保険契約者保護機構|FP1級Wiki

生命保険と損害保険の契約を保護するための制度についてご紹介します。

保険契約者保護機構は保険会社が破綻した時に、受け皿となる保険会社への資金援助や、
保険会社が名乗り出ないときに承継保険会社を設立したり、あるいは機構自体で引き受ける。
そうすることで契約者の保護を図っている。
国内で営業している保険会社すべてに加入義務がある組織だが、共済や少額短期保険業者は適用対象外である。

       

生命保険契約者保護機構

運用実績連動型保険契約の特定特別勘定に係る部分企業年金の特別勘定部分など、そもそも最低保証のない部分を除いた国内における元受保険契約が保護の対象になる。

補償限度は高予定利率契約を除き、責任準備金等の90%(設定保険金額や年金設定額の90%ではない)。

変額年金保険※は運用残高相当額の90%。 ※変額年金保険は一時払保険料を年金支払年齢まで投資運用する保険

高予定利率契約の場合

高予定利率契約(予定利率が過去で5年間で常に基準利率3%超の契約)の補償割合は、90%から補償控除率を減じた率である。

補償率=90%ー[(過去5年の各年の予定利率-基準利率)の総合計÷2]
(感覚的には高予定利率で得してる分の半分が引かれる感じ)

       

損害保険契約者保護機構

保険契約者を問わず以下の保険が補償対象となる。

(火災保険、賠償責任保険、動産総合保険は保険契約者が個人、マンション管理組合、小規模法人(従業員20名以下)の場合のみ補償対象)

完全補償される保険

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)、家計地震保険※

※家計地震保険とは地震被害にあったときの家計を助けるための保険

破綻後3ヵ月間全額補償→その後80%補償の保険

自動車保険・火災保険・短期(保険期間1年以内)傷害保険・海外旅行傷害保険・賠償責任保険・動産総合保険※

注)解約返戻金や満期返戻金は期間問わず80%補償

※動産総合保険とは主に乗物以外の動産で、他の保険でカバーできない物件への損害を補償する保険

補償割合90%の保険

年金払型積立傷害保険・財産形成貯蓄傷害保険・確定拠出年金傷害保険・傷害保険・所得補償保険・医療保険・介護保険・その他疾病関係保険

注)解約返戻金、満期返戻金の補償も高予定利率契約以外は原則90%(年金払、財形、確定拠出以外の積立型保険の積立部分は80%まで)

       

クーリングオフ制度

保険契約にはクーリングオフ制度があり、申込日から、その日を含めて8日以内に書面により契約の申込みを撤回できる。

しかし、以下の場合は撤回できない。

  • 医師の審査が終了した
  • 法人契約などの営業・事業のための申込み
  • 保険期間1年以内の短期保険
  • 自賠責保険などの強制保険(加入が義務の保険)
  • 申込者の保護にかける恐れが無い申し込み
  • 既契約に特約を中途付加した場合
  • 保険の更新、増額、復活など(契約転換は対象)

以下の場合も保険業法施行例45条によってクーリングオフ対象外となる。

  • 申込者があらかじめ日を通知してお店に訪問し、かつ訪問した際に保険の申し込みであることを明らかにしたうえで、そのお店で保険を申し込んだ場合。
  • 申込者が自ら指定した場所(申込者の居宅を除く)で契約を申し込みを請求し、その保険を契約した場合。
  • 郵便やFAXなどで申し込んだ場合。
  • 保険業者の口座に保険料を自ら払い込んだ場合(業者に委託した場合は除く)。
  • 財形契約の場合
  • 団体信用保険などの債務履行を担保する保険の場合 
       

特定早期解約制度

変額保険や外貨建て保険などのうち、クーリングオフ適用対象外となるものは、特定早期解約がある。

適用期間

契約成立日またはその近接する日から起算して各保険会社が設定する10日程度の日数を経過するまでの間

適用内容

解約手数料がかからず、契約時に支払った買付手数料も払い戻されるが、支払金額は契約者価額(経過期間によって増減した保険料の時価相当額)なので、たとえ10日程度とは言えども為替リスクにより損失も在り得るということは念頭に置くべきである。

外部リンク:生命保険契約者保護機構,損害保険契約者保護機構

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年5月試験 学科 問9

保険契約者保護機構に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 生命保険会社が破綻した場合、更生計画が認可決定されて保険契約が移転されるまでの間、当該保険契約の解約や保険金額の減額、契約者貸付の利用などの手続が停止され、契約者(=保険料負担者)の保険料支払義務が免除される。
  2. 生命保険契約者保護機構による補償の対象となる生命保険契約のうち、年金原資が保証されている変額個人年金保険については、高予定利率契約を除き、生命保険会社破綻時、年金原資保証額の90%まで補償される。
  3. 損害保険契約者保護機構による補償の対象となる損害保険契約のうち、個人が締結した火災保険については、損害保険会社破綻後3カ月以内に保険事故が発生した場合、支払われるべき保険金の全額が補償される。
  4. 損害保険契約者保護機構による補償の対象となる損害保険契約のうち、法人が締結した任意加入の自動車保険については、損害保険会社破綻時、責任準備金等の90%まで補償される。

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解答

Wiki技能士

3ヵ月以内なら完全補償です。
1は保険料払わなくていいってことにはならないですね。潰れてラッキーって話にはならないです。
2、運用残高の90%です。
4、自動車保険は破綻時から三カ月間は全額補償ですね。