税額控除|FP1級Wiki

勉強していると、細かいところばかりが出題されるため、そういうのばっかり覚えてしまい、そもそもの税額控除と所得控除がごっちゃになる事があります。課税の対象になる所得金額を安く見積もれるのが所得控除算出税額から直接引けるのが税額控除です。税金が安くなるのはどちらもうれしいですが、税額控除のほうがお得になるということですね。

       

配当控除

納税者が内国法人から支払いを受ける剰余金の配当、特定株式投資信託の収益の分配、
一定の公募株式投資信託等の配当所得について、配当控除が受けられる。

なお、申告不要制度、申告分離課税制度を選択した配当および外国株式の配当については、
配当控除の適用を受けることはできない。

控除額

配当所得が他の課税総所得金額等の上積みになっているとして、次の金額が税額控除される。対象となる配当所得は、損益通算前の金額である。

課税総所得金額等配当控除額
1,000万円以下の部分の配当所得配当所得金額の10%
1,000万円超の部分の配当所得配当所得金額の5%
900万の人が200万配当受けたら半分が10%、半分が5%だね。
       

住宅借入金等特別控除

住宅ローン等を利用し、自己の居住用住宅を新築・取得または増改築をした場合に受けられる税額控除。

適用対象住宅

新築住宅の場合

自己が居住するための住宅で次の要件を満たすものであること

  • 床面積が50㎡以上であること(合計所得1,000万以下で2024年12月31日までに確認を受けた取得の場合40㎡以上)
  • 床面積の2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供されるものであること

中古住宅の場合

自己が居住するための住宅で次の要件を満たすものであること

  • 床面積が50㎡以上であること
  • 床面積の2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供されるものであること

次のいずれかに該当するものであること

  • 耐火建築物であるときは取得の日以前25年以内に建築されたものであること
  • 耐火建築物以外であるときは取得の日以前20年以内に建築されたものであること
  • 地震に対する一定の基準に適合するものであること※もしくは既存住宅売買瑕疵保険に加入していること

※(建築日付が1982.1.1以降の中古住宅なら適合するとみなす)

       

増改築の場合

自己が所有する居住用住宅の増改築等で次の要件を満たすものであること

  • 増改築等の工事費用の額が100万円を超えること
  • 増改築後の床面積50㎡以上であること
  • 増改築後の床面積の2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供されるものであること
  • 自己の居住の用に供される部分の工事費用の額が、増改築等の工事費用の総額の2分の1以上であること

次のいずれかに該当する工事であること

  • 一定の増改築・大規模修繕の工事
  • 一定の耐震改修工事
  • 一定のバリアフリー改修工事
  • 一定の省エネ改修工事

適用条件

  • その年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
  • 取得した家屋には、取得の日から6カ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること。
  • 居住した年、前年、前々年に次の特例の適用を受けていないこと。
  • 居住用財産の譲渡の特例(3,000万円特別控除や軽減税率)
  • 居住用財産の買換え・交換の特例
  • 中高層耐火建築物への買換え・交換の特例

居住年から3年目に該当する年中までに従前の住宅を譲渡し、上記特例の適用を受けた場合も、
住宅借入金等特別控除は受けられないので遡って修正申告することになる。
ただし、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度との併用はできる

控除の対象となる借入金

金融機関等(公的機関を含む)からの借入金で、
償還期間(繰上げ返済をした場合は当初の契約による最初の償還月から繰り上げ返済後の最終の償還月までの期間、借換えをした場合は新しい借入金の償還期間)が13年以上(一定の場合10年)で割賦償還のもの。

ただし、以下のものは対象外です。

  • 親族からの借入金
  • 役員の勤務先からの借入金
  • 基準金利未満の勤務先からの借入金(年0.2%未満のもの)
       

転居後、再入居した場合

以下の者は、勤務先からの転勤命令等のやむを得ない事由により居住の用に供しなくなったあと、その事由が解消し再び対象住宅に入居した場合は、一定の要件を満たせば再入居年以後(再入居年に賃貸の用に供していた場合にはその翌年以後)の各適用年について、再適用等を受けることができる。

  • 住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者
  • 住宅借入金等特別控除の適用を受けていないが、2009年1月1日以後に住宅を取得して居住の用に供した年の12月31日までの間に転居した者

ただし、住宅借入金等特別控除等の控除期間は延長されないため、再適用等は残存控除期間がある場合に限る。

一般新築住宅の控除

居住年控除期間住宅借入金の年末残高控除率
2022~2023年13年間3,000万円以下の部分0.7%
2024~2025年※10年間2,000万円以下の部分0.7%

※ 2023年までに建築確認を受けた新築に限る。

       

認定住宅(新築)の控除

省エネなどの認定住宅の場合、借入金限度や控除期間が優遇される。控除期間はすべて13年。控除率はすべて0.7%。また、借入限度額は子育て世帯・若者夫婦世帯は2024年入居の場合でも2023年までと同様となる。

認定住宅

居住年住宅借入金の年末残高
2022年1月~2023年12月5,000万円以下の部分
2024年1月~2025年12月4,500万円以下の部分※
※子育て世帯・若者夫婦世帯は2023年までと同じ借入限度額を適用できる。

ZEH水準省エネ住宅

居住年住宅借入金の年末残高
2022年1月~2023年12月4,500万円以下の部分
2024年1月~2025年12月3,500万円以下の部分※
※子育て世帯・若者夫婦世帯は2023年までと同じ借入限度額を適用できる。

省エネ基準適合住宅

居住年住宅借入金の年末残高
2022年1月~2023年12月4,000万円以下の部分
2024年1月~2025年12月3,000万円以下の部分※
※子育て世帯・若者夫婦世帯は2023年までと同じ借入限度額を適用できる。
       

中古住宅や増改築の控除

  • 一般住宅:借入限度2,000万円、期間10年。控除率0.7%
  • 認定住宅:借入限度3,000万円、期間10年。控除率0.7%

住民税からの控除

住宅借入金等特別控除の適用がある者のうち、その年の所得税から控除しきれない残額がある場合は、翌年度分の個人住民税において、当該残高に相当する額を、次の控除限度額の範囲内で減額する。

居住年控除限度額
2022年1年~2025年12月所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円)

住宅耐震改修特別税額控除(2025年12月31日まで)

昭和56年5月31日以前に建築された、主たる自己居住用家屋(自己所有に限らない)の耐震改修をした場合は、その年分の所得税額から以下の算式で計算した金額を控除することができる。住宅耐震改修税額控除と住宅借入金等特別控除は重複適用を受けることができる。なお、住民税にはこの制度はない。

控除額(最高25万円)=耐震改修に係る標準的な工事費用相当額※×10%
※ 補助金等の交付があった場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額となる。

       

認定住宅新築等特別税額控除

2025年12月31日までの間において、個人が認定住宅の新築等をして居住の用に供した場合は、一定の要件のもとに次の算式で計算した金額を所得税額(住民税額からの控除はない)から控除することができる。
なお、控除額がその年分の所得税額から控除できない控除不足額は、翌年分の所得税額より控除できる。
また、住宅借入金等特別控除の認定住宅の特例との選択適用になる。

控除額(最高65万円)=標準的なかかり増し費用×10%

住宅特定改修特別税額控除

一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事、三世代同居改修工事、子育て対応リフォーム等を行い居住の用に供した場合は、税額控除を受けることができる。 また、耐震改修工事または省エネ改修工事と併せて行われる一定の耐久性向上改修工事も対象となる。

控除額(最高25万円※)=特定の改修工事に係る標準的な工事費用相当額×10%

※ 耐震改修工事+省エネ改修工事+耐久性向上改修工事を行った場合は、最高50万円。省エネ改修工事に太陽光発電設備を含む場合は10万円上乗せされる。またバリアフリー改修工事のみの場合は最高20万円とされる。
●対象工事限度額を超過する部分やその他の改修工事、「対象工事に係る標準的な工事」は一定要件で合計額、もしくはそこから1,000万を引いた額のいずれか低い方の5%に相当する金額が税額控除される。

なお、その年の合計所得金額3,000万円を超える場合には適用を受けることはできない。

住宅借入金特別控除および特定改築等住宅借入金等特別控除との選択適用となる。

       

災害減免法による減免措置

納税者または納税者と生計を一にする配偶者、その他の親族(総所得金額等が48万円以下の者)が、震災、風水害、火災などの災害により、所有する住宅や家財について損害を受けたときは、その損害金額(保険金等で補填された金額をのぞく)が住宅や家財の価額の50%以上であり、その年分の災害減免法の合計所得金額(分離課税の譲渡所得の特別控除後)が1,000万円以下で、かつ、その災害について雑損控除の適用を受けなかった場合に限り、災害減免法により次の割合の所得税額(税額控除後)が減免される。

災害減免法の合計所得金額減免額
500万円以下全額
500万円超~750万円以下50%相当額
750万円超~1,000万円以下25%相当額

外部リンク:国税庁

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年5月試験 学科 問29

居住者であるAさんの2020年分の所得の金額等が下記のとおりであった場合の所得税の配当控除の額として、最も適切なものはどれか。なお、配当所得は、東京証券取引所に上場している国内株式の配当を受け取ったことによる所得で、総合課税を選択したものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。

  • 配当所得の金額255万円
  • 不動産所得の金額890万円
  • 所得控除の額の合計額135万円
  1. 12万7,500円
  2. 18万2,500円
  3. 25万円
  4. 25万5,000円

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解答

まずは控除枠を割り出さねばなりません。

890万円-135万円=755万円
1,000万円-755万円=245万円

1000万未満枠は245万となりました。

次に1000万超枠ですが、

255万円-245万円=10万円

10万円ですね。
あとはそれぞれの控除率を掛けて足すだけです。

245万円×10%=245,000円
10万円×5%=5,000円
24万5,000円+5,000円=25万円

答えは3ですね。

Wiki技能士

配当工場は1,000万を超えた部分の控除率が下がると覚えておきましょう。