類似業種比準価額と純資産価額(応用編対策特化) | FP1級Wiki

これもFP1級応用編ではよく出てきます。
すごく長い計算になるのでかなりの大物感がありますが、覚えてしまえばそう難しくはなく、パターンを覚えてしまえば外すことは無いと思います。
2020年度1月実施の試験で出た問題を例題として解くのがわかりやすいと思いますので、問題を解く形で解説していきます。

類似業種比準価額を求めなさい。
という問題と、
純資産価額および類似業種比準と純資産価額の併用による価額を求めなさい。
このふたつが出題されます。
最近の応用編が難化しています。
相続事業承継「20.取引相場のない株式の評価方法」も参考にしてください。

設定 (2020年度1月ベースの全部乗せ版)

問題を解説するにあたって架空の設定を作りました。この設定で実際に解いていく形で解説していきます。

〈X社の概要〉

(1) 業種

電気工事業

(2) 資本金等の額

2,000万円( 発行済株式総数40,000株、すべて普通株式で1株につき1個の議決権を有している)

(3) 株主構成

Aさん(本人)38,000株
Bさん(妻) 1,000株
Cさん(長男)1,000株

(4) 株式の譲渡制限

あり

(5) X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料

  • X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の小」である。
  • X社は、特定の評価会社には該当しない。

・比準要素の状況

※すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。

比準要素X社建設業
(大分類)
設備工事業
(中分類)
電気工事業
(小分類)
1株(50円)当たりの年配当金額□□□円3.2円4.5円4.1円
1株(50円)当たりの年利益金額□□□円24円28円22円
1株(50円)当たりの簿価純資産価額155円265円282円295円
類似業種の1株(50円)あたりの株価の状況建設業
(大分類)
設備工事業
(中分類)
電気工事業
(小分類)
課税時期の属する月の平均株価236円250円260円
課税時期の属する月の前月の平均株価227円252円262円
課税時期の属する月の前々月の平均株価228円250円260円
課税時期の前年の平均株価235円260円270円
課税時期の前々年の平均株価218円242円252円
課税時期の属する月以前2年間の平均株価226円248円258円

(6) X社の過去3年間の決算(売上高・所得金額・配当金額)の状況

事業年度売上高所得金額配当金額
直前期14,000万円1,200万円220万円(注2)
直前々期12,000万円1,420万円(注1)160万円
直前々期の前期13,000万円1,150万円180万円

(注1)所得金額は、固定資産の売却による非経常的な利益金額300万円が含まれている。
(注2)直前期の配当金額(220万円)には記念配当40万円が含まれている。

(7) X社の資産・負債の状況

直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。

科目相続税評価額帳簿価額科目相続税評価額帳簿価額
流動資産7,770万円7,770万円流動負債4,180万円4,180万円
固定資産8,650万円5,330万円固定負債2,720万円2,720万円
合計16,420万円13,100万円合計6,900万円6,900万円

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問題

問1 《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。
〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。 なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

問2 《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの(1)純資産価額および(2)類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円未満を切り捨てて円単位とすること。
なお、X社株式の相続税評価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

解説

設定を見ると数字がたくさんで気絶しそうになるのですが、実は見るポイントは決まっています。
わかりやすいように上記の表は色分けしてありますのでご参考に。

まず最初に「〇会社の△」の部分から。

〇会社の△

〇と△にはそれぞれ大中小が入るのですが、〇の部分では類似業種比準価額を計算するための大切な斟酌(しんしゃく)率が分かります。

大:0.7 中:0.6 小:0.5

〇と△に入る数字の全体では純資産価額との併用を計算するために大切な「L」という数値が分かります。

中会社の大:0.9 中会社の中:0.75 中会社の小:0.60 小会社:0.50
※小会社は今まで出たことがありません。

この数字については暗記するしかありません。試験が始まったらどこかに書き込んでおきましょう。
今回は中会社の小なので乗率が0.6、Lも0.6ですね。

法人税率

法人税は37%です。これも暗記するしかありません。忘れないうちに書き込んでおきましょう。

比較する業種(比較業種が複数提示されている場合)

問題によっては比較業種が複数提示されています。その際、どの類似業種と比較するか。
設定は小分類の電気工事業なので、この場合、基本的には小分類の電気工事業と比較します。
ですが問には「複数の方法がある場合は、もっとも低い価額となる方法を選択するものとする」とあります。
分類については、ひとつ上の分類が有利であればそちらを使ってもいいというルールがあります。

今回は小分類の会社ですから、中分類(設備工事業)と比較することができます。
大分類(建設業)が一番安く抑えられそうなんですが2つ上は選択できません。
小分類と中分類で比較すると、中分類の方が株価が低く、3比準要素についても有利に計算できますので今回は中分類を選択するのが正解となります。
(ただし、中分類と小分類の株価と3比準要素がひっ迫しているケースなら、それぞれを計算して式を解答に示すのがパーフェクトな回答だと思います。)

類似業種比準価額計算の準備

さて解いていきましょう。

1株当たりの基準金額

この会社の1株あたり資本金がいくらかをまず知りたいので、資本金の部分から計算します。

2,000万÷4万株=500円 1株当たり500円が基準となります。

(5)の表の□□□で伏せられている2か所を導き出す

1株あたりの年配当額

1株あたりの年配当額は(6)表の配当金額直前2回分を足して2で割り、平均を出します。

注意点として記念配当等単発的なものは計算から除外します。設例では40万円あります。

(220万-40万+160万)÷2=170万円 これを4万株で割ります。

42.5円になるのですが、このままだと(5)の表には入れられません。

(5)の表は1株50円の場合の表なのですが、42.5円は500円の場合の価格ですから桁が一つ違います
42.5円を10分の1にして4.2円を当てはめます(小数点第2は切捨)。

1株あたりの年利益額

1株あたりの年利益額は(6)表の所得金額直前2回分を見るのですが、ここで注意点。

先ほどとは違い、「直前2回分の平均」「直前のみ」低いほうです。選択式です。
非経常的な利益がある場合は差し引いて計算します。すると直前2回分の平均の方が低くなりますね。
低い方を選択したらあとは先述の年配当と同じ方法で計算をして表に入れてください。

(1,200万+(1,420万-300万))÷2=1,160万 これを4万株で割り、10分の1にします。

29円となります。

類似業種株価の選択

次に「類似業種の1株(50円)当たりの株価の状況」から一番安いものを選択します。

ここでの注意点はひとつ仲間はずれが入っていることです。青字にしたものがそれにあたります。
本来、「月の平均」「前月の平均」「前々月の平均「前年の平均」「以前2年間の平均」の5つの中から選ぶのですが、
引っ掛けで「前々年の平均」が入る事がありますので注意が必要です。今回は248円を選択となります。

ここまで出れば類似業種比準価額の式に当てはめることができます。

類似業種比準価額の計算

1株(50円)あたりの株価(1番安いもの)×[[(年配当/類似業種年配当)+(年利益/類似業種年利益)+(簿価純資産価/類似業種純資産価)]÷3]×乗数×(1株あたりの資本金/50円)

これが式になります。わかりにくいので実際の数字を入れてみますね。

248×[[(4.2/4.5)+(29/28)+(155/282)]÷3]×0.6×(500/50円)
=248×(0.93+1.03+0.54)/3×0.6×10
=1,235円

問1の答え、類似業種比準価額は1,235円となります。

ここまでよろしいでしょうか。問1の答えを問2で使うので、間違えてしまうと問2も間違うことになります。
問1は確実に解けるようになっておいてください。

純資産価額および類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を求める

ここから問2に入ります。

純資産価額の計算

問2は(7)の表の赤字のところを使います。それと法人税率37%を使用します。
まず資産の相続税評価合計16,420万円から負債の相続税評価合計6,900万円を引きます。
16,420万円-6,900万円=9,520万円

次に資産の帳簿価額合計13,100万円から負債の帳簿価額合計6,900万円を引きます。
13,100万円-6,900万円=6,200万円

相続税評価額計から帳簿価額計を引いて差額を求めます。
9,520万円-6,200万円=3,320万円

この差額の3,320万円に法人税率37%を掛けます。
3,320万円×37%=1,228.4万円

相続税評価額からこの税額を引くことで税引後の企業の価値が測れるわけです。
9,520万円-1,228.4万円=8,291.6万円

これを株数で割って一株当たりの金額を求めます。
8,291.6万円÷4万株=2,072円(少数点以下切捨)

答えのひとつ、純資産価額は2,072円となりました。

類似業種比準方式と純資産価額方式の併用の計算

ここから併用を求めていきます。Lを使用します。

計算式はこのようになります。
評価額=類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)
Lは類似業種のほうに使い、純資産価額は1からLを引いた分です。

1,235×0.6+2,072×(1-0.60)=1,569円

解答

問1  2,072円  問2  1,569円 

3つのポイント

  • 〇会社の△による乗率L、法人税率37%を暗記すること。
  • 前々年の平均株価に引っかからないこと。
  • 年配当額と年利益額の計算方法の類似を間違わないこと。

以上を押さえれば大丈夫です!!

類似業種比準価額と純資産価額計算のまとめ

Wiki技能士

類似業種比準価額と純資産価額計算は、もともと大ボリュームの問題でしたが、
ここ数回の出題パターンの変化によりさらにボリュームが増している印象です。
ここまでの応用編問題もそうですが、全体の流れを掴むことが重要です。
全体の骨組みがあり、そこに様々な要素を肉付けしていくようなイメージで、
学んでいっていただきたいと思います。頑張っていきましょう!

外部リンク:きんざい(過去問掲載)
2021年04月14日