遺族基礎年金|FP1級Wiki
私はいつも、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)とで混乱します。
それはおそらくほとんどのテキストで、遺族基礎年金と遺族厚生年金をいっしょに解説しているからです。
たしかに受給する側としては結局は合計額で支給されるのでそれでもいいのかもしれませんが、
学習としては、どの部分がどっち側から支給されるのかはとても重要となります。
私は、しっかり分けて覚えたほうが覚えやすいと判断したので、項目を分けさせていただきました。
特にFP1級の応用編では遺族年金の計算問題が出題されますので、
子の加算だったり300月ルールだったり4分の3だったりというルールを、
ちゃんと頭の中で国民年金と厚生年金とで分けて覚えてください。
国民年金に4分の3を掛けるなんていうような凡ミスは避けなければなりません。
よって、このページでは遺族基礎年金(1階部分)について解説します。
遺族基礎年金
支給要件
国民年金の被保険者、または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
(ただし、死んだ人が、死亡前日に保険料納付済期間(保険料免除期間含む。)が加入期間の3分の2以上。)
※経過措置:令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死ぬ直前の判定で死亡日の属する月の前々月までの1年間、保険料の滞納がなければ受けられるようになっています。
支給対象者
死亡した方に生計を維持※されていた、子のある配偶者または子に支給される。
(前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること)
※日本年金機構HPを見てもこの表現になっているのですが、第3号被保険者(例えば専業主婦)が亡くなったケースでも上記収入条件を満たしていれば夫は子が18歳になるまで(障害児なら20歳まで)遺族年金をもらえます。
子の条件
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子(高校三年生)
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
受給期間も同様の条件になります。
支給額
年金額は老齢基礎年金額の満額と同じ。これに子の加算額がプラスされる。
子の加算金額は老齢厚生年金の加給年金額と同額。←こんがらがる
遺族基礎年金の年金額=816,000円(R6年度)+子の加算額※
子の加算額(R6年度):1人目と2人目の子は1人あたり234,800円、3人目以降は78,300円
※受取が子のみの場合、子の加算は第2子から行い、その総額を全員で等分する。
なお、子に対する支給は、配偶者が受給権を持つ場合、支給停止する。
権利消滅
配偶者&子の共通の要件
- 受給権者が死亡したとき
- 受給権者が婚姻したとき。
- 直系血族、または直系姻族以外の者の養子となったとき。
配偶者のみにある要件
- 子のある配偶者でなくなったとき
子のみにある要件
- 離縁によって、死亡した被保険者、または被保険者であった者の子でなくなったとき
- 健常者、障害者の子がそれぞれ年齢に達した時(支給要件の欄参照)。
寡婦年金と死亡一時金
国民年金の1号被保険者期間保有者が年金支給を受けずに死亡した場合に、
一定の要件を満たせば寡婦年金or死亡一時金がもらえる。
このふたつは併給されず選択適用となる。
寡婦年金
支給の要件・注意点
- 第1号被保険者期間が免除期間等と合算して10年以上あること
- 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されない
支給対象者
婚姻期間10年以上の妻
支給期間
妻が60歳~65歳に達するまで
支給額
夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額
死亡一時金
支給の要件・注意点
- 死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算)が36月以上ある方
- 死亡した者が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあると支給されない
- 遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されない
- 死亡日の翌日から2年までに請求しないと権利消滅する
支給対象者
その方によって生計を同じくしていた遺族に支給
※遺族は、相続人とは違い、先順位が存在します。
①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹の中で優先順位の高い方
支給期間
一時金で支給される。
支給額
- 保険料を納めた月数に応じて12万~32万円
- 付加保険料を納付した月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されます。
参考:日本年金機構
それでは過去問を解いてみましょう。2021年1月試験 学科 問4
公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 10年前から国民年金の第3号被保険者であった妻が死亡し、妻と生計を同じくしていた夫(40歳)と子(10歳)がいる場合に、夫の前年の収入が年額850万円未満であるときは、夫に遺族基礎年金が支給される。
- 10年前から厚生年金保険の被保険者であった妻が死亡し、妻と生計を同じくしていた夫(50歳)と子(22歳)がいる場合に、夫の前年の収入が年額850万円未満であるときは、夫に遺族厚生年金が支給される。
- 20年前から国民年金の第1号被保険者であった夫が死亡し、夫と生計を同じくしていた妻(40歳)と子(10歳)がいる場合に、妻の前年の収入が年額850万円未満であるときは、妻に遺族基礎年金と死亡一時金が支給される。
- 国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が20年で、老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給していた夫が死亡し、夫と生計を同じくしていた妻(60歳)がいる場合に、妻の前年の収入が年額850万円未満であるときは、妻に遺族厚生年金が支給される。
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解答
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難問です。年金機構にも「亡くなった方に生計を維持されていた」と書かれているのですが、生計を一にしていればいいようです。 なので第3号被保険者で生計を一にしていれば、子がいる限り支給されます。 料理洗濯も生計を維持してることに貢献してますもんね♪