会社 法|FP1級Wiki
会社法の中からその他、FP1級試験で出題傾向にあるものを紹介します。
種類株式
会社支配権の維持であったり資金調達の便宜性などを図るため、広範な種類株式が会社法に存在する。
出題されそうなものや過去に出題があったものは赤字表示してある。
種類 | 内容 |
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譲渡制限株式 | 名義書き換えに会社の承認が必要な株式(承認機関は定款で決定) |
配当優先株式 | 他の株式より剰余金の配当を優先して受ける株式 |
配当劣後株式 | 他の株式より剰余金の配当を劣後して受ける株式 |
残余財産分配優先株式 | 他の株式より精算時の残余財産の分配を優先して受ける株式 |
残余財産分配劣後株式 | 他の株式より精算時の残余財産の分配を劣後して受ける株式 |
議決権制限株式 | 株主総会において決議に参加できない事項のある株式 |
取得請求権付株式 | 株式が株式の買取を会社に請求できる株式 |
取得条項付株式 | 一定の事由が発生した場合に会社が取得できる株式 |
全部取得条項付株式 | 株主総会の決議で会社が全部を取得できる株式 |
拒否権付株式(黄金株) | 特定の事項につき拒否権がある株式 |
役員選任権付株式 | 当該株式所有者のみの株主総会で取締役や監査役を選任する株式 |
株式交付制度
M&Aを促進するため、最近になって誕生した制度。株式交換(100%取得しないといけない)と現物出資(検査役の調査が要る)に次ぐ第三の選択肢となりました。前出の二つの方法のような条件もなければ、持ち株を渡すのも新株発行して渡すのも、一部現金にして渡す(8割以上は株じゃないとダメだけど)などもでき、自由度の高い手段となります。
しかし以下の留意点があります(主なもの)。
- 外国企業相手ではできない
- できるのは株式会社のみ
- 議決権51%獲得(子会社化)を目指すためでなければ使えない(達さない、すでに達してるはダメ)
株式買取請求権
株式交付に反対する株主には、株式買取請求権が与えられているので、行使する株主に対しては、その株式を適正な価格で買い取らなければならない。
特別支配株主の株式等売渡請求
※特別支配株主:会社の総株主の議決権の90%以上を所有する株主
特別支配株主が株主総会決議を経ることなく、少数株主の有する株式等の全部を、個別の承諾なく、金銭を対価として取得することができる制度。
原則、株主の全員(会社へは除く)に対して、そして株式の全部に対して行わなければならない。
- 特別支配株主が条件を定め会社に通知する(取締役会があるなら取締役会が承認決議する)
- 会社は取得日の20日前までに売渡株主等に対し特別支配株主の住所氏名・請求条件を通知する。
- 特別支配株主は定めた取得日に全部を取得する。譲渡制限株式でも譲渡承認があったとみなされる。
売渡株主は以下のような場合、全部の取得をやめるよう請求できる。
- 売渡請求が法令に違反する場合
- 会社が通知もしくは事前開示の義務に違反した場合
- 価格が著しく不当だった場合
提訴期間は取得日から6カ月(会社が公開会社でない場合は1年間)
属人的株式
属人的株式とは非公開会社に限り、剰余金の配当・残余財産の分配・議決権について「株主ごとに」異なる取り扱いができる株式。持株数に関係なく定めることができ、特定の人に議決権を多く与え、経営の影響力を持たせるようなこともできる。属人的株式に関する事項を定めるには株主総会の特殊決議が必要になる。特殊決議は原則として総株主の議決権の4分の3以上の多数で行われる。
外部リンク:国税庁
それでは過去問を解いてみましょう。2020年1月試験 学科 問50
会社法における特別支配株主の株式等売渡請求制度(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 本制度における特別支配株主とは、株式会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合はその割合)以上を有する株主とされる。
- 特別支配株主は、本制度による所定の手続を経ることによって、他の株主が有する対象会社の株式を、他の株主の承諾の有無にかかわらず、金銭を対価として取得することができる。
- 取締役会設置会社である対象会社が本制度による株式売渡請求に係る承認をする場合は、特別支配株主による株式売渡請求があってから3週間以内に株主総会を招集して承認の決議を得なければならない。
- 株式売渡請求に係る承認をした対象会社は、当該承認をした旨、売渡株式の買取価格、取得日等を取得日の20日前までに売渡株主に対して通知し、株式売渡請求をした特別支配株主は、原則として、その取得日に売渡株式の全部を取得する。
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解答
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「株主総会決議を経ることなく」なので株主総会は必要ありません。