FPの倫理と関連法規
FP1級基礎編・応用編ではもうさすがに基本的な事過ぎて出題されないかと思いきや、
実技試験で非常に重要な科目となります。
必ず聞かれますので、6種類の職業的原則と各分野の士業・専門家との連携について覚えましょう。
FPの職業的原則
①顧客利益の優先
FPはプランニングする際に顧客の利益を最優先とし、FPの利益を優先してはならない。
②守秘義務の遵守
FPは業務上知りえた情報を、第三者に許可なく漏らしてはいけない。
③顧客に対する説明義務(アカウンタビリティ)
FPはプランニングや商品販売の際に、顧客が適切な情報を選別できるよう法令で定められた説明義務がある。
④コンプライアンスの徹底
FPは金融商品取引法を遵守し、弁護士や税理士などの各専門分野の領域を侵さぬ範囲で業務に臨まなければならない。
⑤インフォームドコンセント(顧客同意)
顧客に十分納得してもらったうえで計画を実行する必要がある。つまり顧客とFPが情報を限りなく共有することである。
⑥能力の啓発
FPに求められる専門知識、技能は広範にわたる。また、知識の継続的な更新が不可欠となる。したがってFPは自己啓発を怠るわけにはいかない。
各分野の専門家・士業
FPが業務を行うにあたって、抵触してはいけない専門領域や、連携をとるべき専門業務がある。実技試験では必ず質問を受けることになるので、すぐに答えられるように頭に入れておきましょう。
弁護士
弁護士または弁護士法人でない者は通常の法律業務を行うことはできない。債務に関する相談(住宅ローン、金融機関からの融資についての相談)で整理方法などを示唆したり、相続問題などで遺言書の作成や遺産分割方法等の相談などがある。定期借家契約の切り替え交渉や個別の法律相談。
税理士
税理士は税務の専門家。租税法令等に基づく申告等についての税務代理行為、税務書類の作成、税務相談および不随業務が税理士の専門職域となる。 一般的な税法の解説は税務相談に該当しないため抵触しない。
不動産の課税上の取り扱いや、相続税評価額に関する個別の税務相談。
司法書士
司法書士の独占業務は、登記・供託に関する手続きの代理、法務局や地方法務局に提出する書類の作成、登記や供託に関する審査請求手続きの代理、筆界特定手続きの提出書類作成、およびこれらの事務相談が司法書士法で定められている。また、司法書士は簡易裁判所の一定の訴訟代理もできる。 所有権保存登記、所有権移転登記、権利関係の登記といえば司法書士と覚えてください(きんざい実技対策)。
遺言作成の証人になったり、任意後見人となることは抵触しない。
宅地建物取引士
宅地建物の売買賃貸借に関する仲介業務が宅地建物取引業法で定められている。
契約の際の重要事項の説明や記名押印は宅地建物取引士の独占業務となる。
不動産鑑定士
報酬を得て生業として行う「不動産の鑑定評価」が法律により専門領域となる。物件の家賃だったり売却価格が適正かどうかを判定する。不動産鑑定評価書の作成。
土地家屋調査士
「他人から依頼を受けて土地や建物の所在・形状・利用状況などを調査し、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続きなどを行うこと」が法律で専門領域となる。建物滅失登記、建物表示(表題)登記、土地の分筆登記など。同時に土地家屋の測量も行う。
どんな建物か。どんな土地か。不動産の状態を示す部分の登記といえば土地家屋調査士と覚えてください(きんざい実技対策)。
社会保険労務士
報酬を得て生業として行う事務で、労働社会保険諸法令に基づく「申請書の作成、その提出手続きの代行」「申請の代理」「帳簿書類の作成」が専門領域となる。年金額の試算は抵触しない。
建築士
建築計画の策定、関係法規の調査など。建築設計、工事監理、指導監督、行政手続なども請け負います。
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それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問1
ファイナンシャル・プランニングを業として行ううえでの関連法規に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における独占業務とは、当該資格を有している者のみが行うことができる業務であるものとし、各関連法規において別段の定めがある場合等は考慮しないものとする。
- 社会保険労務士法により、他人の求めに応じて報酬を得て業として行う事務であって、労働社会保険諸法令に基づく「申請書等の作成、その提出に関する手続の代行」「申請等の代理」「年金受給額の試算」は、社会保険労務士の独占業務である。
- 税理士法により、他人の求めに応じて業として行う「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」は、有償・無償を問わず、税理士の独占業務である。
- 司法書士法により、不動産の権利に関する登記について、他人の依頼を受けて業として行う「登記に関する手続の代理」「法務局に提出する書類の作成」は、有償・無償を問わず、司法書士の独占業務である。
- 不動産の鑑定評価に関する法律により、他人の求めに応じて報酬を得て業として行う「不動産の鑑定評価」は、不動産鑑定士の独占業務である。
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解答
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そのままテキスト通りです。書類を作ったり手続きをやってあげたりという実務的な部分はFPはできないですね。
他はすべて適切です。
学科試験だと流してしまいがちなこの項目ですが、 きんざい実技試験では面接の最後に必ずと言っていいほど質問される項目です。
「他の士業へ誰に相談しますか?」 面接で緊張するとこの当たり前の質問をトチります。
しっかり頭に入れておきましょう!
どうしても暗記ものになりがちな項目ですが、
大体どれにも共通しているのは、
「個別具体的」な説明はアウトという事です。