恐れあり)

       

取得費と取得時期の引継ぎについて

買換えや交換において売却資産の取得費や取得時期が引き継げるケースがあります。
当ページの学習項目である特定の事業用資産の買換えの特例は、取得費のみが引き継がれることになります。

取得費が引き継げる主なケース

  • 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
  • 収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
  • 特定の居住用財産の買換えまたは交換の場合の譲渡所得の課税の特例
  • 特定の事業用資産の買換えまたは交換の場合の譲渡所得の課税の特例

取得時期が引き継げる主なケース

  • 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
  • 収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
  • 特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例
Wiki技能士

特定の事業用資産の買換えの特例っていうのは80%繰延の特例なので、つまり猶予されてるんだよね。
だから、取得費は当然に引き継がれるわけです。取得費というのは土地なら購入代金とその費用。建物なら購入代金から減価償却分を引いた額だね。
取得時期も引き継げるケースというのは同じ価値の物同士である交換の時だけになっているよね♪

参考:国税庁HP、No.3273

       

譲渡所得の計算

  • ①収入金額=譲渡資産の譲渡価額-譲渡資産の譲渡価額と買換え資産の取得価額の低いほう×80%
  • ②取得費+譲渡費用=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(収入金額(①の答え)÷譲渡資産の譲渡価額)
  • ③譲渡益=①-②
  • ④所得税(復興特別所得税含む)&住民税=③×(15.315%+5%)

不動産の課税譲渡所得の各特例の計算については応用編対策のページも参考にしてください。

       

それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問39

「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

  1. 譲渡資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内に所在し、かつ、買換資産が地域再生法に規定する集中地域内に所在する場合、長期保有資産の買換え(いわゆる7号買換え)による本特例の適用を受けることはできない。
  2. 買換資産が土地等である場合に、その土地等の面積が譲渡資産である土地等の面積の2倍を超えるときは、2倍を超える部分の面積に対応する部分は本特例の適用を受けることができない。
  3. 長期保有資産の買換え(いわゆる7号買換え)による本特例の適用を受けた場合、買換資産の取得価額および取得時期は、譲渡資産の取得価額および取得時期を引き継ぐことになる。
  4. 事業用資産を譲渡した年の前年中に取得した資産を買換資産として本特例の適用を受ける場合、その買換資産を取得した年の翌年3月15日までに、「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を税務署長に提出する必要がある。

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解答

1は、7号買換えでも適用を受けることはできます(繰延率などや要件は変わりますが)。
2は、5倍を超えたらアウトです。
3ですが、課税繰延の場合、先延ばししているだけなので、当然取得価額の方は引き継がれるわけです(猶予されてるわけだからね)。ただし、取得時期については引き継げるものは限定されています。
4は、正解となります!

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