損益通算 | FP1級Wiki
損益通算とは、赤字を他の黒字から差し引くこと。
不動産所得、事業所得、山林所得、と譲渡所得(ほんの一部)だけがそれをすることができる。
※たとえば不動産所得がマイナスとなった場合、そのままマイナスとして計算に加えることができるが、譲渡所得のゴルフ会員権の場合(なぜか良く出てくる)損益通算できないのでいくらマイナスが出ていても0円として計算しなければならない。損益通算という名称のせいでややこしいのですが、損でも益でも他と合計するのが損益通算対象の所得。それ以外のものについては益は足すけど損は0円として計算することになります。ここを混乱しないようにすればかなり正解に近づくことができます。
内部通算は同じ所得の中で差し引くことを指す。
FP1級試験の基礎編でたびたび登場。計算問題になるのだが、ツメが甘いとカスって外す。そんな難易度です。
うろ覚えでは外すことが多くなりますので、ポイントだけでもしっかり覚えて試験に臨みましょう。
損益通算には順序とルールがあります。それを間違うと「かする」訳です。
一次通算、二次通算、三次通算と順序良く進めていきましょう。
一次通算
- 給与所得
- 不動産所得 他の一次通算たちから損益通算可能
土地の負債について注意。不動産所得が黒字だった場合はそのまま。赤字だった場合のみ土地の負債分の赤字は無かったことにしてください。建物は関係ありません。土地のみです。例(不動産所得が▲80万で土地の取得に関する負債が▲20万の場合は▲60万円で計算すること)
- 事業所得 他の一次通算たちから損益通算可能
- 雑所得
- 配当所得
- 利子所得
譲渡・一時の一次通算
一時所得
特別控除50万円を引いて計算。黒字であろうが赤字であろうが50万円控除して計算してよい。二次通算後に一時所得の金額が残った場合、その一時所得の分だけ1/2することができる。
譲渡所得
一時所得と損益通算できるとなっているが・・・。 損益通算可能となっている譲渡所得ですが、生活に必要でない資産はダメとなっていて、ゴルフ会員権や貴金属などはできないし、株式等の譲渡の場合も上場株同士や一般株同士の内部通算はできても損益通算はできません。そのため出題されたケースではほとんど損益通算できないものとして覚えておきましょう。
二次通算
「一次通算」で出た所得に「譲渡・一次通算」の所得を通算します。実質一時所得を通算するということです。
このとき一時所得が黒字として残る場合は一時所得の金額分だけ1/2することができます。
山林所得や退職所得がなければここで終了となります。
三次通算
山林所得や退職所得が出題されている場合はここまでやらなければなりません。
山林所得はそのまま足してもらって構いませんが、退職所得は1/2した後の金額を足しましょう。
これで完成です!!
外部リンク:国税庁
過去問を解いてみましょう 2018年1月学科試験 問27
居住者であるAさんの2020年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の損益通算後の所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
給与所得 | 勤務先から給与を受け取ったことによる所得 収入金額:180万円 給与所得控除額:62万円 |
---|---|
退職所得 | 勤務先から退職金を受け取ったことによる所得 収入金額:1,800万円 退職所得控除金額:1,500万円(勤続年数30年) |
不動産所得 | 賃貸アパートの経営による所得 総収入金額:200万円 必要経費:350万円(当該所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子10万円を含んだ金額) |
一時所得 | 生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる所得 総収入金額:290万円 収入を得るために支出した金額:300万円 |
1) 108万円
2) 118万円
3) 128万円
4) 139万円
解答
給与所得=180-62=118万円
不動産所得=200-350=-150万円
しかし、赤字の場合は土地の取得の負債は除かなければならないので、
-150+10=-140万円
不動産所得は-140万円です。
ひとまずここまでを一次通算します。
118-140=-22万円
次に一時所得です。特別控除分はしっかり引きます。
一時所得=290-50-300=-60万円
結果、一時所得は赤字となりました。
一時所得の損益は通算できませんので0円計算となります。
-60万円→0円
この問題では二次通算は発生しません。
次に三次通算です。
退職所得は1/2したものを加算します。
300×1/2=150万円
-22+150=128万円
正解は3番です
損益通算と内部通算の理解と、
その順番を間違えない事ですね。
何度も読み返して理解しましょう。
2021年04月29日