相続分・寄与分・特別受益・養子縁組|FP1級Wiki

FP1級試験では、基礎編では法定相続分を答える問題、応用編では相続税の総額を求める計算。
実技試験でも財産分与で切っても切れない超重要項目です。

       

法定相続分

相続人が複数いる場合に遺言等で相続分の指定がないときは民法で定められた相続分で分けるとされている(絶対ではない、話し合いで変えてもいい)。これを法定相続分という。ちなみに遺言で指定したり第三者に委託する場合は指定相続分と言い、そちらが優先される。

配偶者がいる場合

相続人法定相続分
配偶者と子(養子含む)配偶者 2分の1
子   2分の1
配偶者と直系尊属(養父母含む)配偶者 3分の2
直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者 4分の3
兄弟姉妹4分の1

配偶者がいない場合

相続人法定相続分
全部
直系尊属全部
兄弟姉妹全部
  • 注1)同一順位の相続人が複数いるときは各人の相続分は均等
  • 注2)父母の一方を同じくする兄弟姉妹(異母兄弟)の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となる
  • 注3)相続人の地位が重複した場合、法定相続分を合算する
       

特別受益

民法上、各相続人間の取り分(持分)に不公平が出ないようにするための民法の制度。
被相続人が生前に相続人への贈与があった場合、
それを相続分の前渡しと見てその贈与分を相続財産に加算(持戻し)して相続分を計算する(みなし相続財産)。
その、「相続分の前渡しの贈与」を特別受益と言う。
このみなし相続財産を基礎として各相続人の相続分(持分)を算出する。

相続税法上の「生前の贈与財産」と違い、民法上はさかのぼる年数に制限がないため、極端な話20年前の贈与でもみなし相続財産として被相続人の財産の総額に加算される。なにかと出てくる「税法上」と「民法上」。相続ではここの違いにつまづきやすいです。税法上というのは税額を決めるためのもので、民法上は権利を決めるためのもの。民法上の特別受益というのは、相続人間で受取額を公平に割り振るための総額を求めるものです。相続での税法上と出たら、相続税総額を求めるため。民法上と出たら受取額を公平に割り振るためと覚えましょう。
 生命保険金は受取人固有の財産として特別受益からは外れます。ただし巨額の場合は該当する場合もあります。また、不動産は相続開始時の価格で評価する。売却したり滅失した場合はそのまま存在したと仮定した価値で評価します。

特別受益の持戻し免除

被相続人が遺言書などで生前贈与について持戻しを希望しない意思表示をした場合、持戻しを考慮しないで相続財産を計算する持戻し免除がある。(民法903条3項)

特別受益の持戻し免除の意思表示推定規制

20年以上婚姻関係にある配偶者がその居住用の建物や敷地を遺贈や贈与した場合、持戻し免除の意思があったと推定し、遺産分割時にその不動産の持戻し計算を不要とする。

       

寄与分

共同相続人の中に相続財産を維持・増加するために特別に寄与した者(寄与分権利者)がいる場合、
不公平にならないようにその分を寄与した者に多く受け取れるようにする制度。
寄与分を相続財産から一度控除してから相続分を計算。
そのあと、寄与した者に寄与分を加えてその者の相続分とする。

特別寄与者・特別寄与料

寄与分の利益を受けるのは共同相続人であるとされるため、長男の嫁など、親族だが相続人ではない者が生活の面倒をみたケースなどでは寄与分の対象とならなかった。民法改正で「特別の寄与」が認められるようになり、相続人以外の親族に限り、無償で療養看護や労務の提供を行った場合は、相続人に対して特別寄与料の支払いを請求することができる。相続人はそれぞれの法定相続割合に応じて各自負担する。
特別寄与料は遺贈とされ、相続税が出るときは額が確定したのを知った日から10ヵ月以内に相続税を申告する。

支払について協議が調わない場合は、特別寄与者が相続の開始があったこと及び相続人を知った時から6か月を経過、または相続開始の時から1年を経過するまでに家庭裁判所に申し立てることができる。

       

養子縁組

養子縁組には普通養子と特別養子縁組がある。

普通養子縁組特別養子縁組
養親の制限成人していること(独身でもよい)一方が25歳以上、もう一方は20歳以上の夫婦
養子の制限養親より年少であること原則15歳未満(場合により18歳未満)
手続き当事者届出。
後見人が被後見人を養子にする場合、
未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可が必要。
原則養子となる子の実父母の同意が必要。
家庭裁判所の審判も必要。
親子の関係実親との親族関係は継続する(相続権が残る)
普通養子の相続権は代襲されない。
実親の親族関係が終了する(実親の相続権を失う)

外部リンク:国税庁

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年5月試験 学科 問45

被相続人に対する特別の寄与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 被相続人と婚姻の届出をしていない内縁関係の者であっても、被相続人に対して無償で療養看護等をしたことにより特別の寄与をしていたと認められる場合、相続開始後、相続人に対し、特別寄与料の支払を請求することができる。
  2. 特別寄与者は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、相続人に対し、特別寄与料の支払の請求に代えて、遺産分割協議において遺産の全部または一部の分割を請求することができる。
  3. 特別寄与者が複数の相続人に対して特別寄与料の支払を請求した場合、各相続人が負担する額は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分または指定相続分を乗じた額となる。
  4. 相続開始後、被相続人に特別寄与者がいることを知った相続人は、知った時から6カ月以内に、特別寄与者に対し、特別寄与料の支払の請求の催告をしなければならない。

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解答

Wiki技能士

特別寄与料は相続人が法定相続割合に応じて分担することとなっています。適切。
1は、親族でないと特別寄与料は請求できないのでアウトです。
2は、特別寄与者に相続権が付与されるワケじゃないんで調子に乗りすぎです。交換条件みたいの言ってくる人怖いです。
4は、ちょっと良くわからないですね。相続人から教えてあげてねって事でしょうか?法的な決まりはないのでアウトです。

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