オプション取引|FP1級Wiki
金融派生商品の取引を総称してデリバティブ取引といいます。代表的なものは先物取引、オプション取引、スワップ取引です。
FP1級試験対策としてのデリバティブ2項目目。オプション取引について解説します。試験では価格に対する問題が多いです。コールとプットとボラティリティをしっかり理解しましょう。 FPでは本当に広範囲での学習になるため、その時はしっかりと覚えたつもりでも、いざ試験当日となると他の知識とごっちゃになることがあります。 私の場合はオプションがごっちゃになるケースが多く、キャップやフロアやバリアだコールだと混乱しました。
分けて考えるために、店頭取引(相対取引)の金利オプションは次の項目で解説します。
先物取引 | 株価指数先物 債券先物 など |
オプション取引 | 株価指数オプション 金利オプション 通貨オプション など |
スワップ取引 | 金利スワップ 通貨スワップ など |
オプション取引
オプションとは、対象となる資産(原資産)を、一定の期日までに、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で買う権利(コールオプション)もしくは売る権利(プットオプション)のことであり、オプション取引とはその権利を売買する事。 プレミアム(オプション料金)を支払ってその権利を購入する。オプションを販売した売り手はプレミアムを受け取る代わりに、買手が権利行使をしたら応じる義務がある。
価格が上がる前にコールオプションを買ったり、下がる前にプットオプションを買っておけば得する訳です。
コール(Call)はこっちに呼んでるので買うほう、プット(put)はピュッと吹き出すこと。出すので売るほう。このように覚えましょう。
アメリカンタイプとヨーロピアンタイプ
オプション取引で、いつでも権利行使できるものをアメリカンタイプ、権利行使日が決まっているものをヨーロピアンタイプと言います。
オプション取引が先物取引と違うところは、先物は約束の期限までに売買をしなければなりませんが、オプションというのは、あくまでも権利の売買なので、実行してもしなくても良いというところがあります(ただし先物と同様に期限は存在します)。
権利行使をして利益が出る場合は、差額利益からプレミアム(オプション料金)を引いた分が利益となります。逆に損失が出る場合は権利行使しなければ良いので、プレミアムだけが損失ということになります。
オプション取引とヘッジ
近い将来に対象資産を売買する予定があるなら、あらかじめオプションを購入しておくことで損失リスクを限定させつつ、利益を得るチャンスを残しておくことができます。
例えば3か月後に円から米ドルへの交換(米ドルの購入)を予定している場合、米ドル120円のコールオプションを購入しておけば、3か月後がもし円安で130円になっても権利行使で120円で購入できるので損失を回避できるし、逆に円高で110円になったなら、権利放棄してそのまま110円で購入すれば良い(いずれもプレミアムは負担しているけれど)。
プレミアムの2つの価値の考え方
プレミアム(オプション料金)の価値を考えるには本質的価値と時間的価値のふたつの要素があります。プレミアムはその2つを合わせて決定します。まずはその概念から。
本質的価値
現時点で権利行使をした場合に得られる価値。コールオプションでもプットオプションでもインザマネーの状態なら当然価値があるものとなる。アットザマネーやアウトオブザマネーの状態だと権利を行使する意味がない状態だから、つまり価値はない(マイナスにもならない)。
本質的価値は時間の概念を外した純粋な現時点での価値。
- インザマネー:権利行使すると利益が出る状態。原資産価格よりもコールなら安く、プットなら高く取引できる状態の事。
- アットザマネー:原資産価格と権利行使価格が並んでる状態の事。
- アウトオブザマネー:現時点で権利行使すると逆に損しちゃう状態。
時間的価値
プレミアムの本質的価値を引いた部分。つまりアットザマネーやアウトオブザマネーの状態だとプレミアムは時間的価値のみということです。
時間的価値は、オプションに対する予想期待度やその有効期間、少々の金利で決まります。原資産の価格変動が大きいほど、また、満期までの時間が長いほど不確定要素が多いので、プレミアムは高くなります。しかし、時間的価値は満期が近づくごとに減少し、満期日にはゼロとなります。つまり、満期日には本質的価値のみが残ります。
金利は、オプションの販売側が権利行使のために備えておかなければならない部分でかかってくるもので、影響は軽微なものです。
プレミアムの価格決定要因
プレミアムと原資産価格の関係
原資産価格が上昇した場合、コールオプションの場合では原資産価格が権利行使価格を超えてくる可能性があるのでプレミアムは高くなります。逆にプットオプションなら権利行使価格を下回る可能性が低くなるのでプレミアムは低くなります。
- 原資産価格が高い時=コール↑:プット↓
- 原資産価格が低い時=コール↓:プット↑
プレミアムと権利行使価格の関係
原資産価格に対して権利行使価格が高いコールオプションの場合、高くなればなるほど原資産価格が権利行使価格を超える可能性は低くなるので、プレミアムはその分低くなるが、プットオプションの場合はその逆となるのでプレミアムは高くなる。
インザマネーの状態がかなり大きい場合のオプションには売手がいないので値が付かない場合がある(ほぼほぼ儲かるのが確実なのに手放す人はいないですよね)。その値が付かない状態をディープインザマネーと言う。
- 権利行使価格が高い時=コール↓:プット↑
- 権利行使価格が低い時=コール↑:プット↓
プレミアムと満期までの残存期間の関係
満期までの残存期間に対しては、コールオプションもプットオプションも残存期間が長くなるほど時間的価値が大きいのでプレミアムは高くなり、残存期間が短くなるほどプレミアムは低くなる。期間が長ければその分だけ不確定要素が増えるからである。
- 残存期間が長い時=コール↑:プット↑
- 残存期間が短い時=コール↓:プット↓
プレミアムとボラティリティ(価格変動率)の関係
ボラティリティとは、原資産価格の変動率(値動きの上下の激しさ)を言います。コールオプションもプットオプションもボラティリティが上昇すればその分だけプレミアムも上昇する。逆にボラティティが低ければ、それだけ価格が安定しているということなのでプレミアムは低くなります。
- ボラティリティが上昇=コール↑:プット↑
- ボラティリティが低下=コール↓:プット↓
過去問に挑戦してみましょう 2014.1実施 学科試験 問23
オプションのプレミアムに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、記載されているもの以外の条件はすべて同一であるものとする。
1) 1米ドル当たり100円を権利行使価格とする米ドルのコール・オプションでは、為替相場が1米ドル=90円から1米ドル=110円になると、プレミアムは高くなる。
2) 1トロイオンス当たり1,200米ドルを権利行使価格とする金のコール・オプションで、行使日(満期日)が3カ月先のものと1年先のものとでは、行使日が1年先のもののほうがプレミアムは高い。
3) 日経平均株価が11,000円のとき、権利行使価格を10,500円とする日経平均株価のプット・オプションと、権利行使価格を11,500円とする日経平均株価のプット・オプションとでは,権利行使価格を10,500円とするプット・オプションのほうがプレミアムは高い。
4) 権利行使価格を額面100円当たり140円とする長期国債先物のプット・オプションでは、ボラティリティが5%から10%に上昇すると、プレミアムは高くなる。
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正解は
3番です。
プットは売るときのオプションなので原資産価格より低いと当然、価格は低くなりますね。
とにかく高く買いたくない人はコール、安く売りたくない人はプット、それを決めるのは時間とボラティリティ。 この項目については、試験対策としてはこれで充分ではないかと思います。 プレミアムが料金というのがあまりなじめないですよね。普通にオプション料金でいいんじゃないかと思うのですが。 とにかく専門用語が多いのがFP試験の特徴のような気がしますね。勉強をしていく中で専門用語に慣れていく意識も重要だと思います。
頑張っていきましょう!
外部リンク:金融庁