火災保険と地震保険|FP1級Wiki
失火責任を問う問題や、地震保険の基本的な内容についての問題が多いです。
保険の話をする前にまず火事に関する法律を知りましょう。
失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)
なんでカタカナなのかというとすごく古い法律だからです(明治からの法律らしい)。日本は木造家屋が軒を連ねる街並みが多いため、大火となる可能性が高い。出火した人に責任を負わせてしまうと首を吊るしかなくなってしまうので、日本にはこの法律があるようです。
失火(軽過失)による不法行為での火事であるなら、その責任は問いませんよ。とする法律です。ただし、重過失にあたる場合、故意にあたる場合、これらは民法の規定どおり損害賠償責任を負います。
また、アパートの住人が部屋を失火で燃やしてしまった場合は、債務不履行による損害賠償責任と取られるので(借りたもん返せよ的な)、そこには失火責任法は適用されず、家主に対する損害賠償が発生する。隣家には負わなくていい。
火災保険
補償対象
火災保険の補償対象は建物とそこに収容する家財など動産となる。
- 建物:1棟で契約する。門・塀・車庫なども含む。住宅用か事務所・工場・店舗かで保険種類が異なる。
- 動産:家財一式。敷地内に停めてある原付バイク(125cc以下)や自転車を含む※。
※貴金属や宝石など単品30万円を超える貴重品は家財からは外れてしまうので、明記物件として別枠での契約となる。現金有価証券など金銭的なものは対象外
火災保険では、風災等により建物等の外側の破損がない場合、風・雨・雹(ひょう)・雪・砂塵等の建物内部への吹込みや浸込み等により生じた損害は、補償の対象とならない。隣の家の火事による被害(延焼、消火活動による水漏れ等)は補償の対象になります。
保険期間
契約は更新型。契約期間は最長5年。
保険料
住宅の構造で3つに区分され保険料率が変わる。高い順から、
- H構造(非耐火構造)
- T構造(耐火構造)
- M構造(マンション構造)
- I公造(井上公造)←すいません嘘です。こんなのありません。
以上の順番になる。
保険金の支払額(給付)
火災保険の契約には、比例てん補と実損てん補がある。現在の契約では実損てん補が一般的である。
ちなみに実際の建物より高額の保険を掛けた場合(超過保険)、超えた分は無効になります。
比例てん補
掛けてる保険が実際の建物の価額より小さい場合(一部保険という)、その割合に比例して支払うというもの。
例えば2,000万のお家に1,000万の保険しか掛けていなかった場合(50%)。
自宅に1,000万の損害が出たら、支払われる火災保険金は1,000万ではなく500万になるのです(50%)。
これ、なんでかというと、よそのお家との公平性を保つためなんだそうです。
しっかり満額掛けてるお家と、お家の半分しか掛けてないところで、同じ1,000万の被害が出たときに給付額が同じだと不公平よねって考え方です。
実損てん補
設定した保険金額の範囲で、実損額を補償します。保険料が高くなりますが、自宅を確実に再建できますのでこちらのほうが安心と言えます。
火災保険の主な特約
特約 | 補償内容 |
---|---|
借家人賠償責任特約 | 債務不履行による損害賠償責任に備える 賃貸住宅入居者向けの保障 |
個人(店舗) 賠償責任特約 | 日常生活の損害賠償責任による損害を補償 火事や家屋に関するものでなくても補償する (隣室への水漏れ、相手へのケガ、物損など) |
利益保険特約 | 災害等で営業休止した場合の喪失利益と 収益減少防止費用に対して補償する |
地震火災費用特約 | 地震をきっかけとする火災の被害を補償。地震保険とは別で支払われます。 火災じゃないと出ません。 (保険金額の5%、300万円限度) |
地震保険(正式名:家計地震保険)
地震、噴火、津波による火災・損壊・埋没・流出被害など(火災保険では補償されない)で被災者となった家庭の生活を補償するための保険。大規模災害等の場合は一定額以上を政府が再保険により負担する共同運営の形を取っている。
対象は居住用建物(店舗併用は可)と、その家財。建築中の家屋も対象にできる。
- 30万円を超える貴重品については一切対象にならない(火災保険のような明記物件のような制度もない)。
- 原則、火災保険に自動付帯(推奨)。中途付帯可。単体契約はできない※¹
- 保険期間は1~5年。更新型。
- 地震発生10日を経過した後の損害は対象外
- 72時間以内に起きた2つ以上の地震等は、被災地が重複しない場合を除き1回の地震とみなす※²。
※¹ 火災保険の保険期間5年以下の場合、保険期間1年の自動継続、または保険期間を火災契約と同一(2・3・4・5年のいずれか)とする長期契約になる。 火災保険の保険期間5年超の場合は、保険期間1年の自動継続または保険期間5年の長期契約の自動継続となる。長期契約は割引もある。
※²最初の地震で一部損、2回目で全損となったら、全損の保険金を1回支給。2回目が72時間を超えていたら、一部損と全損の2回支給ということ。
保険料のしくみ
保険料は所在地と建物の構造で算出され、保険会社による差異はない。
- 所在地区分:地震発生率は場所により違うため3区分化している。同じ区でもさらに細分化している県もある。
- 建物構造:イ構造(耐火、準耐火等)とロ構造(それ以外)がある。イ構造はまさに芸能リポータ・・・ではない。
保険料については以下のような割引制度もある。
種類 | 2014年7月1日以後契約 |
---|---|
免震建物割引 (住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づいた免震) | 50% |
耐震等級割引 (品確法か国土交通省の定める耐震等級) | 耐震等級3:50% 耐震等級2:30% 耐震等級1:10% |
耐震診断割引 (昭和56年6月1日施行における耐震基準を満たす建物) | 10% |
建築年割引 (昭和56年6月1日以降に新築された建物) | 10% |
上記の割引制度は重複適用はできない。
保険金額
保険金額は主契約である火災保険金額の30~50%で、建物5,000万、家財1,000万円が限度となります。
保険金の給付
支払われる保険金には損害の程度に応じた損害区分がある。現在、全損(100%)、大半損(60%)、小半損(30%)、一部損(5%)の4区分。
全損(100%)
- 建物:基礎・柱・屋根などの損害額が建物の時価の50%以上、または焼失・流出した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上
- 家財:損害額が保険対象家財全体の時価80%以上
大半損(60%)
- 建物:基礎・柱・屋根などの損害額が建物時価の40%以上50%未満、または焼失・流出した部分の床面積が建物延床面積の50%以上70%未満
- 家財:損害額が保険対象家財全体の時価60%以上80%未満
小半損(30%)
- 建物:基礎・柱・屋根などの損害額が建物時価の20%以上40%未満、または焼失・流出した部分の床面積が建物延床面積の20%以上50%未満
- 家財:損害額が保険対象家財全体の時価30%以上60%未満
一部損(5%)
- 建物:基礎・柱・屋根などの損害額が建物の時価の3%以上20%未満
- 家財:損害額が保険対象家財全体の時価10%以上30%未満
地盤液状化による認定
地盤液状化も損害として認められます。
建物区分 | 傾斜被害 | 沈下被害 | 支払保険金 |
---|---|---|---|
建物全損 | 1度を超える | 30cm以上 | 建物の地震保険金の100% |
建物半損 | 0.5~1度以下 | 15cm~30cm以下 | 建物の地震保険金の50% |
建物一部損 | 0.2~0.5度以下 | 10cm~15cm以下 | 建物の地震保険金の5% |
外部リンク:㈳損害保険協会
それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問14
地震保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 地震保険の保険料の割引制度には、「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」があり、割引率は「耐震等級割引(耐震等級3)」および「免震建築物割引」の50%が最大である。
- 火災保険の保険期間が5年を超える場合、付帯して契約する地震保険の保険期間は1年単位で最長5年までを選択することができ、5年間の長期契約の保険料を一括払いした場合は所定の割引率が適用される。
- 地震を原因とする地盤液状化により、木造建物が傾斜した場合、傾斜の角度の大きさにより一定の損害が認定されれば、保険金が支払われる。
- 建物を対象とする地震保険は、建物の主要構造部の損害状況に基づき保険金が支払われるため、門・塀・給排水設備等が単独で損害を受けた場合、保険金は支払われない。
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解答
2
これは難問ね。
正解に見えちゃうんですが、
火災保険が5年を超える場合は1年か5年かの2択なので、
1年単位ではないんですぅ。
火災保険と地震保険それぞれの特徴をしっかり掴んでいこうね♪
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