個人住民税・個人事業税|FP1級Wiki
個人住民税・個人事業税では、ふるさと納税ワンストップ特例制度が新しいので出題される傾向にあります。
個人住民税
個人住民税は前年の所得金額に応じて課税される所得割や所得金額に関わらず定額で課税される均等割などがある。
所得割と均等割については、1月1日現在住所を有する市区町村で課税対象となり、各区市町村があわせて徴収します。
なお、住宅以外の事務所や家屋敷が他市区町村にある場合は、その地域では均等割だけが課税されます。
均等割
道府県民税(都民税含む) | 市町村民税(特別区民税含む) | |
---|---|---|
2024年度以降 | 年額1,000円 | 年額3,000円 |
所得割・利子割・配当割・株式等譲渡所得割
所得割
その年の1月1日を賦課期日とし前年中の所得金額を基礎として計算される。税率は一律10%(道府県民税4%・市町村民税6%)
退職所得に係る所得割は他の所得と区分し、退職金の支払いを受けた年に課される。
利子割
一定の金融商品および金融類似商品の利子等については、5%の税率により道府県民税で利子割が課税される
配当割
一定の上場株式等の配当等については、5%の税率により道府県民税で配当割が課税される
株式等譲渡所得割
源泉徴収ありの特定口座内の株式等の譲渡による所得については、5%の税率により道府県民税の株式等譲渡所得割が課税される
所得控除
個人住民税の課税最低限は所得税よりも低くなっており、所得控除額が異なるものがある。
税額控除
住民税の税額控除には、配当控除、外国税額控除、寄付金税額控除がある。
また、住宅借入金等特別控除の所得税から控除できない分の一定額が住民税の所得割額から控除される。
納付
給与所得者(特別徴収)
住民税額を6月から翌年5月までの12ヶ月間で分割し、毎月の給料の支払いの時期に徴収する
給与所得者以外(普通徴収)
住民税額を6月、8月、10月、翌年1月の4回で分割納付する。
給与所得者で給与所得以外の所得がある場合は、その所得に対応する住民税は選択により普通徴収で納付することができる。
ただし、給与所得については特別徴収が法律で義務付けられている。
ふるさと納税制度
ふるさと納税制度とは、希望する地方公共団体に対する寄付金のうち、2,000円を超える部分の金額について、
地方公共団体に対する寄付金以外の寄付金と合わせて総所得金額等の30%までを限度として、所得税と合わせて全額控除できる制度である。
ふるさと納税返礼品については返戻割合は3割以下かつ地場産品とする基準が設けられた。
税額控除額=①(寄付金-2,000円)×10%+②(寄付金-2,000円)×(90%-※)
※寄付金に適用される納税者の所得税の限界税率(0%~45.945%)
なお、②については個人住民税所得割額の20%が限度となる。
ふるさと納税ワンストップ特例制度
確定申告不要の給与所得者等がふるさと納税を行う場合に、確定申告を行わなくても寄付金控除を受けることができる制度。
ふるさと納税先が5カ所以内であれば、寄付する自治体ごとに寄附金税額控除に係る申告特例申請書を提供することで、特例が適用できる。
5カ所を超える者や、確定申告をする予定の者は、確定申告でふるさと納税の申告を行わないと寄付金控除が無効になる。
なお、この特例を受ける者は所得税からの控除は発生せず、翌年の6月以降に支払う住民税から控除される。
個人事業税
個人事業税は、原則として納期の開始の日または実際に納付した日の属する年分の所得税における所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。
所得の計算
個人事業税の課税標準は、その年度の初日(4月1日)の属する年の前年の不動産所得(事業的規模)と事業所得であり、算出方法は原則として所得税と同様であるが、所得税計算と相違する主な事項は次のとおりである。
- 青色申告特別控除が無い
- 所得税では土地取得の負債利子は損益通算対象外だが、個人事業税には制限がない
税額計算
事業税の税額は、事業所得または不動産所得から各種控除を行い、その残りに所得に対して事業種類ごとの税率を乗じて計算する。
事業の所得=事業所得または不動産所得-各種控除※
※各種控除は以下のとおり
- 損失の繰越控除(青色申告者は3年繰越可能。繰戻還付は無い)
- 被災事業用資産の損失の繰越控除
- 事業用資産の譲渡損失の控除
- 事業用資産の譲渡損失の繰越控除
- 事業主控除(年間290万円)
事業の所得に係る税率
区分 | 事業の種類 | 税率 |
---|---|---|
第1種事業 | 商工業などの営業 | 5% |
第2種事業 | 畜産、水産業などの事業。 畜産業については農業に不随して行うものを除く | 4% |
第3種事業 | 自由業、下記のもの以外 | 5% |
第3種事業 | あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、 柔道整復その他の医業に関する事業、装蹄師業 | 3% |
申告・納付
個人事業税の税額は、納税通知書により納期までに納付する(8月末と11月末)。
所得税の確定申告をしていれば原則として個人事業税の申告書を提出する必要はない。
外部リンク:国税庁
個人住民税・個人事業税に関する過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問29
個人事業税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 個人事業税の納税義務者は、原則として、その年分の所得の金額および納付すべき税額を記載した申告書の提出とその納税を翌年の3月15日までにしなければならない。
- 事業を行う個人が、前年分の所得税について青色申告書を所定の申告期限内に提出している場合、個人事業税における所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最大65万円が控除される。
- 個人事業税における所得の金額の計算上生じた損失の金額は、所定の要件を満たせば、前年度に繰り戻して個人事業税の還付を受けるか、翌年度以後3年間にわたって繰り越すことができる。
- 個人事業税は、原則として、納期の開始の日または実際に納付した日の属する年分の所得税における所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる。
.
.
.
解答
4
1は納付時期ですが当テキストにもある通り8月と11月の2回です。
2は青色申告特別控除の話です。1の申告時期が年2回というところから察している方もいると思いますが、個人事業税のほうには特別控除はありません。ただし、事業主控除290万円があります。
3は繰戻還付と繰越控除の件です。当テキストにある通り繰越はあるのですが、繰戻還付はありません。
タグ:個人住民税・個人事業税