不動産の譲渡所得|FP1級Wiki

不動産の譲渡所得はFP1級試験でとにかく重要です。基礎編でも応用編でも実技試験でもとにかく出番が多いです。しっかり学習しましょう。

       

長期譲渡と短期譲渡

  • 長期譲渡所得:譲渡のあった年の1月1日において所有期間が5年を超える土地建物等の譲渡所得
  • 短期譲渡所得:譲渡のあった年の1月1日において所有期間が5年以下の土地建物等の譲渡所得

※取得日や譲渡日は契約日でも引き渡し日でもどちらを基準にしても良い。
※相続や贈与で取得した場合は前所有者の取得日を引き継ぐ。
※収用で代替資産を取得、もしくは固定資産の交換をしたときは譲渡した資産の取得日を引き継ぐ。

譲渡所得の税額(原則)

所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%
復興特別所得税が計算後の所得税に2.1%かかる。
       

譲渡所得金額の計算式

譲渡所得金額=①総収入金額-(②取得費+③譲渡費用)-④特別控除

①総収入金額

通常は譲渡価額になる。

②取得費

取得費=取得に要した金額+設備費・改良費-償却費相当額

取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
建物の場合は、建物の建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費にはなりません。

事業に使われていた場合

建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の合計額になります。

事業に使われていなかった場合

建物の耐用年数の1.5倍の年数(1年未満の端数は切り捨てます。)に対応する旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額にその建物を取得してから売るまでの経過年数を乗じて計算します。

旧定額法の償却費=取得価額×0.9×償却率×経過年数

       

相続税の取得費加算の特例

相続により取得した財産を、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡したときは、支払った相続税の一定金額を取得費に加算することができる。親族や同族会社等に譲渡する場合も適用できる。

取得費加算できる相続税額=その人の納付相続税額×(譲渡不動産の相続税評価額÷相続税課税価額(費用控除前))

Wiki技能士

つまり、その人が色んなものを相続して支払った相続税の総額の中から、
譲渡した不動産の分は税金だけど費用として加算していいよって事。
ひとつの物件で相続税と所得税の二重負担が発生するのを防いでいます。

「主たる居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万特別控除)」とは併用できるが、「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除(空き家3,000万)」とは併用できない。

概算取得費

  • 取得費が不明または少額なときは、総収入金額の5%とすることができる。
  • 土地と建物を譲渡する場合は、片方だけ概算取得費にしたり、両方概算取得費にしたり、自由にできる。
  • 概算取得費と相続税取得費加算は併用ができる(応用編で出題されることがある)
  • 原則、相続登記費用も取得費に含まれるが、概算取得費を適用するなら含めることはできない。

その他の取得費

  • 借入金利子のうち借入日から使用開始までの期間のものは取得費にできる
  • 建物を壊す予定で建物と敷地を取得した場合は、取得後おおむね1年以内に取り壊せば取壊費用(廃材処理費用は控除)は敷地の取得費にできる
  • 一部譲渡の際の取得費は原則、面積比で按分するが、譲渡部分と残部分の時価が適正に算定できる場合は時価の比で按分することができる。
       

③譲渡費用

譲渡に直接要した仲介手数料・印紙代・測量費・賃借人への立退料・建物の取壊費用など。

④特別控除

特別控除は年間最高5,000万円が限度となる。
ただし、居住用財産の3,000万円特別控除と居住用財産(空家)の3,000万円特別控除は併用できるが合わせて3,000万円が限度となる。

外部リンク:国土交通省

       

それでは過去問を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問40

「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例。以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 相続または遺贈により取得した資産を、当該相続の開始があった日の翌日から3年を経過した日以後に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
  2. 相続または遺贈により取得した資産を、譲渡者の親族や同族会社などの特殊関係者に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
  3. 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の敷地である土地を譲渡した場合に、「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けるときは、本特例の適用を受けることはできない。
  4. 相続または遺贈により取得した土地を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上、収入金額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。

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解答

3は、当テキストに記載のとおりです。
1は、相続税の申告期限の翌日以後3年以内です。
2は、親族や同族会社でも適用可です。
4は、適用可で、概算取得費に相続税の取得費を加算できます。

すべて当テキストに載っております!!(`・ω・´)ゞ

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