個人の生命保険の税金|FP1級Wiki
生命保険や年金保険の課税関係の問題は良く出てきます。各保険金ごとにことなる税金の種類も覚えましょう。
死亡保険金
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | Aの相続人 | 相続税(非課税あり) |
A | A | Aの相続人以外 | 相続税(非課税なし) |
A | B | A | 一時所得として所得税・住民税 |
A | B | C | 贈与税 |
満期保険金・解約返戻金
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | A | 一時所得として所得税・住民税 |
A | B | A以外 | 贈与税 |
個人年金保険
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | A | 雑所得(毎年受け取る年金) |
A | B | A以外 | 年金支払い開始時に贈与税 課税対象部分について雑所得(毎年受け取る年金) |
年金を一括で受け取る方法を選択した場合は以下の通りになる。
確定年金
一時所得として所得税・住民税が課されて契約は消滅する。
保証期間付終身年金
保証期間分の一括受取が可能で、その場合は雑所得※として所得税・住民税が課される。
※確定年金は一時所得、保障期間付終身年金は雑所得。間違いやすいので注意!!
保証期間経過後からは、通常の年金が支払われ、それも以下の計算に基づき、雑所得となる。
雑所得=その年の年金-必要経費
- その年の年金=基本年金額+増額年金額+増加年金額
- 必要経費=(基本年金額+増額年金額)×(正味払込保険料総額÷年金受取総額または見込額)
年金の雑所得が年間25万円以上あるときは、雑所得の金額の10.21%が源泉徴収される。
年金受給開始前に被保険者が死亡してしまった場合は死亡保険金と同じ扱いになる。
金融類似商品
契約者と受取人が同一の場合で、以下の要件をすべて満たすものは満期や解約時に金融類似商品として差額利益は20.315%の源泉分離課税になる。
- 保険期間5年以下。または契約後5年以内に解約※
- 一時払い保険※。または契約後1年以内に保険料総額の2分の1以上または契約後2年以内に4分の3以上を払い込む場合(前納払いも含む)
- 普通死亡保障が満期保険金以下であり、災害死亡保険金と入院給付金の限度日数分を足した合計額が満期保険金の5倍未満
※ただし、一時払い終身年金や一時払い終身保険の場合は解約差益は源泉分離ではなく一時所得として総合課税になる。
金融類似商品であっても死亡保険金として支給される場合は総合課税となる。
年金受給権の評価
年金を受け取る権利を相続や贈与で取得すると金銭的な評価が下る。
取得した時に既に年金給付が発生している場合
次のうちのいずれか多い金額で評価される
- 解約返戻金相当額
- 年金に代えて一時金の給付を受給できる場合、一時金相当額
- 予定利率等を基に算出した金額
取得した時に年金給付事由が発生していない場合
原則、解約返戻金相当額
入院保険金や生前給付保険金を受け取る場合
非課税
生命保険契約の権利評価額
解約返戻金相当額
外貨建て保険契約の税務
保険業法適用対象の保険であれば、すべて円貨建て保険契約と同等の扱いでよい。
他に特有のものとして以下のものがある。
- 為替差益が生じた場合、保険差益と一体課税となる(分けて考えない)。
- 外貨で保険金が支払われる場合は、その時の税金の種類に応じ、課税時期の円換算で評価額を計算し、課税対象とする。
相続税・贈与税:課税時期のTTB(対顧客電信買相場)で評価
所得税:課税時期におけるTTS(対顧客電信売相場)とTTBのTTM(仲値)で評価
支払調書
保険会社は保険金を支払う際には支払調書を作成して税務署に提出している(税金ごまかすヤツがいないようにタレこんでいる)。
以下のような時にはタレこまれる。
- 1回の支払いで100万円を超える時
- 年間20万を超える年金を支払った時
- 死亡による契約者変更があった時
調書には、死亡した契約者の住所氏名、解約返戻金相当額、既払保険料総額、死亡した契約者の払込保険料の額などが記載される。
外部リンク:㈳生命保険協会
それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問12
個人年金保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、契約者(=保険料負担者)・被保険者・年金受取人は同一人であり、契約者は個人(居住者)であるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 定額個人年金保険(10年確定年金)において、保険会社が支払う年金額からその年金額に対応する払込保険料を控除した金額が年間25万円以上になる場合、その金額から10.21%の税率による所得税および復興特別所得税が源泉徴収される。
- 定額個人年金保険(10年確定年金)において、保険会社が支払う年金額からその年金額に対応する払込保険料を控除した金額が年間20万円以下である場合、保険会社から税務署長に対し、その年金に係る支払調書は提出されない。
- 定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、その一時金は一時所得として所得税の課税対象となる。
- 外貨建変額個人年金保険(10年確定年金)を保険期間の初日から10年経過後に解約し、解約差益が生じた場合、その解約差益のうち為替差益に相当する部分の金額は雑所得として所得税の課税対象となる。
.
.
.
解答
1
これも出題当時は難問奇問の類でした。
源泉徴収なので、もう引かれた後の年金を受け取るわけです。
2は「20万を超える年金を受け取った時」に支払調書が発行されるので、
設例の場合だと払込保険料を引いて20万と言ってますから、
振込年金額はもっと多いハズ。なので不適切です。
3は良くある問題で、保証期間分一括は雑所得ですね。
4は一時所得です。
タグ:個人の生命保険の税金