給与所得・退職所得|FP1級Wiki

サラリーマンに必要な知識です。試験的には退職所得があちこち出てきます。計算方法は丸暗記で行きましょう。

給与所得

給与所得とは、給与、賃金、歳費、賞与ならびにこれらの性格を有する給与による所得をいう。

給与所得金額の計算

給与所得の金額=収入金額-給与所得控除

給与所得控除額

給与収入金額給与所得控除額
162万5,000円以下55万円
162万5,000円超~180万円以下収入金額×40%-10万円
180万円超~360万円以下収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下収入金額×10%+110万円
850万円超195万円

所得金額調整控除

給与等の収入金額が850万円を超える居住者で以下のいずれかに該当する場合には、
給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万)から850万円を控除した額の10%相当額を給与所得金額から控除する。

  • 居住者本人が特別障害者に該当する
  • 年齢23歳未満の扶養親族を有する
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する

給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の合計額が10万円を超える者については、
次の算式により計算した金額を、給与所得の金額から控除する。

控除額=(給与所得控除後の給与等の金額※+公的年金等に係る雑所得の金額※)-10万円

※10万円を超える場合には10万円
つまり、給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額がともに10万円超である場合には10万円を給与所得の金額から控除することができる。

(注)この控除は扶養控除とは違い、夫婦ともに適用が可能。例えば、夫婦とも収入金額が850万円超で、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合は、夫婦双方がこの控除の適用を受けられます。めっちゃ勝ち組だな。

       

特定支出の控除

給与等の収入金額-(給与所得控除額+(その年中の特定支出の額の合計額-給与所得控除額の1/2))=給与所得の金額

特定支出に含まれる支出の例

  • 給与所得者が支出する通勤費、転勤に伴う居住費、研修費など
  • 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費
  • 職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費および職務に通常必要な交際費(「勤務必要経費」なお、その年中に支出した「勤務必要経費」の金額の合計額65万円を超える場合は65万円を限度とする)
  • 特定支出の範囲に勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅費等で、通常要する支出等

確定申告

給与所得者は年末調整等により源泉徴収された所得税が清算されて納税が完了するため、通常は確定申告の必要はない。
しかし、次のいずれかに該当する場合は確定申告が必要となる。

  • 主たる給与等の収入金額が2,000万円を超える場合
  • 主たる給与等以外の所得の合計額が20万円を超える場合(20万円以下の場合には確定申告の必要はないが、住民税の申告は必要)
  • 同族会社の役員等で、その法人から給与等以外に貸付金の利子や資産の賃貸料を受けている場合
       

退職所得

退職所得とは、退職手当、一時恩給、その他退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与による所得をいう。
次のような一時金は、みなし退職手当等とされ、退職所得となる。

  • 退職に起因して社会保険制度に基づいて支払いを受ける一時金
  • 確定拠出年金から支給される老齢給付金

退職所得金額の計算

退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額※)×1/2
※退職所得控除額は以下のとおり

勤続年数※¹退職所得控除額※²
20年以下40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※¹1年未満は切上げ(休職期間も勤続年数に含む) ※²障害者になったことが影響した退職なら+100万円

勤続年数が5年以下の役員等(特定役員等、公務員含む)に対する退職手当等に係る退職所得は、退職所得控除額を控除した残額に2分の1を乗じない。
また、同様の条件の特定役員以外の者は300万円を超える部分について2分の1を乗じない。

・同一年に2箇所以上から退職金を受け取った場合、最も長い期間で計算する(重複はしない)。
・前年以前4年内に他の退職金がある場合は重複期間(未利用分がある場合はその金額分も考慮したみなし重複期間)を確認し、本年分の勤続年数から算出した控除額から重複期間分を控除した額とする。

課税方法

退職所得は、他の所得とは総合課税せずに分離課税とする。
また、退職金の支払いを受ける際、会社に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、ほぼ正確な所得税・住民税(他の所得から控除しきれない所得控除等は考慮されない)が退職金から源泉徴収(天引き)され、原則として、退職金についての確定申告は必要なくなる。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと退職金から20.42%の所得税が源泉徴収され、確定申告で清算することになる。

外部リンク:国税庁

       

それでは過去問を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問25

居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 国家公務員または地方公務員が勤続年数5年以下で退職して受け取った退職手当は、当該職員の役職にかかわらず、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算することになる。
  2. 被保険者を役員とする法人契約の終身保険を、当該役員の退職にあたり、契約者を役員に変更して退職金として支給した場合、その支給時において当該契約を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金等の額が退職所得の収入金額となる。
  3. 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。
  4. 給与所得、上場株式等に係る譲渡所得および退職所得を有する者は、確定申告を行うことにより、総所得金額および譲渡所得の金額から控除しきれない所得控除額を退職所得の金額から控除することができる。

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解答

助手のウィキ子

退職所得は掛金を差し引くことはありません。退職所得控除を使って計算します。

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