健保・国保・後期高齢者制度
国民皆保険なので基本的には上記いずれかの制度に加入することになります。(生活保護とか除く)
事業所勤め(法人ならすべて、個人経営なら常時5人以上の従業員がいる事業所)とその被扶養者は健保へ強制適用。
それ以外の人は国保。75歳になると全員後期高齢者制度に加入することになります。
月々の保険料の負担割合については、協会けんぽは労使折半(会社と割り勘)、組合健保は事業主2分の1以上、国保は全額個人負担です。
病院にかかったときの自己負担割合
健康保険・国民健康保険
自己負担割合 | |
---|---|
小学校入学前 | 2割 |
小学校~70歳 | 3割 |
70~75歳 | 2割(現役並み所得者3割) |
後期高齢者制度
75歳以上(一定の障害者は65歳以上) | 自己負担割合 |
---|---|
一般所得者等 | 1割 |
一定以上所得のある方 | 2割※ |
現役並み所得者 | 3割 |
※自己負担2割の方への当面の配慮措置としてR7.9末までは、外来医療の自己負担増加分が月3,000円を超えた場合は高額療養費として払い戻されます。
健保と国保の主な違い
健康保険 | 国民健康保険 | |
---|---|---|
どんな人が入るの? | 公務員や会社員。その扶養家族。 | 左記以外の人(生活保護とか除く) |
保険者(加入元) | 勤務先が所属する健康保険団体 | 住んでる市区町村 |
保険料の計算方法 | 会社(給料で変わる) | 自治体(前年所得で変わる) |
支払方法 | 天引き(労使折半) | 窓口・口座・年金から天引(全額実費) |
家族が増えた場合 | 負担は変わらない | 負担が増える |
出産手当金 | もらえる | 任意給付 |
傷病手当金 | もらえる | 任意給付 |
健保と国保の主な違いは上記の表の通りとなります。それ以外の部分については大体は同じですので、詳しい説明は健康保険のみとします。
健康保険
パートさんの加入条件(健保)
1週間の労働時間と労働日数がそこの社員の4分の3以上であること。
または、51人以上の企業であれば下記の条件をすべて満たすこと(労使合意があれば50人以下も可)。
※ 勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~④全ての要件に該当する方
- 週の所定労働時間が 20 時間以上であること
- 雇用期間が2ヵ月超見込まれること
- 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
- 学生でないこと
被扶養者の条件(健保)
被保険者に生計を維持してもらえば被扶養者になり保険料負担がいらなくなりますが、条件があります。
- 同居する3親等以内。別居ならは配偶者、子、孫、兄弟姉妹、直系尊属(父母、祖父母曾祖父母)までの範囲
- 収入の条件(同居):130万円(60歳以上や障害者は180万円)未満で、生計維持者の収入の2分の1未満
- 収入の条件(別居):130万円(60歳以上や障害者は180万円)未満で、仕送りより少ないこと
※公的年金収入や失業等給付も収入に含まれます。
任意継続被保険者(健保)
退職後も2年間だけ健康保険を継続することができます。これまた条件があります。
- 資格喪失日の前日までに被保険者期間が2か月以上あったか。
- 資格喪失日から20日以内に申請する←国保の14日と間違いやすいので注意!
保険料は全額自己負担に変わり、退職時の報酬月額をもとに都道府県ごとの料率を掛けて算出しますが、標準報酬月額は30万円が上限となります。
払い損ねると納付期日の翌日に容赦なく資格喪失となり、基本もとに戻せなくなるので注意が必要。
傷病手当金や出産手当金は資格喪失した際に現に受けていたものでなければ支給されない。
※国保は全額自己負担であり、傷病手当金と出産手当金が無いので、似ている性格のものになっていますね。
保険料について(健保)
保険料の算出には標準報酬月額と標準賞与額を用いてそこに保険料率をかけます。総報酬制という。
健康保険制度の標準報酬月額は、健康保険は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。
算出は7月に行われ、4月5月6月の額の平均となり9月から適用となります。
また、連続している3カ月間の月平均報酬額が標準報酬等級に照らし合わせて2等級以上の変動があった場合は随時改定が行われる場合があります。 標準賞与額は、健康保険は年度の累計額573万円(厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)です。
※年4回以上支給される賞与については標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
- 協会管掌健康保険の保険料率は都道府県により異なる。←介護保険料は全国均一なので注意!
- 産前産後休業・育児休業の被保険者の保険料は会社分も社員分も全額免除される。
高額療養費制度(健保・国保)
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合に、その超えた額を支給する制度。複数受診や世帯合算(同一グループ)も対応(70歳未満の方は21,000円以上の自己負担分のみ合算)。
70歳未満の自己負担限度額
所得区分 (健保:報酬月額) (国保:旧ただし書き所得) | 自己負担限度額(月額) | 4回目以降の限度額 |
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年収約1,160万円~ (健保:83万以上) (国保:901万~) | 252,600円+(総医療費ー842,000円)×1% | 140,100円 |
年収約770~約1,160万円 (健保:53~79万) (国保:600~901万) | 167,400円+(総医療費ー558,000円)×1% | 93,000円 |
年収約370~770万円 (健保:28~50万) (国保:210~600万) | 80,100円+(総医療費ー267,000円)×1% | 44,400円 |
~年収約370万円 (健保:26万以下) (国保:210万以下) | 57,600円 | 44,400円 |
住民税非課税者 | 35,400円 | 24,600円 |
※旧ただし書き所得 = 前年の総所得金額等(注1)- 住民税の基礎控除額43万円(最近33→43に!)
(注1:退職所得と雑損控除は含めず。分離短期長期譲渡所得の特別控除は含めます。)
ちなみに「ただし書き所得」とは昔の住民税課税方式で条文にただし書きされていたものだそうです。
※総医療費の部分は3割負担分ではなく10割で計算すること
※70歳以上の表については出題傾向にないので割愛します。
同じ世帯で1年以内に3回以上受けている場合は4回目からは右欄の限度額に変わる。
3回というのは連続3回でなくても構わない。
高額介護合算療養費(健保・国保)
医療保険と介護保険のどちらも利用する世帯が、医療保険と介護保険の自己負担を合算し限度額を超えた場合は、医療保険と介護保険の制度別に按分計算され、それぞれの保険者から支給されます。
健康保険の高額療養費、介護保険の高額介護サービス費で支給される金部分は対象外で、実際に自己負担した金額のみが対象となります。
傷病手当金(健保)←テストに良く出ます!
病気休業中の生活保障のために支給される継続的な給付。被扶養者や国保の人には無い。
支給される条件
次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
- 業務外の病気やケガの休業であること健康保険で受ける診療に限らず、自費で診療を受けた場合でも仕事に就くことができない証明があれば対象。また、自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、労災保険の対象になる場合や美容整形などは対象外です。
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日(有休含)から連続して3日間(待期)の後、4日目から支給されます。
資格喪失後の継続給付
資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があり、その時点ですでに支給を受けているか受ける条件を満たしていれば残期間の給付が受けられます。
支給金額と日数
支給額は1日当たり直近12か月間の標準報酬月額を平均したあと30分の1して日割りにし、その3分の2相当の金額です。
支給期間は支給を始めた日から通算して1年6か月です。
(2022.1改正で通算になったので途中復職できた場合はその期間はカウントされなくて良くなった)
併給について
- 給料と併給:給料が傷病手当金より少ないときはその差額分を支給。
- 在職老齢年金と併給:在職老齢年金と傷病手当金は併給される。障害厚生年金があるときは支給されない。ただし障害厚生と障害基礎の合計額を360で割った額が傷病手当金より少ないときは調整される。
- 出産手当金と併給:傷病手当金の額が出産手当金より多ければその差額を傷病手当金として支給。
出産手当金(健保)
出産休業中の生活保障のために支給される継続的な給付。被扶養者や国保の人には無い。
支給対象となるのは、出産日(出産が遅れたら出産予定日)以前42日(多胎であれば出産日以前98日)から出産の翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ健康保険加入者です。この期間内に会社を休んだ日数分が支給対象となります。
※出産が遅れたら伸びた分も支給(出産が3日遅れたら計101日分)
支給額の算出方法は傷病手当金と同じです。
出産一時金(健保・国保)
被保険者または被扶養者が出産すると50万円が一時金でもらえる。産科医療補償制度に未加入の病院だと488,000円になる。
被扶養者の場合は「家族出産育児一時金」と呼ぶ。
埋葬料・埋葬費(健保・国保)
- 埋葬料:被保険者が死亡したときに、埋葬を行った家族(被保険者に生計を維持されていた人であれば、被扶養者でなくてもかまいません。)に5万円が支給されます。
- 埋葬費:死亡した被保険者に家族がいないときは、埋葬を行った人に5万円までの範囲で、埋葬にかかった費用が支給されます。
また、被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
後期高齢者医療制度
どんな人が入るの? | 75歳以上の人と65歳以上の障がい者の人(生活保護とか除く) |
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保険者(加入元) | 後期高齢者医療広域連合(区域ごと) |
保険料の計算方法 | 所得割と均等割の合計額(金額は区域ごと違う) 毎年8月1日に見直し 保険料の賦課限度額は被保険者一人につき73万円です。 |
支払方法 | 年金から天引。徴収するのは市区町村。 (年金年額18万未満の人や、介護保険と合わせて 年金の2分の1を超える人は納付書) |
住所地特例制度←出題されたことがあります!
引っ越し先が他の区域で、それが特別養護老人ホーム等の施設だった場合に、転出前の広域連合のまま被保険者資格を継続する制度です。
老人ホームを建てた区域の財政負担を増やさないための制度です。
国民健康保険被保険者で、他の区域の住所地特例対象施設に入所する方が、75歳になり、後期高齢者医療制度に切り替わる場合も同様に、住所地特例の適用を引き継ぎ、元々の区域の広域連合の被保険者となります。
外部リンク:きんざい
それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問1
後期高齢者医療制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 後期高齢者医療制度の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者、または後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、一定の障害の状態にある旨の認定を受けた者であるが、生活保護を受けている世帯に属する者は被保険者とされない。
- 後期高齢者医療制度の保険料の額は、被保険者の所得に応じて決まる所得割額と均等割額との合計額であるが、所得割率および均等割額は都道府県によって異なる。
- 後期高齢者医療制度の保険料の額は、被保険者の所得に応じて決まる所得割額と均等割額との合計額であるが、保険料の年間の賦課限度額は32万円である。
- 後期高齢者医療制度の被保険者が保険医療機関等の窓口で支払う一部負担金の割合は、単身世帯で住民税に係る課税所得金額が145万円未満の場合、原則1割である。
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解答
3
正解は3番です。当サイトでは後期高齢者医療制度についての記載は1つの表で済ませてしまっているのですが(あと最初の方の共通枠に少し)、いまのところ試験対策としてはこれで足りていると思っています。
この問題の1~3までの選択肢はすべて表に収まっています。問4だけ、記載がありませんが3で解答に至っています。
とはいえ、今後試験が難化していくことも予想されるため、助手のウィキ子が解説いたします。
国民健康保険や後期高齢者医療制度の現役並み所得者とは
はい、助手のウィキ子です。よろしくお願いします。
国民健康保険や後期高齢者医療制度の現役並み所得者とは、 市町村民税課税所得が145万円以上の70歳以上75歳未満の者、または、その被保険者と同一世帯に属する70歳以上75歳未満の者の事です。
ただし、同一世帯二人以上で520万円未満、一人で383万円未満の場合は申請すると除外してもらえます。
今後、この内容を主体とした出題があるようならテキストへの本採用を致します。よろです!
2021年04月01日