単純/限定承認・相続放棄|FP1級Wiki

いずれも 生前の意思表示は無効となります。

単純承認

被相続人の積極的財産や消極的財産のすべての財産を無条件で相続すること。

  • 積極的財産とは経済的に価値のある財産(プラスの財産)のこと。土地や建物、現金預金貴金属など様々です。
  • 消極的財産とは、債務全般です。ローンや買掛金などのマイナスの財産
       

単純承認は家庭裁判所への手続きを必要としない。また、単純承認の意思表示をすると原則撤回できない。

以下の場合、法定単純承認として単純承認となる。

  • 相続人が相続財産の処分をしたとき
  • 相続が起きたことを知った時から3か月以内に限定承認や相続放棄をしなかったとき
  • 限定承認や放棄に関わらず、財産を隠匿したり、悪意をもって財産目録に記載しなかったとき

限定承認

限定承認とは、積極財産の範囲内で消極財産である負債を支払い、積極財産を超える消極財産は引き受けない相続の方法です。
手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に相続人全員(放棄者を除く)が家庭裁判所へ申述する。
限定承認の意思表示をすると原則撤回できない
限定承認者(または相続財産管理人)は、期間内(限定承認者は5日以内、相続財産管理人は選任後10日以内)に、限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)の手続きをしなければならない。
そのほか、限定承認をした中に不動産がある場合は、被相続人が相続人に時価で譲渡したとみなされ「みなし譲渡所得税」が掛かる場合があります。
これは譲渡所得ですから死んだ人(被相続人)に掛かるものですので、
この所得税を支払うことで限定承認によるメリットが小さくなる可能性もあり注意が必要です。

       

相続放棄

相続放棄は、放棄者は初めから相続人でなかったものとされる。
相続放棄者の代襲はない。(欠格や廃除の場合は代襲が存在する) 同順位の共同相続人がいる場合は他の相続人の相続分が増加し、同順位不在の場合は次の順位に移る。 手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する。放棄は単独で申述できる。 放棄の意思表示をすると原則撤回できない。

外部リンク:国税庁

       

それでは過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問44

相続の承認と放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 相続人が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、保険金受取人を当該相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取った場合、その金額の多寡や使途にかかわらず、当該相続人は相続について単純承認したものとみなされる。
  2. 相続人が、相続について単純承認したものとみなされた場合であっても、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であれば、相続の放棄をすることができる。
  3. 共同相続人のうちの1人が相続の放棄をした場合であっても、他の相続人は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であれば、全員が共同して申述することにより、相続について限定承認をすることができる。
  4. 被相続人の負債額が不明であったために限定承認をした後、被相続人に2,000万円の資産と1,500万円の負債があることが判明した場合には、1,500万円の資産と1,500万円の負債が相続人に承継されることになる。

.

.

.

解答

Wiki技能士

限定承認は全員で3ヵ月以内。正解です。ちなみに放棄は3か月以内単独です。単純承認は3カ月間何もしない。
1は、生命保険って受取人固有の財産って事で相続より優先して受け取れちゃうものなので、それを受け取ったからと言って相続を承認したとはみなされないんですよ。アウトです。
2は、一度承認しちゃったら放棄はもうできないんですよ。もう過去へは戻れないんですよ。
4は、これ限定承認を逆にして損しちゃってます。限定承認は資産以上の負債を背負わないためのものですからね。資産を捨てる必要はないです。

単純/限定承認・相続放棄