法人税の概要&青色法人特典|FP1級Wiki

法人税の計算の定番問題は略式別表四です。略式別表四は応用編対策ページにまとめてあります。
基礎編での個別論点出題もみられます。税額控除は比較的新しいものから出やすいです。おさえておきましょう。

       

法人税の仕組み

法人税は、所得税と同じように、法人の所得金額(利益)に対して課せられる税金。
法人税では、その事業年度の所得を、益金の額から損金の額を控除して、所得の種類に区分することなくすべて一括して計算する。
また、所得税と異なり、所得控除は無く、その税率は原則として所得金額に一定割合を乗ずる比例税率となっている。

事業年度:任意の1年間を定款により定める。法人税の申告書の提出は事業年度終了翌日から2ヵ月以内。本店所在地に提出する。

普通法人・協同組合は、すべての所得に課税する。公益法人・人格のない社団等は収益事業から生じた所得に課税する。
法人の設立については、設立の日以後2ヶ月以内に、所定の書類を添付して、法人設立届出書を納税地の所轄税務署長に提出する。

課税所得金額

       

課税所得金額の計算

法人税の課税所得金額は益金から損金を控除して計算するが、実際には益金から損金を控除して計算するのではなく、企業会計の損益計算書で収益から費用を控除して計算した当期純利益金額に企業会計と法人税の異なる部分を調整(加算、減算)して、法人税の課税所得金額を計算する。

この調整をする書類を法人税の申告書「別表四」という。

申告調整

  • 益金不算入(収益ではあるが益金とならないもの)
  • 損金算入(費用・損失ではないが損金となるもの)
  • 益金算入(収益ではないが益金となるもの)
  • 損金不算入(費用・損失ではあるが損金とならないもの)
       

税額計算

法人税額=課税所得金額(1,000円未満切捨て)×法人税の税率

法人税率

資本金1億円以下の普通法人原則特例
年800万円以下の部分19%15%
年800万円超の部分23.2%
※資本金が5億円以上の大法人の100%子会社、100%グループ内の複数の大法人に発行済み株式等の全部を保有されている法人をのぞく
資本金1億円超および相互会社原則特例
所得区分なし23.2%
       

申告と納付

現在、以下に該当する法人はe-taxの利用が義務付けられています。

  • 内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額(以下「資本金の額等」といいます。)が1億円を超える法人
  • 通算法人、相互会社、投資法人及び特定目的会社

確定申告書、中間申告(予定・仮決算)、修正申告書及び還付申告書においてe-taxの利用が義務となります。

確定申告

法人税の確定申告書の提出期限は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内である。
ただし、定款等の定めまたは特別の事情により期末の日の翌日から2ヵ月以内に決算が確定しないときは、
申請により、原則として1ヶ月間申告期限が延長される。

中間申告(予定・仮決算)

普通法人は、その事業年度が6ヶ月を超える場合は、その事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヵ月以内に、中間申告書を提出しなければならない。中間申告には、前事業年度の実績を基準とする中間申告(予定申告)と仮決算に基づく中間申告の2種類あり、いずれかを選択することができる。ただし、前事業年度の法人税額の月割6ヶ月分が10万円以下の場合等については中間申告は必要ない。
仮決算による中間税額が前期基準額[前事業年度の確定法人税額×(6÷前事業年度の月数)]を超える場合および、その前期基準額が10万円以下の場合は、仮決算による中間申告書を提出できない。また、提出すべき法人が期限までに提出しなかった場合には、前年度実績による中間申告(予定申告)があったとみなされる。

更正の請求

納付した税額が過大であったことが判明した場合や、還付金の額に相応する税額が過少であることが判明した場合は、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。

       

青色申告

法人税にも青色申告制度はある。
青色申告を受けようとする事業年度開始の日の前日まで、
新設法人は設立した日以後3ヵ月を経過した日と、
設立後最初の事業年度終了の日のうち、
いずれか早い日の前日までに青色申告承認申請書を提出する必要がある。
また、2事業年度連続して提出期限が守れない場合は承認取り消しの対象になる。
青色申告の特典は以下のとおりである。

法人の青色申告特典

欠損金の繰越控除

各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度の欠損金額がある場合は中小法人なら繰越欠損金控除前の所得の金額を全額損金算入できる。

中小法人等以外の法人の青色申告書を提出した事業年度の欠損金等の控除限度額は、
原則、繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得金額に一定の割合※を乗じた額である。

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※所得金額に乗じる一定の割合とは

2018年4月1日以後開始の事業年度は通常50%
しかし、再建中の法人や新設法人等の一定の法人については、
中小法人等以外であっても中小法人等と同様に繰越欠損金額は全額損金算入される。

適用を受けるには、欠損金の生じた事業年度において青色申告書(災害損失欠損金なら白色でも可)を提出し、その翌事業年度以後は白色でも構わないので連続して申告書を提出する必要がある。

繰越欠損金が2以上の事業年度において生じたものからなる場合、そのうち古い事業年度の分から順次損金算入する。

       

欠損金の繰り戻し還付

欠損金額がある場合は、前事業年度に繰り戻すことができる。ただし、この措置は2022年3月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金は、特定の場合を除き、その適用が停止されている。

なお、一定の資本金1億円以下の中小法人等については、2009年2月1日以後に終了する各事業年度において、欠損金の繰戻還付制度が復活した。

固定資産の特別償却・割増償却

中小企業投資促進税制、優良賃貸住宅および特定開発建築物の割増償却などがある。

各種準備金積立ての損金算入

準備金積立額の損金算入が認められるのは青色申告法人に限られる。

税額控除

中小企業投資促進税制、試験研究費の総額に係る特別税額控除等は青色申告法人であることを要件としている。

       

地方法人税

法人税の納税義務がある法人は、地方法人税の納税義務者となる。地方法人税は課税標準法人税額に10.3%を乗じた額となる。

外部リンク:国税庁

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問30

法人の各種届等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 法人を設立した場合には、設立の日以後3カ月以内に、所定の書類を添付して、法人設立届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  2. 内国法人である普通法人が設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合、原則として、設立の日以後3カ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までに、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出することとされている。
  3. 内国法人である普通法人は、事業年度が6カ月を超える場合、原則として、納税地の所轄税務署長に対し、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に法人税の中間申告書を提出し、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に法人税の確定申告書を提出することとされている。
  4. 過去に行った確定申告について、計算に誤りがあったことにより、納付した税額が過大であったことが判明した場合、原則として法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。

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解答

助手のウィキ子

法人設立は2ヵ月以内ですぅ。
青色承認が3ヵ月ですね。法2青3です。
3は中間申告のお話です。
4は11.確定申告・青色申告を参考にね。
関係ないけど贈与税の更正は6年なのよね。気を付けようね。

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