土地の無償返還に関する届出書と使用貸借|FP1級Wiki
このあたりの項目は実務経験がないと本当になにがなんやらで覚えにくいです。
借地権については出題されやすいので、時間をかけてしっかり覚えていきましょう。
不動産所得の計算
不動産所得=①総収入金額-②必要経費-青色申告特別控除
①総収入金額
地代、家賃、礼金、更新料、使用料、返還を要しない敷金や補償金など
②必要経費
賃貸用不動産の取得、貸付、管理運営に係る経費
公租公課
固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税など
借入金の利子
業務用資産の購入のための借入金利子は経費となるが、元本の返済部分は経費にならない。また、賃貸開始前に支払った利子は経費ではなく、不動産の取得価額に算入される。
減価償却費
新規取得の建物、2016年4月1日以後に取得する建物付属設備および構築物は定額法のみで減価償却費を計算する(定率法は選択できない)。
その他経費
- 賃貸用不動産の取得・譲渡の仲介手数料:取得にかかる手数料は不動産の取得価額に算入。譲渡にかかる手数料は譲渡所得の譲渡費用に算入。
- 立退料:アパート売却のため賃借人に払った立退料は譲渡所得の譲渡費用、アパートを建て直すための立退料は不動産所得の経費に算入。
- 取壊費用:事業的規模(5棟10室基準)なら全額、そうでない場合は不動産所得の金額を限度に経費算入。これから事業を始めるための自宅の取壊し費用は対象外。
借地権相当額の贈与(受贈益)とみなされない場合
通常、権利金等の一時金を授受する慣行のある地域において権利金等を支払わずに借地権を設定した時は、地主から借地人に借地権相当額の範囲内で贈与があったものとみなされる。
ただし、権利金等の一時金を授受することなく土地を借り受けても、次の場合には借地権相当額の贈与とみなされない。
個人間での土地の使用貸借の場合
使用貸借とはお金を払わずに土地を借りていること。地主の負担すべき固定資産税程度の金額を借地人が払っている場合も使用貸借となる。
相当の地代を支払っている場合
相当の地代=土地の更地価額(相続税評価額)×おおむね年6%
相続税評価額の上昇に合わせて相当の地代をスライドさせる方法またはスライドさせずに据置きする方法のどちらかを選択し、税務署長に提出する。
ちなみに相当の地代は年6%ということで、20年も借りると買えてしまうくらいの金額であり、通常の地代が1%程度が平均であることを考えると非常に高額です。
土地の無償返還に関する届出書を提出している場合
土地を借りている法人が将来貸主に土地を無償で返還することを意思表示することで、高額な地代を支払わなくとも借地権の認定課税を受けなくなる。 個人同士ではこの届出書は使えず、どちらかが法人でなければならない。
ちなみに無償だと小規模宅地の特例は使えなくなるが、固定資産税の2倍から3倍程度の地代を設定しておけば、必要条件を満たすことで特例対象として宅地評価を80%減できる。
借地権の使用貸借に関する確認書を提出している場合
借地権を使用貸借するためのマイナーな書類。どんな時に使うかというと、借地に自宅を建てたお父さんが、持ち物である自宅を子供に譲る場合に、そのまま譲るとお父さんの借地権が子供に贈与になってしまいます。権利移動により無駄な贈与税が掛かってしまうので、借地権は父のままに残しておきたいときに使用します。
不動産所得と不動産収支(キャッシュフロー)
損益収支(税法上の利益)において、減価償却費は現実的な現金の支出はないが必要経費と認められるので控除する。ただし、借入金の元本返済は必要経費として認められないので控除しない。
資金収支(キャッシュフロー)において、借入金の元金返済は実際に支出があるので控除する。逆に減価償却費は現実的な現金の支出はないので控除しない。
※損益収支が利益と損失の計算であるのに対して、キャッシュフローとは簡単に言うと単純な現金の出入りのことである。
不動産収支(キャッシュフロー)=不動産所得+減価償却費-借入金元本返済
この項目には過去問チャレンジはありません。
ここの項目の重要ポイントはなんといっても、
使用貸借と土地の無償返還に関する届出書でしょう。
借地権とは金銭的な価値があるもの。
それが贈与になっていないか。そこを見てきます。
認定課税の仕組みを理解しておきましょう。
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