景気・物価指標 | FP1級Wiki
GDPやGNP、日銀短観や景気動向指数など、テレビのニュースで聞いたことがあるような指標。これを学習します。
GDPとGNI
GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内の経済活動によって新たに生み出された付加価値(生産物やサービス)の総額のこと。
国全体の経済力や経済規模の目安となる。内閣府が四半期ごとに発表している。
研究開発費も投資としてGDPに加算される。
GNI(国民総所得)とは、国民が国内外から一定期間内に得た所得の合計を示し、経済成長を計る指標となる。
GDPの場合は日本企業の海外支店で生産した付加価値は含まれないが、GNIの場合は日本企業の海外支店の所得も含んで計算する。
国の経済全体の需要(GDP)と供給の差の事をGDPギャップという。
経済成長率
GDP(国内総生産)の成長率の事を経済成長率という。名目成長率と実質成長率がある。
実質成長率は名目成長率から物価変動分を調整し、実質的な生産量に基づいた計算を行う。
成長率が高いときは経済が好調で、不調な時は当然低くなる。
GDPデフレーター
GDP統計で示される、物価の変動を表す物価指数。
GDPを時価で表示した名目GDPの物価水準の変化分を調整し、実質GDPを計算するために使う指数。
逆を言えば名目GDPを実質GDPで割れば、GDPデフレーターを導き出すこともできる。
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)
日本銀行が景気や経営状況を把握するために全国1万社の企業を対象に行うアンケート調査のこと。
- 毎年3月6月9月12月の年4回調査が行われる。
- 判断項目(3択質問)・年度計画・四半期項目・新卒者採用状況の4種類
業況判断指数(業況判断DI)
日銀短観で発表される景気判断指数。業況が良い企業の割合から、悪い企業の割合を引いた値。
下降になれば景気も後退局面。上昇すれば回復局面と判断される。
※仮に40%が良いと答え、50%が悪いと答えたなら▲10ポイントとなる。
景気動向指数
内閣府が毎月発表している。CIとDIがあり、いずれも先行系列、一致系列、遅行系列から算出している。
CI(コンポジットインデックス)
主として景気変動の、その大きさやテンポ(量感)を測定するもの。
基準の年を設定して、その時点と比べてどのくらい変化したかを比較して、その変化率を導き出す。
一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は景気後退局面となる。
(CI一致指数の動きと景気の転換点は概ね一致する)
DI(ディフュージョンインデックス)
DIは、景気拡張の動きの波及度合いを測定するもの。
月々の振れがあるものの、DI一致指数は景気拡張局面の場合は50%を上回り、景気後退局面では50%を下回る傾向がある。
毎月公表されるDIは、景気転換点を判定するヒストリカルDIとは異なる指標なので注意。
様々な指標
「先行系列」「一致系列」「遅行系列」の種類ごとにまとめました。この項目についてはある程度暗記をする必要があると思います。
最近全29種から30種へと変更されています。ご注意ください。
先行系列 11種
- 最終需要財在庫率指数(逆サイクル)
- 鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)
- 新規求人数(除学卒)
- 実質機械受注(製造業)
- 新設住宅着工床面積
- 消費者態度指数※二人以上世帯・季節調整値
- 日経商品指数(42種総合)
- マネーストック(M2)(前年同月比)
- 東証株価指数
- 投資環境指数(製造業)
- 中小企業売上見通しDI
一致系列 10種
- 生産指数(鉱工業)
- 鉱工業用生産財出荷指数
- 耐久消費財出荷指数
- 労働投入量指数(調査産業計)
- 投資財出荷指数(除輸送機械)
- 商業販売額(小売業、前年同月比)
- 商業販売額(卸売業、前年同月比)
- 営業利益(全産業)
- 有効求人倍率(除学卒)
- 輸出数量指数
遅行系列 9種
- 第三次産業活動指数(対事業所サービス業)
- 常用雇用指数(調査産業計、前年同月比)
- 実質法人企業設備投資(全産業)
- 家計消費支出(勤労者世帯、名目、前年同月比)
- 法人税収入
- 完全失業率(逆サイクル)
- きまって支給する給与(製造業、名目)
- 消費者物価指数(生鮮食品をのぞく総合、前年同月比)
- 最終需要財在庫指数
米国の経済指標・金融政策
学科試験において米国の経済指標の問題が増えてきました。要注目です。
ISM製造業景況感指数
製造業の購買担当責任者を調査対象にした企業の景況感を反映した指標。パーセンテージで表す。
50%を景気の拡大・後退の分岐点とし、50%を上回ると景気拡大、50%を下回ると景気後退を示す。
米国の雇用統計
米国の労働省から毎月発表され、非農業部門雇用者数や失業率などの数値は、株式市場や為替市場などの市場参加者が注視する指標である。
消費者物価指数(CPI)
労働省が発表する米国の消費者が購入する物やサービスの価格変動を示す指標。同様のものが日本にもあり、総務省が発表しています。
消費者信頼感指数
コンファレンスボード(全米産業審議委員会)が毎月発表する、5000世帯を対象にした景況感調査。1985年を100として数値化している。対象者数が多く、信頼性が高い。
連邦公開市場委員会(FOMC)
連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)は金融政策を決定する最高意思決定機関。金利の引き下げや引き上げの判断を行うため、世界のマーケットに与える影響は大きい。定期的に約6週間ごと年8回開催される他、必要に応じて随時開催される。
テーパリング
テーパリングとは、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことを指す。
雇用統計などの指標の改善に一定の成果が上がった時点で量的緩和策を縮小していくことを示す用語として使われる。
最近では2021.11に開始、2022.3月に終了。
外部リンク:経済産業省
景気・物価指標の過去問を解いてみましょう。2017.1月 学科試験 問16
内閣府が公表する景気動向指数に採用されている経済指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 国土交通省が公表する建築着工統計における新設住宅着工床面積は、景気動向指数の先行系列に採用されている。
2) 経済産業省が公表する鉱工業指数における鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、最終需要財在庫指数は、いずれも景気動向指数の一致系列に採用されている。
3) 総務省が公表する労働力調査報告における完全失業率は、景気動向指数の一致系列に採用されている。
4) 内閣府が公表する消費動向調査における消費者態度指数は、景気動向指数の遅行系列に採用されている。
↓正解は↓
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1番です。
この問題の答えは当サイトに記載の通りです。
景気・物価指標の項目について、
先行、一致、遅行の3系列はある程度暗記の必要がありますね。
タグ:景気・物価指標
2021年03月30日