傷害保険と賠償責任保険|FP1級Wiki

傷害保険と賠償責任保険についてです。賠償責任保険に企業が加入するものが多いので、試験に良く出題されます。

傷害保険

被保険者の急激かつ偶然な外来からの事故によって、身体に傷害を被った結果、死亡、後遺障害、医師の治療を要したときに保険金が支払われる。保険金はその他の保障や賠償金とは関係なく支払われる。

簡単に言うと、突然の事故でのケガ・死亡・障害などを補償する保険。他の補償とは関係なくもらえる。

普通傷害保険・家族傷害保険

  • 国内外、業務中外を問わず、日常生活における身体傷害に対して補償される
  • 被保険者の職業で保険料が変わる
  • 家族傷害保険は家族全員をカバーする
       

交通事故傷害保険

  • 国内外の乗物(電車・エレベーター、エスカレーターなども含む)との接触、乗車中、道路、建物内外での事故等幅広い場所、交通事故をカバーする
  • 保険料に職業での差はない

国内・海外旅行保険

  • 旅行での出発から帰宅までを補償する
  • 特約により、賠償責任補償、携行物損害補償、捜索救助費用補償、救援者費用の補償、旅行短縮・キャンセル費用等を補償できる
  • 細菌性・ウイルス性食中毒を補償する
  • 海外旅行保険は疾病も補償する。保険金についてはその実費を支払う。地震・噴火・津波のケガも補償
       

賠償責任保険とは

さまざまな日常における偶然な事故により他人を傷つけたり、他人の物を壊してしまい、損害賠償責任を負ってしまった場合に、その損害を補償する保険。保険金は、賠償金だけではなく、事故処理に掛かった費用や弁護士費用なども含まれる。主に個人用と法人用があり、特に法人用は用途に合わせてさまざまな種類がある。

簡単にいうと、損害賠償しろって言われちゃったときの支払金を補償してくれる保険。

       

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は、単独で入るよりも火災保険に付帯するなど他の保険に特約付帯するのが一般的。

補償の対象

  • 一定の家族が日常生活で法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する
  • 自転車事故も含む
  • 一時的に居住のために利用する別荘の管理に起因する事故も含む

※一定の家族とは、原則、本人・配偶者・生計を共にする同居親族・別居の未婚の子など

補償の対象外

  • 家族間での賠償事故
  • 国外、業務中、預かり品※に対する賠償事故
  • 自動車や原付バイクによる事故(自動車保険の出番)
  • 故意による事故

※預かり品を補償対象とする保険もある

       

法人向け賠償責任保険

生産物賠償責任(PL)保険

製造販売(食品含む)、提供したサービス等、もしくは行った作業が原因で生じた事故による対人対物損害賠償責任を補償する。
(例)販売したおもちゃに欠陥がありこどもがケガをした。取り付け作業した看板が落下しケガ人が出た。

欠陥品の修理、取替え、回収費用、不完全な仕事の補修費用、故意・重過失・法令違反を原因とするものは補償しない。

施設所有(管理)者賠償責任保険

施設の構造の欠陥や管理不備や、施設で働く者の業務中の事故などで、
来客者など他人が被害を受けた場合に施設所有者や管理者が負う損害賠償責任を補償する。
(例)施設のアトラクションが故障し、来客者がケガをした。自転車で商品配達中に通行人にケガを負わせた。

契約者となる法人の従業員に対する損害賠償は補償しない。
施設のエレベーターについては昇降機賠償責任保険の範囲になるので対象外。

       

建設工事保険

住宅棟の建物の建築工事において、工事期間中における火災、爆発、落雷等の不測かつ突発的な事故によって、
工事の目的物について生じる損害に備えることができる。

請負業者賠償責任保険

建設工事・土木工事などの請負業者が行う業務から生じた事故(他傷・物損など)による損害賠償責任を補償する。

       

受託者賠償責任保険

お客様の物を預かる業務を行う事業者で、保管する施設内で、保管中の事故により預かった物に損害を与えた場合の受託者が負う損害賠償責任を補償する。倉庫業、ゴルフ場、美容院、レストラン、加工業者が素材を預かったときなども対象になります。

会社役員賠償責任(D&O)保険

会社役員としての業務遂行に起因する損害賠償請求の起訴を受けたことによる損害(損害賠償金、訴訟費用)を補償する保険。
言い掛かりによる訴訟費用でも補償する。

  • 法令違反・公序良俗に反する行為や罰金等による損害費用は補償しない。
  • 株主代表訴訟で敗訴したときの法律上の損害賠償や訴訟費用は補償されない(特約で対応可)。
  • 全役員が被保険者となる(途中、退任したり選任された役員も含む)
  • 子会社の役員も含めることができる
       

労働災害総合保険

企業のための労災費用を補償する保険。法定外補償保険と使用者賠償責任保険のふたつからなり、いずれかもしくは両方を選択する。

  • 補償対象者は原則として労働者全員(契約社員や短時間労働者は除外も可)
  • 政府労災に未加入の事業者は対象にならない。政府労災の給付が決定した時点で補償が支払われる。

法定外補償保険

法定外補償規定による政府労災保険の上乗せ給付について補償する。

使用者賠償責任保険

被用者(労働者)に労災が発生して身体障害等になった際の使用者(雇い主)の法律上の賠償責任負担の補償をする。

       

個人情報漏洩保険

業務遂行中、偶然による事由で個人情報を漏洩してしまった場合やその恐れがある場合。
もしくは委託した外部業者の不正行為により同様の事態になった場合等に、顧客に対して法律上の損害賠償責任を負うための補償や、企業のブランドイメージ低下を防ぐための謝罪会見や広告費用を補償する。

外部リンク:㈳日本損害保険協会

       

傷害保険と賠償責任保険に関する過去問を解いてみましょう。2020年1月試験 学科 問14

各種傷害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 普通傷害保険では、被保険者が自転車による通勤中において、自動車と接触して被った傷害について、保険金支払の対象となる。
  2. 就業中のみの危険補償特約を付帯した普通傷害保険では、被保険者が職務に従事している間に被った傷害について、労災認定された場合に限り、保険金支払の対象となる。
  3. 国内旅行傷害保険では、旅行行程中に被保険者がかかったウイルス性食中毒について、保険金支払の対象となる。
  4. 海外旅行傷害保険では、旅行行程中に発生した地震によって被保険者が被った傷害について、保険金支払の対象となる。

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解答

Wiki技能士

労災とは関係ないので、認定されるかどうかは判定基準にはなりません。

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