成年後見制度|FP1級Wiki
後見・保佐・補助の3種類あり、同意権、代理権などの違いもあるのでFP試験で混同しないように覚えましょう。
法定後見制度
法定後見制度は心身に障害のある成年者が通常の生活を営むために援助を提供する制度。障害の程度に合わせて3種類存在する。それぞれ本人の意思の尊重と心身の状態および生活の状況に配慮する義務を生ずる。
申立者は本人、4親等内の親族、検察官等、市町村長、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人
後見 | 保佐 | 補助 | ||
要件 | 対象者の 判断能力 | 精神上の障害により 判断する能力を欠く常況にある者 | 精神上の障害により 判断する能力が著しく不十分な者 | 精神上の障害により 判断する能力が不十分な者 |
開始手続 | 本人の同意 | 不要 | 不要 | 要 |
名称 | 本人 | 成年被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 |
名称 | 保護者 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
名称 | 監督人 | 成年後見監督人 | 保佐監督人 | 補助監督人 |
成年後見人等に対する報酬
成年後見人等は、家庭裁判所の審判を受けられれば、被後見人等の財産のなかから審判で決定された報酬を受け取ることができる。一般的には最大でも6万円程度となっている。
成年後見登記制度
成年後見登記制度は、成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを登記官がコンピュータシステムを用いて登記する制度。後見事項は後見登記等ファイルに記録され、戸籍への記載は行われない。
付与される権限
本人の行為に対しての同意権や取消権が付与される。補助人は補助開始の申し立てと別で同意権付与の申し立ても必要。
同意権・取消権 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
付与の対象 | 同意権は存在しない。取消権のみ。 日常生活に関する行為以外の行為 婚姻認知遺言など本人にしかできないもの | 民法13条1項各号所定の行為 (内容についてはたくさんあるし 試験に出なそうなので割愛) | 民法13条1項各号所定の行為の中の一部 (申し立ての際に家裁の審判が下りた部分のみ) |
付与の手続 | 後見開始の審判 | 保佐開始の審判 | 補助開始の審判 +同意権付与の審判 +本人の同意 |
取消権者 | 本人・成年後見人 | 本人・保佐人 | 本人・補助人 |
本人に代わって法律行為を行う代理権は、成年後見人にはあらかじめ備わっており、保佐人補助人は必要なら付与する必要がある。
代理権 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
付与の対象 | 財産に関するすべての行為 | 申し立ての際に家裁の 審判が下りた部分のみ | 同左 |
付与の手続 | 後見開始の審判のみで 付与される | 保佐開始の審判 +代理権付与の審判 +本人の同意 | 補助開始の審判 +代理権付与の審判 +本人の同意 |
後見人等選任後
- 成年後見人に選任された者は、原則1カ月以内に成年被後見人の財産の調査を終了し、財産目録を作成しなければならない。
- 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。
任意後見制度
任意後見制度は、本人がまだ健常なうちに、あらかじめ任意後見人を契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
- 契約は公正証書で行われる。
- 効力が発生するのは、①本人の事理弁識能力が低下し、②任意後見人が家裁に対して任意後見監督人の選任を請求し、③家裁によって任意後見監督人が選任されたことが条件となる。
- 任意後見監督人が選任されるまでは、本人または任意後見受任者が公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できる。
- 複数の任意後見人や法人の任意後見人も認められる。
外部リンク:国税庁
それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問45
成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 成年後見人に選任された者は、遅滞なく成年被後見人の財産の調査に着手し、原則として1カ月以内に、その調査を終了し、かつ、財産目録を作成しなければならない。
- 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者について、本人の配偶者または4親等内の親族が補助開始の申立てを行う場合、本人の同意は不要である。
- 任意後見契約は、任意後見監督人が選任されるまでは、本人または任意後見受任者が、公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除することができる。
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解答
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補助開始には本人同意が必要です。当テキストのとおり。