年金の繰上げ繰下げ支給|FP1級Wiki
国民年金・厚生年金の繰り上げや繰り下げの問題で、重要なところは、繰り上げ率と繰り下げ率、それぞれの最大期間。
そして、どこまでが対象なのか。加給年金は?付加年金は?この辺が出題されやすいので注意していきましょう。
老齢基礎年金(1階部分)の繰上げ支給
本来の年金受給年齢は65歳ですが、60歳まで前倒しで受給できます。付加年金も同様です。
- 繰上げは最大5年で月単位で希望できる。
- 繰上げ支給は1ヶ月あたり0.4%減額される。
つまり年金受給年額が1年あたり4.8%。最大5年で24%が減額されることになる。
(1962年4月1日以前生まれの減額率は1ヵ月あたり0.5%(最大30%))
繰上げ支給のデメリット
- 減額された年金が一生続く
- 受給後は一切変更ができなくなる
- 原則、障害基礎年金や寡婦年金の受給権を取得できない
- 遺族厚生年金が65歳まで受給できない
- 寡婦年金がもらえなくなる
- 長期特例、障害者特例が適用されなくなる
老齢基礎年金(1階部分)の繰下げ支給
本来の年金受給年齢は65歳。75歳まで繰下げ受給できる。付加年金も同様です。
- 繰下げは最大10年で月単位で希望できる。
- 繰下げ支給は1ヶ月あたり0.7%増額できる。
つまり年金受給年額が1年あたり8.4%。最大10年で84%が増額されることになる。
(2022年4月1日以降に70歳になる人からを対象に、最大10年に延長されました)
報酬比例部分と老齢厚生年金(2階部分)の繰上げ受給
老齢厚生年金も同様の仕組みで繰上げ繰下げできる。
特別支給(報酬比例部分)の年金を持っている方の場合は、
仮に支給開始年齢が62歳だったとすると、
60歳に繰り上げた場合は2年分の9.6%が減額となる。
ただし、同時に老齢基礎年金も繰り上げられるのがルールなので、
そちらは5年分の24%減額という計算になる。
※加給年金がいっしょに繰り上がることはないので注意
老齢厚生年金(2階部分)の繰下げ支給
老齢厚生年金の受給権を取得(年金をしっかり納めた)人が、受給権取得から1年経つ前にまだ請求していないときは繰下げ支給の申出ができる。
- 加給年金については増額されないし、待機期間中もらえない。
- 障害厚生年金や遺族厚生年金は繰下げできない※
- 特別支給の年金は増額されない
- 在職老齢年金で支給調整されている人は、停止部分は増額に反映されない
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げは、別々に行うことが可能である
※これらの受給権発生日以降は老齢年金の繰下げもできない(一部障害基礎年金に例外アリ)
外部リンク:日本年金機構
過去問チャレンジ2023.5月実施学科試験 問5
老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給と繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。
- 1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。
- 1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。
- 1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。
正解は
1は繰上げは同時にしかできません。不適切。
2は意地悪問題。1962年4月1日以前生まれの減額率は、0.5%。この人ギリギリ旧利率です。
3は適切。繰下げは別々にできます。年齢要件もOK。
4が難しいです。遺族厚生年金受給権発生日時点以降には繰下げできません。遺族保障の観点から繰り下げるって変だって考え方なんでしょうね。
正解は3番です。
今度から繰上げ支給時の減額率が軽減されて、
繰下げ支給期間が延長したので更なる溜め撃ちが可能になりますね。
後溜め前パンチです!