土地区画整理法・土地収用法|FP1級Wiki
土地区画整理法
土地区画整理法は土地区画整理事業のために定められています。
土地区画整理事業は、所有権、借地権を持つ個人やその同意者・区画整理組合などの民間施行と行政事業の公的施行が法定されています。
土地区画整理事業を施工する区域(施行区域では)、道路や公園等の公共施設が整備された街区とするための事業計画が定められる。
実際必要とする用地や、そのために売却する用地(保留地)は地区内の土地所有者に提供してもらう(減歩)ことで確保する。
地区内の土地の交換分合が行われ、土地所有者には整備された宅地が交付される仕組み。
- 本事業の施行者は、個人、組合、区画整理会社、地方公共団体などです。
組合が施行する場合の土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となる。(土地に絡む者のみ。賃貸人などは含まない。)
土地区画整理組合の設立認可の公告日から換地処分の公告日までに、施行地区内において土地区画整理事業の障害となる土地の形質の変更や建築物の新築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要となります(区画整理の邪魔になるから)。
換地
区画を整備する際に宅地の再配置を行う際の宅地を換地という。
換地が過少とならないように立体換地や共有換地、金銭による清算など柔軟である。
減歩(げんぷ)
もともと未整備だった宅地が区画整理事業できれいに整備された土地に換地されると、その分面積が小さくなることがある。それを減歩という。減歩によって提供された土地は道路の拡張に充てられたり(公共減歩)、施工費用に充てられる(保留地減歩)。減歩されると宅地面積は小さくなるが、その分価値が上がるので均衡を保っている。
保留地
土地区画整理事業の施行費用に充てるため、または規約等で定める目的のために、換地計画において誰の所有にも属さないこととされる土地のこと。 これを処分して事業費や借入金の返済に充てる。
- 保留地は換地処分の公告があった日の翌日において施行者が取得する。
仮換地
- 仮換地が指定されると、仮換地を使用収益することとなり、従前宅地は使用できない(所有権が失われるわけではないので抵当権の設定はできる)
- 仮換地が指定されても換地処分の公告がある日までなら従前宅地を自由に売買できる。
交換分合
バラバラでまとまらなくなっている土地を、区画、形状等を変更することなく、地域全体で所有権などの権利を交換することによって、広く使いやすい宅地等にまとめること。
換地処分
工事完了を通知して行う行政処分を換地処分という。施行者は換地処分の公告後すみやかに所轄登記上に通知し土地建物の変動に係る登記申請をする。
- 換地や保留地はこの日の翌日から効力を発し、換地を定めなかった従前宅地についてはその日が終わると消滅する。
土地収用法
土地収用法とは、公共の利益となる事業に必要な土地などの収用または使用について規定している法律。
公共事業の用地取得で、地権者の同意が得られない場合等に当該土地を取得するための法的手段となる。
(国土交通省) 損失補償については原則金銭だが、宅地などの現物補償も可能である。
損失補償金の算定
補償金の額は、土地等については近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格(公示価格)に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。(近隣相場に物価変動修正をかけた金額)
さらに土地収用法は完全補償が原則ですので、土地収用に伴って起こる営業上の損失(賃貸収入など)なども補償額に加わります。
①収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
この特例は、売却金額より買換金額の方が多いときに所得税の課税が将来に繰り延べられ、その年については譲渡所得がなかったものとされます。
売却金額より買換金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。
下記の条件にすべて当てはまること。
- 売却する土地建物は固定資産であること(業者が販売目的で所有している土地建物は、固定資産ではない)。
- 原則、売却資産と買換資産は同じ種類の資産(土地と土地、建物と建物)であること。このほかにも、 一組の資産として買い換える方法や事業用の資産を買い換える方法などがある。
- 原則として土地建物の収用等のあった日から2年以内に代替資産を取得すること。
②譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例
下記の条件にすべて当てはまること。
- 売却する土地建物は固定資産であること。
- 公共事業のために売却した資産の全部について、同年に「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を受けていないこと。
- 最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売却していること。
- 施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(相続、遺贈により当該資産を取得した者を含む)が譲渡していること。
この特別控除の特例は、同じ公共事業で2年以上にまたがって資産を売るときは最初の年だけしか受けられません。
公共事業のために土地建物を売った場合は、上記の2つの特例のうち、どちらか一方の特例を受けることができます。
確定申告の際には、公共事業の施行者から受けた公共事業用資産の買取り等に関する一定の書類の添付が必要です。
外部リンク:国土交通省
土地区画整理法・土地収用法に関する過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問36
土地区画整理法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 宅地の所有権または借地権を有する者は、1人で、または数人共同して、当該権利の目的である宅地に係る土地区画整理事業の施行者となることができる。
- 仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について所有権移転の登記をすることができない。
- 仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について抵当権設定の登記をすることができない。
- 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に、換地計画において換地の所有者として定められた者が取得する。
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解答
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区画整理は公的なものだけじゃなくて民間バージョンもあるんですね。
土地区画整理法・土地収用法