年金の併給|FP1級Wiki

年金には1人1年金の原則があり、支給事由が異なる年金を複数受給することは原則できない。ただし、特例としていくつか存在する。

年金の併給

老齢基礎年金、老齢厚生年金&遺族厚生年金

遺族厚生年金を受給できる人が65歳になり、自身の老齢厚生年金も受給できるようになったときに、次の3通りの組み合わせがある。

  1. 老齢基礎年金+老齢厚生年金※1
  2. 老齢基礎年金+遺族厚生年金※2
  3. 老齢基礎年金+(老齢厚生年金×2分の1)+(遺族厚生年金×3分の2)

※1 加給年金額があるときは除いて計算する

※2 遺族厚生年金の額に経過的加算額があるときはそれを含む

1番が優先支給となるが、2番3番よりも額が少ないときは、2番3番の多いほうとの差額が遺族厚生年金として支給される。

障害基礎年金と厚生年金保険

障害基礎年金受給者は65歳からは以下の併給が可能になる

  • 障害基礎年金+老齢厚生年金
  • 障害基礎年金+遺族厚生年金

前者の場合は老齢厚生年金を繰下げ受給することもできる。

労災保険との併給

同一事由で、労働者災害補償保険の障害補償年金と障害基礎年金および障害厚生年金が支給される場合は、障害基礎年金および障害厚生年金が全額支給され、障害補償年金が減額調整される。

  • 障害基礎年金(全額)+障害厚生年金(全額)+障害補償年金(減額)

ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金の場合は、障害補償年金が全額支給で障害基礎年金は支給されない。

労災保険の障害補償と厚生年金の障害手当金の関係

労災の障害(補償)給付を受ける権利がある場合は、厚生年金の障害手当金は支給されない。

       

離婚時の厚生年金の年金分割

離婚したときに厚生年金を分割する制度があります。合意分割と3号分割があり、ちなみに合意分割請求時に3号分割対象期間が含まれるときは同時に請求があったものとみなします。

合意分割

離婚をした場合、婚姻をしていた期間の被保険者期間について、当事者からの請求により報酬額が改定される。

対象期間

婚姻期間中

分割方法

  • 婚姻期間中の厚生年金保険の報酬額が多い人から少ない人へ分割する
  • 当事者の合意が必要

分割割合

  • 分割後の割合の上限は2分の1が限度
  • 合意が得られないときは裁判で割合を決定

手続き方法

当事者の一方からの請求。請求期限は離婚から原則2年。

分割された標準報酬について

離婚時みなし被保険者期間(自身の受給資格期間や加給年金の要件期間、特別支給の要件期間には算入されない)

       

3号分割制度

離婚をした場合、被扶養配偶者からの請求により2008年4月1日以後の第3号被保険者期間の厚生年金保険の報酬額が改定される。

対象期間

婚姻期間のうち2008年4月1日以後の第3号被保険者期間のみを対象とする

分割方法

  • 第2号被保険者だった人から第3号被保険者だった人に対して分割
  • 合意は必要ない

分割割合

2分の1固定

手続き方法

第3号被保険者だった人からの請求。請求期限は離婚から原則2年

分割された標準報酬について

被扶養配偶者みなし被保険者期間(自身の受給資格期間や加給年金の要件期間、特別支給の要件期間には算入されない)

外部リンク:日本年金機構

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年1月試験 学科 問5

社会保険の給付に係る併給調整や支給停止に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 特別支給の老齢厚生年金の支給を受けている者が雇用保険の基本手当の支給を受ける場合、求職の申込みをした月の翌月以降、基本手当の支給を受けた日とみなされる日が属する月分については、特別支給の老齢厚生年金は支給停止となる。
  2. 厚生年金保険の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給を同時に受けることができるときは、特別支給の老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、最大で標準報酬月額の6%相当額が支給停止となる。
  3. 障害基礎年金の受給権者で65歳到達前に遺族厚生年金の受給権を取得した者は、65歳到達前まではいずれかの年金を選択して受給し、65歳到達以後は障害基礎年金と遺族厚生年金を同時に受給することができる。
  4. 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。

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解答

Wiki技能士

頭が混乱する項目の問題です。
考え方としては4は合っているような感じもするのですが、
あくまでも支払う形というのはテキストにある通り、
(老齢基礎+老齢厚生)が優先支給となるが、
(老齢基礎+遺族厚生)or(老齢基礎+老齢厚生+遺族厚生)よりも額が少ないときは、
どちらか多いほうとの差額が遺族厚生年金として支給される。
なので、3種類を比較して、出てきた差額が支給される年金に付加されるというようなことです。
なので適切ではありません。

1と2の選択肢については雇用保険の関係なので09.在職老齢年金(老齢厚生年金)をご覧ください。
3はテキストの通りですね♪